2023/12/04 のログ
■ノーマ >
「うん、それでいいならそれでいいよレヴィちゃん。
あはは、畏まらなくていいならうちも楽でいいよ。ありがとねー、と、よろしくねー。」
礼法、なるものは記憶を探れば出ては来るが、一々則るのは面倒くさくてしょうがない。
相手がいい、というのならお言葉に甘えさせてもらおうというものだ。
それにしても、貴族もこんなところに来るんだなあ。
「ああ、別にお茶くらい構わないよー。
朝焼けの珈琲……は、なんだっけ。定型句だったか……」
女は冗談を割りと真に受けて答える。
ついでに、定型句も記憶を探ってみると、たしかあったような……
なんだっけ。口説き文句?いや、なんか違ったか?
女の子だよなあ……あれ、でもそういうこともありうるか?
などと考えているうちに、よくわからなくなって一旦思考を放棄する。
「それにしても、恋愛小説だけでもイロイロあるんだねー。
うち一人じゃ途方に暮れてたかもしれないな」
物色しているレヴィの様子を横目に感嘆の声を漏らす。
思わず、おのぼりさんな感じになってしまうのもやむをえまい。
そうしてキョロキョロしているうちに……
「……うん?どったの?」
ちらりとこちらを見て微笑むレヴィにこちらもとりあえず笑顔を返す。
コミュニケーションは大事だ。
……これで合ってるのかはいささか疑問ではあるが。
■レヴィア > 「そうそう恋愛小説におけるお約束という奴。
夜明けの珈琲、ほら一夜あけてベッドで飲むとって。」
定型句という言葉にクスクスと小さく笑い声を零しながら、適当ではあるが見知った読みやすい恋愛小説を1冊手に取る。
内容は『旅人と吟遊詩人の恋のお話』、王道より少し半歩だけ外れたお話であるが、子供向けよりも少し上の年齢向けであり、大人向けよりわかり易い文章の小説である。
それを手渡そうと書架から彼女の方に振り返ると、きょろきょろしている様子にまた小さな笑い声を奏でる。
――…と、そろそろ時間のようで。
「ごめんなさい、本当なら小説の内容とか、読み聞かせとかしてあげたいのだけど、もう帰らないと。」
少し強引であるが、彼女の手を取り、その手に手のひらサイズの小説をのせて、手を離せば慌てた素振りで踵を返す。
「本当にごめんなさい、もし本に興味があれば……。」
と、自分の住んでいる屋敷の住所を口にした後に、深く頭を下げてから図書館より立ち去る。
――吸血鬼は図書館より消える。
小説に少しのぬくもりと、薔薇の香気をその場に残して。
ご案内:「図書館」からレヴィアさんが去りました。
■ノーマ >
「あー。やっぱりそれ?
……うーん?」
冗談を真に受けるのは継続。
どうにも本気なのか冗談なのか。夜明けの珈琲問題は女にはいまいちまだ難しかった。
別に拒否感があるわけではない。ただ、純粋に意味をはかりかねていた。
「ありゃりゃ、時間取らせちゃったかな。
これはごめんね。うん、またね。機会があればホント、お茶でもしようか」
慌ただしく去っていく相手を眺めながら去り際にそう声をかける。
手元に残ったのは恋愛小説。
「……ま、姫さんも読んでたし。
うちも読んでみて、どう思うか試してみるのもありだよね」
まだ理解したとは言い切れない諸々。
それを知るのにもいいだろうか。そう思いながら……女は貸出の手続きをして、
そして図書館をあとにした。
ご案内:「図書館」からノーマさんが去りました。