2024/04/27 のログ
ご案内:「城塞都市「アスピダ」近郊」にシアンさんが現れました。
シアン > 王都では、日にもよるが、寝苦しいぐらいに湿度も気温も高くなってきている昨今。
此処では、吐く息は白く、耐寒を怠って寝入れば朝には凍死出来ることだろう。
お月様も高々と昇る頃にはより、寒く、より、凍える。
火を灯さずとも月明かりが、真昼程、は言い過ぎだが視界は鮮明なしんと静まり返った木立の中――

「こりゃ無理だな」

傾斜も起伏もこれでもかと富んだ立地のなか比較的平らな場所で野営する男が一人コーヒーカップを片手に独りごちる。
啜る白湯にほっと一息つきながら、天幕の中で疲労困憊といった具合の同伴者に一瞥し、山頂に向かう道をさらに一瞥し、

「……帰りどうすっか……」

行きも過酷であったが帰りもまた過酷であることを想起すれば肩を竦めた。

膠着状態が続く城塞都市を巡った諍い。王国側も血の旅団と名乗る者達も、情勢をどうにか有利に進めないかと日夜あれやこれやと策を巡らしている。男は、今は王国側だ、簡単に言うと『攻めやすい立地を見つけてきてくんない? 此処とかどう?』何て具合の依頼があった為こうして何人かの志願者と組んでやってきた、は、いいが。……道程が過酷過ぎる。数名なら兎角部隊での行軍は間違いなく無理、というのが持ち帰る報告になりそうだ。

シアン > 獣道とすら呼べない道なき道に加えて。傾斜、傾斜、只管傾斜、時として岩壁を攀じ登り、時として九十度を超す岸壁にしがみつき、登れば登るほどに空気は少なく気温は低く……同行者達もよくやっている。己とて流石に疲れた。厳しい寒気も高い立地もよくよく慣れている身の上で、これだ。血の旅団側もこんな立地を放置している理由もよくわかる。一応、用心として寝ずの番をしているが、今のところ人の気配はない。

「とりあえずこいつ等は帰すとして……俺ぁ一応頂上見るだけ見といて……」

夜が明けてからの行動指針をぽつりぽつりと呟きながらまた白湯を一口啜る。
出来れば、コーヒー、贅沢言うなら熱燗とか欲しいところではある、のだが……
火をあんまり長く炊いていると非常に目立つ。

「あー面倒臭。請けんじゃなかったわ」

これから、王国側は茹だるほど暑くなる。酷暑になるのが間違いない、で、そんな時節にあんまり働きたくないので今の内に稼ぐだけ稼いどこうと柄にもなく高給なこんな依頼にも手を出したわけだが後悔しきりである。

シアン > ちょくちょく、愚痴とか、たまに、考えを纏めるための独り言とかをぶつくさと零しては時折お湯で口を湿らせながらに寒い寒い夜を更かしていく。
ご案内:「城塞都市「アスピダ」近郊」からシアンさんが去りました。