2023/07/30 のログ
ジギィ > 「大丈夫ですわよ。こう見えてわたくし、生まれて3か月目には長老の樹のてっぺんまで――――― こほん。
 兎に角頑丈さと、足りなければオジサマを遠慮なくすっっっっっごく頼りにする素直さだけは折り紙付きでございますわ。
 
 まあ、ディアーヌさまはセンスもよくて助かりますわね。… ――――?」

店主の方へ、棗ほどの大きさの水晶を手渡したその手が彼に取られる。
何であろうと不思議そうな瞳を手ではなく彼に向けていると――――その指先から『うしなわれていく』感覚。

覚えがないわけではない。
故郷の森でそう言った幽鬼が迷い込んで討伐に駆り出されたこともあるし、これよりもずっとずっと小さくて影響も大きくはないけれど、他者の魔力を喰らう事で永らえる昆虫たちだっていた。
なので、びっくりしたあと、なんというか、最終的に

『――――やっぱりその刀、刀以上に物騒なものなんじゃん!フツーこういう時に持ち歩く?』

じとっと上目に彼を叱る目つきをしたのである。

「ン―――――― あの子に頼むなら確かにアシの心配なら要らないかもしれないけど、お土産も良いもの用意しないとだめそうかなー 星屑の欠片とか…
 スケベでいいわけないでしょオジサマ。 性根を疑いますわよ? そんなだからディアーヌさまみたいな魅力的な女性に見向きもされないんですのよ」

言葉の最後は、店主に向けて『ねえ?』と同意を乞うような表情を送りつつ、そっと触れた短刀の先から手を剥がしていくだろう。
そのあと、無意識にその指先をもう片方の手で温めるようにさすっている。
その恰好のまま、こちらへ贈る、という言葉を聞くと心底不思議そうに首を傾げて、考え込む視線を床に落とした。

自分としては同郷の毛玉たちにお仕着せを作ってもらう―――可愛がってもらうというのは、此方から感謝することでこそあれ、感謝を受けることとはまるで思っていなかった。だもので、理由を考えてみるのに3秒――――その後ネタを考えるのに4秒。
だもので漸く顔をあげて、にっこり笑って口を開くまで、たっぷり7秒。

「――――じゃあ、おじさまのマゴコロ」

語尾にハートマークが見えるのではないか。
観客と化しているであろう店主と毛玉たちから、もしかしたら『呆れる』といった気配が目に見える程立ち昇るかもしれない。

ジギィ > 【次回継続】
ご案内:「富裕地区・商業エリア」からジギィさんが去りました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」から影時さんが去りました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
影時 > 「おー、そりゃすげェや。元気なお子さんで。
 俺の故郷にもそんなのが居たとか聞いたな。その手の益荒男が。
 
 ……――感じたなら、少しは備えとけ。俺が行った先の地の底は、此れを強いてくる場所だった。
 頼りにするのは良いンだが、俺にも出来ることの限度というのはあるぞ。 
 多分、あー。“えなじぃどれいん”に対する護符とかありゃ良いんじゃねえかね」
 
嘘か真か。本当か?と聞いたところで、嗚呼、此れは己にも分かる。聞くだけヤボというお話である。
真偽はともかく、産まれたころからお転婆で元気いっぱいだった、という位に思っておこう。
そんな頑丈さやら、危ない時は誰かに頼る、というマインドを前提にしても、過去に訪れた場所は危険地帯であった。
今、腰に差した刃はその危険地帯で産出するものを精錬し、短刀というカタチに為したもの。
慣れた自分は氣を適度に流し、吸わせて手懐けたようなものだが、そうでないものにとっては脅威であろう。

『……手頃なンだよ。長物より嵩張らねぇから』

身も蓋もなく言うなら、「突入条件:耐性装備or耐性技能」とされるべき場所である。それを体感させたのだが。
が、そんな風に見られるとそっと、明後日の方向を見ながら大袈裟に肩を竦める。
特徴を弁えて扱える者であれば、携行しやすい武具というのはそれはそれで便利なものであるが、その感覚を伝えるのは難しい。
次回があれば、せめて扇のような手慣らしにもなりそうなものを見繕っておこう。そう心に決める。

「歩き旅をしてェなら、其れは其れで風情があって嫌いじゃないが。……飛べるなら其れが楽なんだよなぁ。
 星屑の欠片? なンだそりゃ。隕鉄の欠片――でもないよな?
 ははは、性根はなぁ。今更だろう。自分で言うのもなンだが。……見向き、ねぇ」

短刀の柄に手指を剥がしていく仕草と動きを感じれば、触れるように仕向けていた己の手も離す。
旅は苦労も含めてと思えば、歩いて移動すること自体は問題はない。急ぐなら走れば良い――というのは、忍者だからの発想だろう。
だが、エルフは勿論忍者ではない。故に使える移動手段があるのなら、使ってしまう方がいい。
お土産として示されたものの名を聞けば、怪訝に眉を顰める。何かの鉱物か、はたまた甘いものなのだろうか?

