2023/08/12 のログ
ご案内:「迷路通り」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > 「えー じゃぁ、これっ」
ナイナイ、という言葉を体現する仕草をする彼に、エルフはしつこく次のポージングをして見せる。知る人ぞ知る(?)『サイドチェスト』名前のポージングだが、如何せんうろ覚えなせいで『キメ顔で振り返りお尻の形と足を見せたがっているヒト』にしか見えない。
彼の認識通りエルフは全体、ガチムチに身体を作り上げるのが難しい体質な事が多い。だからなのだろうか、『無いものねだり』の典型をいって『ガチムチ』に密かに憧れるエルフは少なくなかったりする。
実際そんな体形になったら、少なくともこのエルフの里では暮らせなかった(何しろ住処が基本的に木の上)だろうけれども。
「そーですわよね。まあ迷惑な時もあるらしいですけれど…例えばやたら『ヒトの乙女』を捧げて来るヒトたちがいて、処理に困ったって聞きましたわよ。そのまま返すと『役立たず』とか言われてひどい目に遭っていると知ってから、就職先を斡旋してあげたとか…」
そもそも母数が少ない存在だ。
個体差なのかそれが種として共通の性質なのか、彼ら自身でもあまり把握していないようだった。
もしかしたら、ヒトの研究者(居れば)のほうが良く知っているのかもしれない。
エルフはそんな事を思いつつ、指先から感じる思った以上にはキューティクルが保たれている髪質に、満足ではあるがからかえなくて面白くないな、という気持ちの籠った溜息を着いた。
「…バラして、ね
……アクセサリー かぁ―」
毛玉たちの要望を指先で感じると、ひとしきり彼らの要望に応えて両手でうりうりと擽ってやりつつ
彼の言葉と店主の言葉を反芻しながら、くるりと目を回してから横目でちらりと卵型に視線をやる。それからひとしきり、エルフ自身も毛玉たちも満足するくらい毛並みを楽しんだり擽ったりされたあと、2匹と1人はふーっと溜息をついて改めて卵型に向き直った。
「……」
エルフはじーっと若草色の視線をその石に注ぐ。
それからおもむろに片手を伸ばしてそれをつまみ上げ、もう片手でコンコン、とノックをする。はた目から見たら、本物の卵に対して『ゆで卵かどうか』調べているかのような仕草だ。
普段のエルフを知っているものからは『本物の卵じゃないぞ』とかツッコミが入りそうなところではある、が、エルフの表情は少しだけ真剣だ。
――――耳が鋭ければ、或いはエルフの指の動きを注意深く見ていれば、そのノックがリズムを伴っている事に気付くことが出来ただろう。
そうして毛玉たちが、二匹揃ってぴんと耳を立てて立ち上がって、エルフの手にした卵型を見上げた時。
ピシッ と
有ろうことか、その卵に『亀裂』が入る。入った亀裂からは、内側から光ってでもいるように宝石特有の複雑な光のきらめきが伺える。
――――――――――――――ピシッ ピシッ ピシッ
細かく爆ぜる音が続くそれを、エルフが再び机の上に置く。そしてほどなく
『―――ピィ!』
鋼色と鉛色と銅色と透き通った青と赤と緑と黄色と、複雑に混ざった色ではあるし先の卵サイズより小さいが、間違いなく『コガモ』のような姿が、机の上にはあった。
それがプルプルと身を震わせると、生まれた(?)時に纏っていた岩の欠片がパラパラと落ちていく。
宝石と鋼鉄細工のコガモは、黒曜の瞳をいかにしてかぱちくりとさせると
机の端に転がっていた店主の仕事道具、人形用の小さな鉛のボタンの方へとよちよち歩いて行って、ぱくり、とそれを啄む。
次にはまたぷるぷると身を震わせると――――ぷりっ!――という音は実際しなかったけれど、啄んだボタンが純粋な鉛の丸いカタマリとなって『然るべきところ』から産み落とされ(?)て―――ころころころ、と店主の手元へ転がって行った。
■影時 > 「……あ、あー、オジョー様?
