2023/09/16 のログ
ご案内:「貧民地区の路地」にリュエールさんが現れました。
■リュエール > 深夜を過ぎる時間。
貧民地区のどこかもわからない路地に座り込む女が一人。
死んでいるわけではない。
露出の高い戦闘服に身を包む女の豊かな胸は上下に揺れて呼吸をしている。
鼠径部への切込みが鋭利な股間部分から酷い性臭がするぐらい。
衣服にあまり乱れはないが、明らかに誰かに"使われた"後。
この国ではよくあること。
ミスリル製の足鎧も今の女には重く、足を投げ出して座り込んでいる。
ほんのりと頬が火照っている。
今は目を伏せて休息をしているだけ。寝てはいないがすぐに反応するのは難しいだろう。
通りかかるのはケダモノか、真人間か。
女旅人の運が試されている。
ご案内:「貧民地区の路地」にサタンさんが現れました。
■サタン > 既に深夜を過ぎ、貧民地区の入り組んだ闇深くの路地、
その深層から、カツン、カツン、と一定の間隔で、革靴の足音が刻まれる。
男は今夜の『仕事』を終え、咥えた煙草を燻らせながら、戻る途中。
闇深い場所であっても、迷う事も無いような足取りの男の先に
路地に座り込んだ、女性の姿を紅い双眸には遠くながらも映り込む。
こんな場所で、女一人無防備に近いような状況。
狙うような視線も、或いは幾つか周囲に気配を潜めながら居るだろうが、
足音を刻む間隔は、そのままに男は、座り込んだままの女の方へと
歩みを進め寄っていく事となるだろう。
その足音を、感知して意識が戻ってくるか。
或いは、その音の主を警戒するか、どのような反応であれ、
男の歩みはただ一定のリズムを刻んでいた。
■リュエール > 月明かりもさし難い場所故にほとんど闇の中。
静寂と風の音、女の乱れた呼吸だけがする中に混ざる異音。
革靴の足音。重いそれは女性のものではないとわかる。
目を伏せたまま、耳が拾った音が頭を刺激して。
遠くから徐々に近づいてくる音に、女は重い瞼を開く。
長いピンクブロンドの睫毛は髪と同じ色。
その下から覗く、金とも琥珀とも言い難い、蒲公英のような黄色の瞳。
「…………」
足音が近づいてきても、女の傍らで止まろうと、女はそこから動かない。
そもそも、立ち上がって逃げ出す体力があるならとっくにこんな場所から立ち去っている。
だからこそ、うっすらと目を開きはしたが、無反応。
足音が傍で止むなら、その男を見上げるぐらいはするだろう。
■サタン > 徐々に近くへと寄って行く形で、座り込んだ女の下へと歩みを進める男。
立ち上がり逃げるような様子も、警戒するような気配も感じ取れず、ただ其処に座ったまま。
そうして座り込む女の傍らで、刻む事をやめた足音。
見上げる蒲公英のような黄色の瞳には、見下ろす鮮血のような紅の瞳が映ろうか。
「―――立てる……という様子でも無さそうだが、
とりあえず、手は必要か?」
見下ろす瞳には、衣服の乱れた様子などは見て取れはしないが
漂う異臭は鼻腔に届く。
こんな場所であれば、『喰われたか』と結論付けたとしても、強ち間違いではあるまいし、見上げる瞳に何処か虚ろな色であるとの感覚も抱いた男は、一先ず場所を移す意味も兼ねて、言葉を紡ぎ、女へと伝え、右腕を差し伸ばした。
こんな場所で、助けとなるような言葉を伝えてくるような相手の手を、
どのように判断するかは、女次第であれど、手を取るのならば、一先ずは闇深い場より移動をするだろうか。
■リュエール > 座り込んだ女がだいぶ顔を上げなければ視線がかち合うことはなさそうなぐらい、男は大きい。
女旅人から見れば胸から上は闇に隠れて、血のような赤い色だけが見えた気がした。
座り込んだまま動かない女の前で足を止め、見下ろすその偉丈夫にピリピリと肌が痺れるような感覚。
ただものではないと言う気配だけはわかる。
が、いきなり無防備な女を殺す猟奇的な雰囲気でもないようで。
「……、……何をお望み?」
差し伸べられた手に、数度瞬きをして、少し掠れた声で問い返す。