「……おまえなァぁぁぁ。そうかそうかそう来るか、そう来たかー……」

ああ、そして。およそ七秒の時間を経て出てきた語句に思わず、右手で顔を覆う。さらにしゃがみこむ。
マゴコロをやらを物理的または数値的に定義し、具現化しろと言われて、直ぐに明示できるのなら苦労はないと思う。
それだけに、真心という言葉の概念は扱いがとても難しい。共感できる人間は多いのでないか、とも確信していい。

NPC > 「あはは……」

センスが良いと言われるのは嬉しいけれども、お客さんにコイするかどうかは、どうだろう。
そういう発端の恋もあるにはあるだろうが、何か違う。
そもそも、初対面で何を何処まで知れるのだろう。逆に色々知っているような風情の二人を見やり、店主は思う。
一先ず、何かの仕事を請けてパーティを組む分には、問題ないだろう。そう思う位か。
腕が立つだろう上に、依頼をこなしている間については、余分に波風を立てる類ではないと。

「……………………」

真心と言われると、嗚呼。色々と思い返す苦い物が商売人としてある、らしい。
何か意に添わなかったのか、店先で文句を散々垂れ、誠意を見せろ――と言われたとき、何を以て誠意というのか。
表しい難い、あるいは落しどころではなく何を引き出したいのか、それこそ行間を読むようにして考えさせられるような。
諸々を噛み締めつつ、店主はカウンター上の毛玉たちと、顔を見合わせるようにして呆れる。
言葉は交わせずとも二匹と顔を見合わせる仕草は、こそこそ話でもするようにも見える。

「……何かあったかな、ン?んん?あれ、君たちどうしたの?」

一人と二匹がはぁーと大袈裟に溜息をする仕草した後、何か無かったろうかと。
女店主がカウンターの引き出しを開けたところに、動きが生じる。
何か話し合うような動きと共に、二匹の毛玉たちがしゃがみこんだ親分の肩へと飛び移るのだ。
そうして、親分の羽織の袖の中へと潜り込んでゆく。其処に何があるのか。突っ込んだままにしていたのか、思い出させるために。

ジギィ > 「そうそう、そのマスラオとやらだったわけですわよ。なので取り敢えず素養は十分ですわ。
 
 …そのテのに対抗するのはある、けど―…」

己のお転婆具合は、幼少のころの記憶がその樹から大鷲に攫われた時だとか、谷に転がり落ちた時だとか狼とくんずほぐれつした事だとかそう言った時に見た景色しかないことからして、自分自身で太鼓判が押せる。
しかし指先に感じたそれは、その素養とはまた別種のものを要求するものだった。このエルフに取ってそれは力でねじ伏せるべきものではなく、技巧的に『いなす』ことを想わせるもの。
方法はいくつか思いつく、ただそれの結果の想定ができない。だから出立するならその前に実験しておく必要があるだろう。そう考えて、言葉を紡いでいながら考え込む視線を指先に注いだ。

「自分にとって手頃だとまあ気軽になってしまう気持ちは解りますけども…
 ――――次一緒に街中を歩く時持ってきたら没収いたしますわよ?ちなみに預かり先は空の彼方で、お返しできるかは保証いたしません」

当人から見て『扱いやすい』ならばそう『して』しまう気持ちは解るけれども
このエルフから見ると、幽鬼に匹敵する力がこもったもの(しかも実際凶器)をヒトが多い場所に持ち歩くのはちょっと、いただけない。
なので次見付けたら、魔神級の風の精霊にでも頼んで、星々の煌めく空間まで吹っ飛ばしてもらおうかしら、とか―――――半分冗談で、半分本気で、人差し指を立てて彼の目の前で振って見せる。

