2023/11/18 のログ
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ご案内:「魔族の国・底なし沼」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
魔族の国
どこぞか森の奥かはたまた集落の近くか
淀んだ沼の畔に女鬼が一匹、肘枕をついて地べたに寝そべり、手作りの釣り竿を眺めている

うっかり夜半に飲みすぎたか、獲物を取り逃がしてしまい空腹
俊敏な獲物には逃げられることもしばしば、酒が入っていれば尚の事
惜しんでも飯は帰ってはこず、大欠伸を噛み殺しながら、こうして沼に釣り糸を垂らしていた

「退屈が過ぎる…。
 仙人どもはよう飽きぬな…」

釣りの暇さにぶつくさと文句を垂れ流しながら

ご案内:「魔族の国・底なし沼」にデイロスさんが現れました。
デイロス > 「ここか……」

 九頭竜山脈の温泉宿で健康と長生に良しとされる美食と秘湯を思う存分満喫し、ゴルドを使い果たした巨漢の戦士。
 すってんてんになった後、宿の主から「沼に巣食う大魚を得られれば、終生賓客として宿泊する権利を進呈する」と言われ、はるばる魔族の国まで戻ってきた、のだが。

「……女の先客がいては仕方がない。おい、漁を手伝ってやるぞ。獲物は譲る」

 危険な場所で女性が独り釣りをしている、ということは食うや食わずの事態、ということは女神の子にして戦士の種族たる己が助力するは当然。そんなマチズモ溢れる価値観で誤解を重ねた男は、女鬼の隣に屈みこんで澱んだ水面を見下ろした。

天ツ鬼 >  
「……む?」

どうやら客らしい
焚き火に照らされより赤く見える褐色の肌の女鬼は寝そべったままに視線を向けて、男の姿を確認する

如何にも、という言葉が相応しい
腕節の強そうな大男、逞しき偉丈夫
視覚から伝わる情報だけでも男が強者であることが理解る

で、あれば女鬼の気性が黙ってはいない
跳ね起きるように身を起こし、胡座をかくような姿勢で雄を見上げる
立ち上がったとて見上げることに変わりはなかろうか、それはそれ

「呵呵、貴様も飯の種を?」

さて、どういう情報で此処にやってきたかは兎も角、男は釣りを手伝おうと言い出した
荒々しい雄のような見た目の割になかなかの気使いだ

「しかし一言気になるぞ、貴様」

女の先客、と男は言った

「女であればと手助けするつもりか。
 不要不要!飯くらい自らどうにかするわい。───それより」

「貴様、強そうじゃな」

立ち上がり、雄を見上げる女鬼
煌々と焚き火に照らされる女の姿は少なくとも弱者には見えないだろう
頭部に伸びた双角に鋭い爪、くっきりとした筋骨の浮かぶ肉体を薄布で申し訳程度に隠した女は、鋭くギラついた目つきで楽しげに雄を見据えていた

デイロス > 「当然だ。男は女を助け、女は男に寄り添う。生きとし生ける者は皆この摂理に従うべきで……」

何時もの通り氏族にいた頃の持論を垂れ流そうとした大男は、焚火の傍にいた女を改めて見つめ直した。屈強であると共に豊満。そして顔立ちは、氏族で理想とされる従順な風には見えないが、確かな強さを感じさせる荒々しき美貌。

自慰を済ませていなかった男の性欲が鎌首をもたげる。力を信奉する魔族にありがちな「強さ≒高貴さ≒美しさ」という価値観と、自身がひた隠す暴力的な性癖が囁きかけてきた。「こいつを、俺の牝にしよう」と。

強く頭を振った後、男は羽織と高下駄を脱いで沼を再び見下ろした。

「女、妙なことを思いつくものではないぞ。見たところ肉付きは良いようだが、それは夫と交わり、子を孕んで乳を飲ませるためのものだ。女は女らしく、身体を労わらねばならん」

女の冒険者も多くいる昨今にまるで合わない説教をしつつも、男は呼吸を整え相手に背中を向けた。脚衣に押し込められた巨根がいきり立つのを見られないように。

天ツ鬼 >  
「──くく、魔族の国に在ってこのような益荒男に出逢うとは」

面白い、随分と理性が働くと見える
そのような背格好、闘争を苦手とするわけでもあるまいに
察するに相手が女であるから、という一点のみで男は己を律している
そう感じた女鬼はからからと嗤う

