2024/09/22 のログ
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ご案内:「魔族の国/辺境」にルージェさんが現れました。
ルージェ > 辺境、あるいは辺獄。魔族の領土のその一端を黒く夜に塗りつぶされた土地。
死棘が侵入者を阻む夜の森のその奥。
その地の主の城館が静かに佇む。

その最奥。夜に蠢くものの気配すら遠いその場所は、皓い月明かりが降りている。
点在する庭園の一つ。月の灯りを吸い込んだ白い花がほのかに揺れるその場所で。
背を伸ばし佇むそれは、女のカタチをした『夜』の一人だった。

周囲の柔らかな光すら拒絶する黒の染みがぽつねんと、空隙を作る。
流した黒髪と、装束の黒に反する死蠟の肌が、白く月明かりに浮かび上がっている。伏せた瞼、濃く影を落とすまつ毛の一つ一つが作り物じみた造形。

それはただ───その足元に咲き散らす花々と同じく、月の光を甘受している。
ただそれだけだというのに…言い知れぬ不安を纏うのは、それは同時に獣が休息しているだけという事実でしかない。

ルージェ > す、と瞼を引き上げ、赤い双眸が覗く。
白い花の中、影が滲んだような形状が膨らみ、ひと呼吸後にはその花園から、影の主は消えていた。

ご案内:「魔族の国/辺境」からルージェさんが去りました。