「星屑の欠片は星の形をした珊瑚で正解したわね。
 ン――― まあ、ぶっちゃけトンチが聞いたお土産なら大丈夫ですわよ。趣味を間違えると蹄か角の餌食になる事を覚悟したほうがいいですけれど…」

適当な要求を彼にした後早々に、店主を誘って今度歌劇を見に行こうかしらん、とか思っていたところ。
『マゴコロ』という言葉は彼には相当に重かったらしい。やっぱり真面目だなぁと、思わず唇の端が上がってしまう。

(世間一般を照らしてテキトーに花一輪とか(まあダイヤモンドとかお城でもいいけど)そんなもので十分なのに)

問われた本人は『己のマゴコロ』とむきあってくれてしまったらしい。そんな生真面目に考え込む姿に笑みを深くする辺り、このエルフの性根が現れている。

(おちょくりたい)
「楽しみだなぁー おじさまのマゴコロ」

しゃがみ込む彼にダメ押しのことばを投げかけていると、店主と一緒にいたカウンターから彼の方に降り落ちていく毛玉たち。が目に留まる。
ああ、ちゃんと懐くようになったんだなあと親心が湧いて来て思わず若草色の目を細めた。

「…じょーだんですわよ。
 立ってくださいオジサマ。背が高い人が丸まっていると、何か…… 頭を撫でたくなってしまいますから」

珍しく見える彼の頭頂部。エルフは感動的な表情をつくりつつぷるぷると震える手を、彼の頭に伸ばしたりてみたりする。

影時 > 「なお、益荒男と云うのはだな。知ってるかもしれんが……屈強な男、強い男という意味で使うコトバな。
 備えについては最低でも数刻保つとかいった、使い捨ての奴でも良いから必要だ。
 あと、精霊を喚んでも普段より保たないと思っとけ」
 
認識している限り、益荒男という形容、喩えは女性相手にはそうそう使わない。その筈だ。
並外れた女傑であれば良いのかもしれないが、見やるエルフは――流石に強引にそうであるというには、無理があるかもしれない。
念のために釘を指すように応えを投げかけつつ、赴いた先での経験に基づいたアドバイスを述べよう。
迷宮探索を行う際、生命力、生気を奪ってくる不死者(あんでっど)や魔族に遭遇することがある。
かの土地、地底の領域の特徴も文献を読み漁る限り、そういった敵が使ってくる能力、異能のそれによく似る。
肉体を持たない存在に対してであれば、それこそ吸い尽くされて影しか残らない、ということも在り得たろう。

「……勘弁してくれ。そいつは大いに困る。
 嗚呼、珊瑚の類のことか。トンチってよりは洒落の利いた奴をお望みとは、腹の足しにならんだろうに」

武器の類は使っていれば損耗し、最悪喪失する可能性がある。力量を受け止める器が浅ければその可能性は大いに膨れる。
エルフの方から見れば、刀も短刀も凶器中の凶器かもしれないが、自分にとっては大事な商売道具だ。
今でこそ最悪喪失、破損してもどうにかなる伝手はあるが、其れでも矢張り返却の保証もない没収とはとても困る。
空かとばかりに天井を振り仰ぎ、続くベガサス氏とやらのお土産に、眉間に刻んだ怪訝の皴を一層増す。
知り得ている知識で言えば、生き物の筈だが、トンチがよく効いた事物で腹が膨れるのか? それでいいのか?と。

「お前らどうした。……あー、確かに袂がちょいと重かったが、入れっぱなしにして奴を出せって云いてぇのか」

そんな中、マゴコロと向き合ってしゃがみ込む中、何を思ったのか。
二匹の毛玉たちがぴょいと飛び上がり、己の肩に落ちればもそもそと袂の中へと潜り込んでゆく。
袂は財布も含め、色々突っ込んでいる場所でもある。最近は手裏剣も重しの如く入れていることもあるが、別の重みもあった。
まさかと思い、二匹が潜り込んだ側の袖口を漁る。それは先ほどの支払いの際に金貨を取り出したのとは、逆の側。
掴み出すものの形は鶏卵大の何かが入った、と思わせる革袋。二匹が抱きつくように取り付いたものを一瞥し、

「撫でんなったく。楽しみって云うなら、まあ、ものを見て述べてくれ」

丁寧に撫でつけるように髪を整えた頭を撫でられれば、その手の微かな動きも否応なく感じる。
そんなにツボに入るものでもあったのか。腹の底から息を吐き出しつつ、のっそりと立ち上がろう。
そのうえでカウンターを見れば、袋の口を縛る紐を二匹が咥え、えいやっと解く姿が見える。