「生憎定命の種ではなくてのう。
 幾百と生きたが子を孕んだこともない。
 何より最近はとんと同族の姿を見ぬでな……、と」

いらんことまで口にしたか、と思いなおし
男が背なを向けてしまうのを見れば、やや眉を顰める

「鬼と出逢うて背を向けるとは。
 我が里の武人であれば勇猛の名折れぞ!」

男の持つ矜持、女をそう扱うのが当然と思っているのならばそれはそれで良い
出会った女が、ただの雌でないことを理解らせてやれば良い
焚き火の側に突き立てた大鉈には触れず…重々しく大地を蹴ると、男の背に向け飛び掛かる
背の傷を恥と思わぬならばそのまま背を向けているがいい、と言わんばかり
そして男の体格を見て徒手での殴り合いを選択したのだろう鬼が、高らかに右拳を振り上げていた

デイロス > 同族の姿を見ていない。孕んだこともない。女鬼の言葉は悉く男を刺激する。つまり彼女は家庭を持っていないし、恐らくは憎からず想う男もいないようであるし、であれば……であれば構わぬのでは?ぐらりと、心が揺れる音さえ聞こえたと思ったその刹那!

「ふ……っ!」

凝縮された筋肉がもたらす重量と速度は強大な運動エネルギーを生み出す。もし男に何の策も無ければ、駆け寄った女鬼の一撃で沼へ放り込まれていただろう。骨の2、3本折れてもおかしくない。
だがそうはならなかった。振り上げられ、完璧な間合いと時機をもって繰り出された彼女の拳撃を、両目と全身の茨模様を緑色に輝かせた男は、振り返りざまに、無造作に受け止めていた。
女鬼の剛腕には、非常に強い弾力を持つ壁を殴ったような違和感が伝わっていることだろう。

「悪ふざけが過ぎるぞ、女。分を弁えろ……二度は言わん。さもなければ……」

拳を受け止めた右腕をそのまま突き出し、距離を取りながら唸る。言葉だけは素っ気ないが、男は既に保護者面を止めていた。女鬼へ向き直り、両脚でしっかりと地面を踏み締め、全身に光が駆け巡る。

「その身体に分からせてやる。女は、男に傅く生物だとな」

天ツ鬼 >  
「──ほう!」

拳を受け止めれた鬼に浮かぶは嬌笑
沼の表面が波立つ程の衝撃を産んだ一撃
悠々と受け止めてみせた雄に、昂ぶるを抑えられないといった貌だ

「呵呵、我が一撃を悪ふざけと付すか。
 ──如何な流儀、如何な矜持か知らんが…」

より力在るものが正義
そこに雄も雌もあるまい、という女鬼の言葉
どっちもどっち、ではあるが
それが互いの持つ価値観の相違であるのならば已む無く

「そう嘯きたくば、力で捻じ伏せ、地に屈させてみれば善い!!」

向き直る偉丈夫
その姿には翠光の輝きが見える
魔術であるとか、魔法であるとか…小細工の類でないことを本能的に察知すれば
再び、一足
地面を蹴り穿ち、雄へと迫る
ド正面、真っ向から変化もなにもなし──女鬼が単純な力勝負を是とする存在であることを雄弁に語る一撃
力を漲らせた右脚を振り上げ、遥か上に位置する雄の顔面目掛け、まるで大斧を振り上げるような蹴りの一撃を見舞う──!

デイロス > 「それが答えか、女ッ!」

何の躊躇もなく再度向かってくる女鬼に、巨漢の戦士は短く叫び、残光を伴って弓を引くような構えを取った。溢れる戦気と獣欲を咆哮に乗せ、彼女の蹴りの姿勢を見るや、下がるでも脇へ退くでもなく、真正面へと一歩踏み込む。

そして交錯する寸前、僅かに身を沈めながら右側へずれた。顎はおろか頭蓋ごと粉砕せんとする強烈な蹴り上げが顔を掠め、力場が減衰し頬から額まで裂け曇天に血が吹き上がる。

だが男もただ傷を負ったわけではない。蹴り上げたことで前方上側へ流れた女鬼の美しい顔に、カウンターの如く左の掌を合わせ、彼女の左脚に自身の左脛を押し付け……

「ぬぅおおおっ!!」

前方、下方に向けて力場の推進力を発動。自身が立っていた場所が陥没する。そして、蹴りを放ち終え左脚のみで立つ女の顔面を握り込み、渾身の力を込めて地面に投げ倒さんと。

天ツ鬼 >  
顎先ごと蹴り砕き、妙な矜持を嘯くその口を効けなくしてやろう──
そういった狙いがあったかなかったか、しかしその蹴りは僅か、男の貌に傷を残しただけに終わる
無論、後に残った身体は隙だらけ
端から、攻撃後の隙がどうこうなど細かいことを気にするような気性もしていない女鬼らしいといえばらしいが
今宵の相手は、こと膂力…肉体的だけで想定しても恐らくは女鬼と同等か、あるいはそれ以上の雄であった
洞察するのは時間の無駄、ぶつかってみれば理解る
当然、それが裏目に出ることは多々あれど
それでも鋼の如き肉体と剛力で粉砕し続けてきた鬼が、漸く感じる