それ諸々鍛えまくった連中だからこそ、キまるぽぉずだと思うンだが」
ナイナイを通り越して、これはどうしたものか。
数呼吸程度のシンキングタイムを経て、男が示した仕草は顔を片手で覆って首を振るというものだった。
身体造りというのは、体質も勿論そうだが食生活、並びに運動ができる環境があってのものだろう。
例えば、日々斧を振るう木こりは筋骨隆々であるか?と聞かれたら、どれだけの者がそう思うか。
日々重いものを振るい、運んでいればそうなるという意見もあれば、違うという意見も生じ、並びたつことか。
内心を踏まえて思うなら、筋骨隆々よりは今くらいが丁度いい、しっくりしている――と。云えば、どうなることかと思いつつ、胸に押し込んで。
「ははぁ。存外有情というか、不可思議というか。
行く先を斡旋って何を以てやってンだかと思うが、あれか? 神託を受ける巫覡のような連中でも居るのか?」
よく言う邪竜やらそれに類する魔物、或いは鬼種の類ではあるまいに。
人食いの習性がなければ、扱いに困るものを捧げものとされても困るだろう。それで腹や心を満たされないなら猶更か。
他所は違うんだなぁ、と感嘆を交えた表情は、エルフが述べたものとは相反するモノの心当たりを読み取れるかもしれない。
そして勿論、取って食われずに捨て置かれたものの扱いについても、また然り。
微かな興味を満たすようにと言いつつ、いい加減離さないかとばかりに、髪を弄る細指の主を見遣ろう。
頭上によく乗っかる毛玉たちのご利益?もあれば、整髪に用いている油が思ったより相性が良かったのかどうか。
「すまんな。性分故か、気の利くようなモンが中々浮かばん。
……身を飾るものくらい在っても困るようなものじゃあるまい?
それに売れば幾らかは足しにもなるだろうよ。先行投資、とでもいう奴だ。俺の部屋はというか、あいつらの場所位は用意してくれるかね?」
城を買うやら云う冗談とも本気ともつかないものを覚えていれば、実用に足るものが脳裏に浮かぶ。
権力者好みでもあった茶の湯のやり取りを思い出せば、真心を表す贈答品としては茶器の類が行き交っていた。
女心とはと思い出すと、その場の状況と手持ちも相まって悩ましい。
先に出した金貨の代わりに出せば、毛玉たちの服一式とエンチャントの代金に充当して、更におつりも出よう勘定だ。
そんな価値があると鑑定されたものを、一人と二匹が見る。その情景をエルフの後ろに回り、じっと覗き込めば――
「――うおっ!? こりゃぁ、卵じゃねえ筈の奴を孵したってのか?」
石質の塊をノックする。確かめるような仕草が次第に少しずつ、拍子を伴う。
立ち上がった二匹が耳を揺らし、尻尾を立てて左右に振ってゆくのはその拍子に合わせてゆくかのよう。
そしてあろうことか、卵程の大きさの物体が――孵ったのである。
正確には変化だろうが、変化の果てに産まれたものの姿かたちを思えば、きっと間違いではあるまい。
宝石色と金属色が複雑に入り混じったコガモ、と言うべきものを見てしまえば、そう形容だってしたくなる。
そうきたか、と。
左腰に手を当てつつ、くしゃくしゃと髪を掻いて見やるコガモが粗相めいたことを遣れば。「……あ」と。微かな声が漏れる。
■NPC > 「宝石の使い道って大体そうね。
お金に換えるもとにするか、アクセサリーにするか。どっちにしても腐らないもの」
金貨は発行、鋳造した国が存続している限りは価値を有する。
そればかりではない。貴重な金属の貨幣は発行元が滅んだとしても、諸々の価値等を見出されることで財貨の地位を保ちうる。
だが、重大な欠点として金、黄金は重い。持ち歩くのに苦労するから、宝石に換えて持ち運びやすくする。
一方で宝石は身を飾るものに出来る上に、魔法的な観点から見ると、換金以外の用途で様々な用途に扱える。
いずれにしても死蔵していても、換金もしくは加工できるアテがある限り問題はない筈。
悩むならば受け取って、何かアドバイスして帰りに花屋でも行かせようか。
真心の二文字と提示物に対し、言い訳めいた言葉を述べる男に思いっきり苦笑を向ける中で。
(……――このリズム)
エルフと二匹がやりだす仕草を見る。
術者の仕草に合わせ、カウンター上の空きスペースが広ければ、二匹はるんたたと踊っていたかもしれない。
魔法に心当たりがある、長けたものであるからこそ、今進行してる状況と予測される結果とは。
「あ、かわいい。石喰いの卵じゃないのに雛が出来ちゃったみた……え?」
生き物かそれとも使い魔めいた何かか? コガモめいた何かが産声を上げて、よちよち歩く。