NPC > 手紙など含め、事前の打ち合わせができれば、オフの時に時間を割いて歌劇を見に行くのも吝かではない。
そうでなくとも、店を開いて注文と納品のやり取りをしていれば、世間話のように聞こえてしまうものも大いにある。
性分なのだろうか、真面目腐って考える男に何か考えたらしい毛玉二匹が取り付き、羽織の中に潜ってゆく。
そうして、毛玉ともども取り出されて置かれる品を眉を上げて見下ろそう。

「これ若しかして、……“石喰い”の胃石?」

置かれた革袋の紐が解かれ、照明の下に晒されるのは鶏の卵ほどもあるごつごつした物体であった。
色合いは灰褐色と黒色が混じった石質のもの。だが、色はそればかりではない。
石質を地にして、見事な光を放つルビーのような赤色、サファイアを思わせる蒼色といった、宝石状のものが散りばめられている。
そのものの正体には覚えがあるらしい。
まさか、といった表情で女店主が男を見れば、然り、と頷き返す姿が見える。

口に出す魔物の名は、主に地下迷宮で目撃と討伐事例が報告されている大きな鶏めいた魔物である。
岩石や金属を食料とし、それが魔力を秘めているものであれば、猛毒や石化を伴う瘴気の吐息を吐き出すチカラとなるらしい。
そして、運が良ければ胃には消化途中の宝石類が分泌液で固められた状態で発見される、というのである。

ジギィ > 「… まあ、わたくしも長く生きておりますから。 そう言うマスラオだった時代があったわけですわよ。
 ……―――そーね、 『在る』精霊ならね…」

一瞬固まってから、ほほほ、と笑いながら力こぶを作るふりをして見せる。ポーズを通して、このエルフが大胸筋と上腕三頭筋を誇るガチムチマッチョになっている幻影が見えたりする、かもしれない。
 エルフは精霊が『持たない』と言われると意味ありげな返答をするが、べつに興味を引きたいがためのものではないらしい。ひたすらに考え込む視線を地面に落としていてふとそれを持ち上げるとにまっと笑うだけだろう。

「お腹の足しになるような貢ぎものは他の人からもゴマンと貰ってるから、本気で相手にしてほしいならちょっと捻らないとダメっていうことですわよ。そーですわね、裕福な国のオヒメサマみたいなものですわ。
 ちなみに知り合いのペガサスは意外といろんなものを食べるみたいですわよ?」

果たしてエルフの知り合いだというペガサスが一般(?)のペガサスと同じなのか定かではないが、兎に角エルフには『ペガサスは意外と雑食』と言うような印象があるらしい。『意外とペンペン草も珍しがってくれたりした』というのは敢えて言わないでおく。

なでなで、彼を大手を振って撫でても良い機会
が本当に今かどうかはともかく、理由をこじつけて彼の頭を撫でてみる。
うーん、ちょっとキューティクルが足りないが一応気遣ってはいる、及第点である、とでも言うようにうむと偉そうに頷いていると、のそりと立ち上がる彼のために手は自然と離れて行った。
(しまった、もうちょっと遊べばよかった)という表情が過ぎったのは見られてしまったろうか。

毛玉たちによって店主の目の前に鎮座したのは、鶏卵 に似た、宝石を煮固めたようなようにも思える石だった。
驚きを隠せない様子の店主からすると、珍しいものらしい。が――――

「『いれっぱなしにしていたやつ』をマゴコロと言うのはちょっと頂けないですけれど…」

などと文句たらたら、カウンターに近寄って、店主ともども石を覗き込む。ついでに毛玉たちをなでてやる。喉を指先で擽られるのが好きなのは先刻ご承知だ。
美しいもの、キラキラと煌めくものに魅力を感じないわけではない。けれど。

「……これを売ったら、お城くらい買えますかしら?」

エルフは、若草色のどんぐりまなこでじーっと凝視したあと
もう十分見たとばかりに視線を上げて、店主に尋ねるのである。娼館で、貢物をその場で質屋に換金すると宣言する高級娼婦のごとくの暴言だ。
価値の解らないこのエルフに取って綺麗な『だけ』のものは、そう言う対象であるらしい。