2023/07/31 のログ
影時 > 「まァ兎に角やんちゃな頃があった、と。そう解釈しておくかね。
 痕跡を見聞し、見つけた文献を読み解く限り、肉体がない魔族の流刑地――残る念すら干上がる場所、だ」
 
力こぶを作る、作れるかの如くなポーズを見れば、もわもらと考える。想像する。ガチッ!ムチッ!な女エルフの像を。
ああ、と息を搾りだせば、ナイナイ、とばかりに顔の前で立てた手を左右に振る。
そんな体格のエルフが居ないとは断じて言えないが、其処まで身体を作った後の姿が似合うどうか、となると悩ましい。
どちらかといえば、今くらいでいい。むちっとしても良い位だと。言葉には出さないが脳裏に思うに留める。
精霊は使えないにしても、己は氣から紡ぐ実体のある幻像として分身を群れとして使役できる術を会得している。
その分身の使用を件の場所では、突入した段階ですぐに控えた。
この点を踏まえ、何か考える、対策できる手立て等があるのだろうか? 垣間見える笑みにそんなコトを思って。

「……――貢がれる類の生き物は、あーその、なんだ。色々恐れ入るな。
 おだてるワケじゃねぇが、何か捻ったものを事前に持って行かねえとダメか」
 
待て待て、と。ペガサスやユニコーンやら、馬のような生き物についてはまことしやかに語られる内容がある。
お知り合いは世間慣れしている類の生き物(ナマモノ)である、ということなのか。
分からなくなる。否、自分が知り得ている内容自体がそもそも正しくない、正確性に欠けている、ということなのか?
しゃがみ込んだ姿勢で聞いた内容を反芻していれば、頭を抱える仕草でさえやってしまいそうになる。
さて、撫でられる頭自体は――薄いということはない。モモンガが鎮座し、栗鼠が乗って守り神でもやっているお陰か。

「手に入れて、鑑定に持ち込んだのは最近なンだよ。
 ご明察。干上がったと思われていた遺跡に未踏破領域を偶々見つけて、な。
 その奥に居た奴を倒して、腑分けしたときに見つけたンだよ。溶剤で溶かしてバラせば、良質の宝石が取り出せるという鑑定済みだ」
 
入手自体は最近のこと。すでに隅々に探索済みと思われた遺跡に巣食った亜人の群れを討伐する際、火薬を盛大に使用した。
その火薬の爆裂のせいで抜けた床の向こう、奈落の底の奥で生息していた魔獣を討伐した際の戦利品がこれだ。
属している冒険者ギルドお抱えの鑑定士によると、高ランクの査定を受けた。その証明となるお墨付きの羊皮紙も一緒に取り出し、示す。

「俺としてはな、お嬢様。バラして身を飾るものに使って欲しいと思うンだがね」

売ればもちろん金になる。それも大金だ。今日男が最終的に支払うものの額をこれで払っても、おつりが山ほど出るものの。
が、宝石は換金目的だけではない。身を飾るものに出来るのだ。取り出して適切に加工すれば、精霊や魔法を籠めたアミュレットにも出来る。

NPC > 「失礼」

然りと頷く男の言葉を聞けば、女店主はカウンターの引き出しを開ける。片眼鏡状のルーペを片眼に装着する。
そして手袋を付ければ、慎重な手つきで鶏卵大の物体を取り上げ、しげしげと眺める。観察する。
口の中で小さく呪文を紡ぎ、魔力を走らせて発動させるのは、鑑定の魔法であろうか。
魔力を注ぎ、返る抵抗、手ごたえの具合を確かめれば、はああ、と長く溜息の如く息を絞りだして。

「……城は言い過ぎだけど、一軒家を家具付きで買うには足りるわね。
 どうしてこれが値が付くのかというと、錬金術で精製した溶剤に入れると、力に訴えずに原石を取り出せるからなの。
 その原石も、うん。大きくカット出来る良質品だわ」
 
お城が欲しいなら、何十個何百個もいるんじゃないかなーと。冗談めかしながらも、良品であると告げる。
男が取り出した羊皮紙を受け取り、記載内容を鑑定者の名と共に確かめれば、間違いないであろうと判断する。
最終的に鑑定を行ったものを、そっと。袋の上に乗せると。

「あたしなら売るより、然るべき所に持ち込んでアクセサリーにしてもらうわ」

そう述べる。毛玉たちは撫でられつつ、耳の裏や尻尾の付け根も撫でて欲しいとばかりに身じろぐ。
なごむ風景に目を細めつつも、ただ売りに出すのは早計ではないか、と。アドバイスを送る。

ジギィ > 【次回継続】
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影時 > 【次回継続にて】
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