触っても大丈夫かどうか。原種めいた危険性等はないかどうか。
それらを確かめるように見回していれば、コガモが行く先にあったものに気が付く。
補修用も含め、すぐに使えるように出しておいた人形用の小さな釦である。それをどうするのか、と思えば。
「……あー。うん。
すぐに使えるように出していたつもりだったんだけど、無くなった訳じゃないから……どー言ったものかしら」
鉛のボタンを食べて。出したのだ。
コロコロ転がって手元に止まるものは、出てきた場所のイメージからは一瞬触れるに迷う。
鑑定用の眼鏡を外し、ポケットに入れたら出てきたものを摘まむ。重みと感触は間違い様もなく、鉛のそれ。
■ジギィ > 「あーんオジサマ、想像力ですわよ。 そ う ぞ う りょ く」
どうやらムキムキに憧れる類だったらしいエルフはそう言って、次のポーズを思いつかなかったのでそのポーズのままでばちーん!とウィンクをした。そういった大会に出演できたら、間違いなく同じようにウィンクをしよう、と心に決めるエルフには、当然のごとく彼の心など伺い知れない。
(うーん、今度街中で良いマッスルを見付けたら、教えを乞わなくちゃ)
健康体、くらいの見栄えの変化で済めばよいが…瞳の真剣さからすると、危ぶまれる。
「巫女を名乗るヒトとかも居たらしいーですわけれど
実際は馬か牛かの知り合いに頼んでたみたいですわね。『荒くれ馬を手名付けられる唯一の人物』とかってふれこみで。私たちの知る馬たちからすると彼はスターか何かみたいな存在で、彼の嘶きを聞くだけで卒倒する雌馬とかもいるとか―――
…うふ、後利益増しておきましたわよオジサマ」
当人(?)からきいた話なので真偽は若干定かではないが、在り得なくはない話だし嘘をつかれる理由も無いので、問題なかろうとばかりに彼にそのまま伝える。
もし彼が次にあったペガサスが、全く別の雰囲気を纏っていたら―――まあペガサスにも『十人十色』と言うことがある、と二人してひとつ賢くなれるだろう。
「そうだなー まるちゃんたちは問題ないですわよ。もともと省スペースだし。オジサマは…そうですわね…入口のファッションチェックを通過できればその日は宿泊OK、ということでいかがかしら」
城の話を持ち出されると、くるりとエルフのどんぐりまなこの視線が上を見て空想を膨らませる表情を作る。幼児が将来叶うと信じている未来を語る時のものと、同じに見えるに違いない。
ファッションチェックのくだりは誰(?)か心当たりでもあるものか、にまーと厚めの唇が弧を描いて、同時に弧を描いた目元の視線が彼に注がれた。果たして出来上がる城は、冒険者から『お化け屋敷』とか『トラップダンジョン』とか呼ばれる類に近い存在になる、かもしれない。
さて卵を『孵した』当のエルフ、さぞ2人の反応を楽しんでいるかと思いきや。
「――――あらま」
当のエルフも、眼をぱちくりさせてコガモを2度見するくらいは驚いていた。
実際に起こったのは
件の卵にどうやら地の精霊が眠っているような様子だったので、それを『起こしてやった』ようなことだった。本来なら精霊として成り立つほどには未だ意識のなかったそれに、意志をあたえたというか―――取り敢えず反応が帰って来るかどうかどうか、試しただけのつもりだった。
本当に反応が返って来た所で、まさか個体として成り立つとは思っていなかったので驚いて、さらにその姿が親(?)の姿に寄せたものだったことにまた驚いていた。
(地の精霊なのに、鳥とはねー)
エルフが(そこら辺頓着ないんだー)また新たな事を知った、とばかりに腕組みをしてうんうんと頷いていると、件のコガモが栄養の摂取と粗相…もとい、新たなものを生み出した。エルフはまた考え深く一つ頷いてから、店主の言葉にはっと顔をそちらへ向ける。
「あーっ… ごめんなさいディアーヌさま!多分悪気は無いんですけれど
恐らく、食べたものは『純度』が上がるか下がるかどっちかになってると思いますわ。んーと、ねぇ?ぴーちゃん?」
エルフはフォローになっているのか居ないのかちょっと怪しげな言葉を店主に言って、それからまた獲物を探しているのか、よちよちと再び歩き回りはじめた(脚が短いのでとても遅い)コガモに恐ろしく安易な名前で呼びかけた。返事が返ってきたら名前決定である。
毛玉たちは自分たちより小さなこの生き物を如何しようか、それとも単に警戒しているのか、周囲をぐるぐる走り回って居る。
「えーと…ボタンへの加工って、難しいんですかしら」