「(───此奴、強いな!)」

己の顔面を鷲掴む力にすら、それを感じる
急激に真下へ、まるで自分にかかる重力が強烈に増したような感覚を覚えた───直後

──炸裂音と聞き紛う程の轟音と震動

「ぐはッッ!!?」

後頭部が地面を叩き割る程の勢いで地面へと叩きつけられる
さすがの女鬼も苦悶の声をあげる───しかし

「───」

顔面を掴む指の間から除く、迸る碧光のような視線は死んではいない
むしろよりギラついた眼で雄を睨めつけ──、脚を戻し折りたたまれた腹に力が漲る
そして、男の腕の長さの分の隙間から、雄の無防備の腹目掛け、渾身の前蹴りが放たれる──

無論ノーダメージではない、しかしてまずは反撃…女鬼の、雄にも負けぬ気性の荒さが垣間見える

デイロス > 「ほぉ。並の相手ではないと思ったが、気を失うどころか……ッ!?」

女鬼の足部より先に、風圧を腹に感じた。波打つ緑の光が割れた腹筋に集まるのと殆ど同時に前蹴りを叩きこまれる。

攻撃の威力を削がんと、咄嗟に跳び下がろうとしていた所へ蹴りを喰らい、力場の反発力もあいまって男の巨躯が冗談のような勢いで吹っ飛んだ。

底なし沼を取り囲む大樹のひとつに背中を打ち据えられ、半ばからへし折れたそれが倒壊し、枝葉と土くれが宙を舞う。その向こうに、緑色に光る大柄な人影が浮かび上がった。

「面白い。お前なら、そう容易くは壊れんだろうな。……俺の名はデイロス!! 戦士よ、名乗れッ!!」

脈打つ光を纏う男の顔には、それまでにない表情が浮かんでいた。そう、笑顔である。真面目腐って古臭い男女観を説いていた時からは想像も出来ないほどの、どこか獣じみた笑顔で自身の名を吼え、次いで相手に訊ねた。

天ツ鬼 >  
「ふぃ…」

大男を彼方へと蹴り飛ばし──飛び退ったのもあるだろうが───ゆっくりと女鬼が立ち上がる
ごきごきと首を鳴らし、ダメージを確かめる
視界が僅かに歪み、揺れる
獲物を持って戦うというのであれば支障が出るが、懐に飛び込んで暴れるのであれば問題ない
脳まで筋肉で出来た女はそう断じ、土埃の向こうへと視線を向ける

「おお、名乗ったか。
 生憎我には名などないのじゃが、まぁ里の人間どもが呼んだアマツキ、という名を返しておこうか。
 さて…では参るぞデイロス。もう理解ったのであろ?」

「──加減など要らぬと!」

三度、鬼が地を蹴る
嬌笑に牙を剥き、リーチで劣るのであればより疾く
太股の肉が隆起し、力が溜められ──解放すると同時、地が爆ぜる
疾風もかくやという速度で女鬼が、大雄へと迫る
肉薄したならば、狙いは再びその巨大な、腹
堅牢な鎧めいたそれを正面から破壊してこそ、力で勝利したと言える
そういった力への信望が鬼に在ったか否かは兎も角、あえて強い部位をより強き力で破壊せしめる
それこそが力による勝利、カタルシスの解放となっているのは否めない

大きく振りかぶる、武術をかじったものであれば隙だらけの一撃
防御の全てを捨てている、故にその一撃は強力無比、例え相手巨大な火竜であろうと昏倒せしめてやろうという、一撃を放つ──

デイロス > 「おうよ! しかと心得たッ!!」

女鬼が屈んだかと思った次の瞬間、樹木が倒れた時とほぼ同等の土埃が相手の背後で巻き上がった。それが踏み込みの衝撃なのだと理解した時にはもう、投石器で放たれたかのような速度で女鬼が急迫しつつあった。

真正面から粉砕せんとする相手を前に、男は右手で手刀を作り、こちらも大きく振りかぶる。全身の光が右腕に集まり、脈動する光が森を照らし出した。

そう、腹立たしいが認めねばならない。相手の肉体は自身よりも数段格上。突進の勢いはあたかも伝説上の巨獣の如しだ。だからこそ男は覚悟を決める。自身の長所は、身長差と、多くの戦いの駆け引きを繰り広げてきた経験の差だ。

