2024/01/16 のログ
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ご案内:「魔族の国」にアルジェントさんが現れました。
アルジェント > 毛先に連れて色の変化を生じる蒼鈍色の毛並みが、光を弾く。
気だるげに、庭園めいた場所のベンチに身を横たえているのは、……他にすることがないからだ。

城に見紛うそこは領主の館。
そこの領主に仕えてるというわけじゃないが。以前と同じく偵察仕事で声を掛けられた。
断る理由もないから契約のために訪れた城館はやはり己にとっては少々窮屈だ。

当然己一人ということもなく、幾人かは知った顔もいたり、なかったり。
直接領主と目通りする様な立場でもない。
直属の上官となる魔族と面通しと契約を追えたら待機を命じられた。

ので。

「──────」

日向のベンチにうつ伏せに伸びる狼が一匹。
垂れた尻尾の先がコートの裾からわずかに覗く。
寝てるわけじゃないが───目を閉じて、ただ光を浴びている。

アルジェント > その姿は野生の獣が警戒しつつも身を休めるようにも見えるかもしれないし、あるいは、ただ寛いでいるようにも見えるのかもしれない。
時折わかりやすく示されている獣相の一つ、耳が周囲の音を拾って軽く跳ねた。

その館の主の眷属というわけではないが、契約している以上は身の安全は保障されるのだろう。
偵察に向かうのが人の国であれ、他の魔族領であれ己が考えることじゃない。
己の仕事はその先、ではあるけれど向かわされる先次第では多少やり方は変わってくる。
争いが絶えぬ、という意味ではどちらも変わらないな、と麗らかな陽射しを浴びながら狼はゆるく思考していた。

アルジェント > 「……ん」

ぴく、と耳が反応する。伏せていた瞼を引き上げると、金目が眩し気に細められた。
くぁ、と欠伸を一つこぼして、黒衣に包んだ体を起こす。
呼び出しにぐぐ、と腕を伸ばしてから、歩き出す。
コートの裾から覗く尾の先をゆらゆら揺らしながら、呼ばれた先へと向かっていった。

ご案内:「魔族の国」からアルジェントさんが去りました。