2023/10/03 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエリビオさんが現れました。
■エリビオ > 夜の温泉宿。美しい中秋の名月が仰げる混浴露天風呂の開き戸をがらりと開く。
石作りの床に磨き抜かれた岩囲いの露天風呂は広々として平民地区でありながらオリエンタルな美がある。
……が誰もいない。
「まぁ、そうだよね。この街で露天風呂に女性が入るなんて犯してくれといってるようなもんだし」
誰もいないのは慣れたもの――洗い場にて丹念に爪先から頭の天辺まで洗い清め。
水滴る前髪を掌で後ろに流して湯気立つ湯に向かう。そろりと差し込む爪先からぴりり、とした刺激が走る。
ほどよく肌寒い秋の夜に熱い熱いそれは、爪先から頭の天辺までふるりと肌を粟立たせてゆき。
それを我慢して肩まで浸かると緊張が溶けて一気に体が弛緩してゆく。
それもまたいつものこと。
でも仰ぐ空に輝かしい琥珀めいた月明かりはいつものことじゃない。
「綺麗だなぁ。これ見れただけで十分だ」
中秋の名月を仰ぎながらゆっくりと手頃な岩に背を預け。後は湯の熱に蕩けながら細まる黒瞳に月を映していた。
■エリビオ > 月を楽しんだ後静かに去っていった。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエリビオさんが去りました。