助けようとしているのか、持ち帰ろうとしているのか、それとも売り飛ばす為に拉致する気なのか。
言葉の雰囲気からして最後のはなさそうではあるが。
その手を取ったらどこか安全な場所へでも連れて行ってくれるのか。
それとも女を拾い物として男の塒にでも連れ込む気なのか。
至ってわかりやすく問うのであれば、自分をどうするつもりなのか、ということ。
どう答えたところで、今の女には口ぐらいしか抵抗する気力はないが。
どちらにしても、見知らぬ男に犯されたばかりの女が、見知らぬ男が差し伸べる手をそう簡単につかめるはずもない。
■サタン > 王都に残る加護の影響と、素性を隠す意味もあり、魔王としての力も、
大幅に抑え込まれている。とは言え、只の一般人と通すには、眼下にて座り込む相手には聊か無理があるか。
そしてこんな場所であれば、言葉の意味全てを善意と取るなど、土台無理な話であるのは当然。
黄色の瞳を幾度か瞬かせ、掠れたような声音が返ってくれば、
それは女を如何するつもりか、と取れるような言葉。
差し出し伸ばした手はそのままに、ゆっくりと口を開き。
「―――通りすがりの只の気紛れ……では、信じられんだろうな。
まぁ、信じようが信じまいが、どちらでも構わん。」
果たしてこの男の言葉は、女の想像する答えの中にあったかは知る由も無いが、
男にしてみれば、本当に只の気紛れにすぎない。
差し伸ばした手を払うのならば、男の気紛れはここで終わり、
その脚は、きっと座り込んだ女の傍から離れゆく足音を刻む事となろう。
そうなれば、辺りでこの状況を闇に紛れ伺う連中が、殺到し群がり
代り替わりに女を凌辱し玩具のように、使い潰して捨てる。
どちらにしろ、王都の闇深い場所の洗礼を受けた様子の女には
男の差し伸ばした手か、周りに蠢く気配に飲まれるか。
命懸けのギャンブルにしか感じ取れないだろうが。
■リュエール > 「気紛れ、ね」
それに救われることもあれば、それに絶望することもある。
男にすれば野良猫に気まぐれに餌を与えるような感覚なのかもしれないが。
いっそまだ性処理として使い捨てるにはちょうど良さそうだったとか言われた方がマシだった。
下心があろうがなかろうが、目的をはっきり断言された方が信用できる。
きっとそういうものがないからこその気紛れなのだろう。
どちらでもいいという言葉に事実そうなのだろうと思うと、ふ、と小さく笑う。
女はまた目を伏せる。
女は男の差し伸ばした手を払うわけではないが、取らなかった。
その足音が遠ざかろうと声を掛けるわけでもなく。
しかし襲い来るものがあるならば、身を守るために多少の無茶もするだろう。
そのまま女が王都の洗礼に呑まれるか否かは、手を取らぬ女を捨て置くであろう男の知る由もない筈だ。
■サタン > 見上げる黄色の瞳が伏せられ、女は差し出した手を取りはしなかった。
男にとっては気紛れ。
その言葉が、女への関心を表す言葉であった以上、
その手を取らない選択を、選んだのならば、男の気紛れも終わる。
差し伸ばした右腕を戻せば、カツン、カツンとまた革靴の足音は
女から離れてゆくように、また一定のリズムを刻みながら遠ざかってゆく。
男にとっては、女がその後どうなったのかは最早知る必要も無い事。
遠ざかっていく足音は、次第に女にも聞こえぬほど、小さくなり、男はこの地区から姿を消していったのだった――。
ご案内:「貧民地区の路地」からサタンさんが去りました。
■リュエール > ────男が立ち去っていく。
その足音が遠く遠く、やがて何も聞こえなくなる頃に戻る静寂。
闇の中でも暗順応した目が獲物として女を捕らえている数が多くなるなら。
流石にそろそろ移動したほうがいいかと、放り出していた脚に力を籠める。
胸に手を当てて、魔力を流し込んで体を起こして。
凌辱の痕が疼く下半身の怠さに眉を寄せながら、壁に寄り掛かる。
少し、もう少し息を整えてから。
新たな闖入者がなければ、女も気力を振り絞ってそこから離れていくだろう。
ご案内:「貧民地区の路地」からリュエールさんが去りました。