歯を食い縛り、ぎしりと全身の筋肉を軋ませる。今度は男も避けすらしない。

「アマツキぃっ!!」

迫りくる女鬼を前に手刀が更なる輝きを放つ。さながら剣のようになったそれを、男は咆哮と共に振り下ろした。右上方からの薙ぎ払いは、誇り高くそそり立つ彼女の双角に狙いを定めたものだった。

天ツ鬼 >  
互いの一撃が交差する
雄の鎧のような腹目掛け放たれた拳の一撃
先程と違い後ろに退くこともせず、女鬼の全体重を乗せた拳がそこへ突き刺さる、と同時

まるで、重厚な大刃物が打ち合ったような音がその場に響く

「が、ッ───」

雄の繰り出した手刀が、女鬼の双角の一本を叩き折り、宙に舞わせていた
あるいはその一撃が渾身でなければ、女鬼の筋骨よりも高い硬度を持つその角は折れはしなかっただろう
逃げず、力の限りで放った一撃だったからこそ、その結果を得るに至った、といえる
着弾はほぼ同時、相打ちににも見えよう、互いの体の状態ではあった、が…

「───っ」

女鬼が目を見開き、膝をつく
自分の角がよもや折れるなど想像もしていなかったのか、明らかな狼狽
さらに、鬼の剛力の要である角の一本を折られたことによるダメージ
それが姿勢を崩し、追撃のタイミングを大きく、遅らせる
再び牙を剥き、目の前の雄に拳を振り上げる──それまでに、大きな隙を晒してしまう、か

デイロス > 「がぁっ! お゛う……ぐううぅっ!!」

手刀を振り抜くと同時に女鬼の一撃を腹に貰ってしまう。力場を一点集中させて攻撃に振り向けた以上、ダメージは肉体に直接叩き込まれる。

巨躯が折れ曲がり、下顎から伸びた長い犬歯の合間から血が噴き出る。肉体の深部をやられ、脂汗が噴き出るのを感じながら後ずさり、力場を再構築せんと打たれたばかりの腹に力を込める。しかし、神速と剛力を併せ持つ女鬼の追撃に間に合う筈が――

「ッ!?」

が、男の想定に反して、まだ己の命はあったし意識さえ保っていた。狼狽し膝を突く女鬼を見下ろし、こちらも狼狽する。即死を避けるべく敢行した角折りだが、まさか、これは。

「ぬうっ! おおおぉっ!!」

相手が立ち直って拳を振り上げた瞬間、力場の再構成が終わる。口端から血を流しながら懐に深く入り込み、先ほどの返礼と言わんばかりに、掘り深く割れた女鬼の腹筋、たわわに実った乳房の真下へ、輝く右拳を撃ち込んだ。

天ツ鬼 >  
ダメージは痛み分け、と女鬼は踏んでいた
故に、一度も闘いで己の角が折れたことがなかったからこそ
それによる己の力の減衰を知ることも出来なかったのだろう

「ぉぐ───ッッ」

雄の放った拳が、女鬼の腹に深々と突き刺さる
鋼の剛性と、圧縮された樹脂のような強靭さを併せ持つ鬼の肉体ではあったが
膂力の要たる角を片方失ったそれは、恐らく鋼鉄すら拉げさせるだろう雄の一撃の前には用を為さなかった
はらわたが圧し潰され、背骨が激しく軋む音を聞きながら、女鬼の剛力は霧散してゆく──

「がはっっ……ごぼッ、お゛ッッ…!」

力なく崩折れる女鬼
嗚咽と、血泡を口から零しながら、漸く雄の足元で女鬼は大人しく、その動きを止めざるを得なかった

デイロス > 「ふうっ……ふうぅ……ふ、くっ……くくっ、痛かろうな、アマツキ。苦しかろうな! ははははっ!!」

紙一重で死闘を制し、自身の前で血を吐く女鬼。理性があった頃の男であれば直ぐに手当を行い、消えかけた焚火の傍で介抱したろうが、戦闘の高揚と性欲を混同した今は、血走った目で哄笑するばかり。

やがて、両腕から両脚に光を伝わせ、見かけより遥かに重い女鬼の身体を、唸り声と共に持ち上げ肩に担いだ。踏み締めた地面に男の足形が刻み込まれる。

「だが、悲しむことはないぞ。俺は気前が良いのだ。今日与えた苦痛の何倍もの悦びを、これから味わわせてやる。雌としての悦びをな……」

冷や汗を流し血を吐いても、達成感と獣欲がそれを忘れさせる。純粋な暴力で鎮めた女鬼の横顔を見ながら、男は沼地の森で一晩の塒を探し始めた。

ご案内:「魔族の国・底なし沼」から天ツ鬼さんが去りました。
ご案内:「魔族の国・底なし沼」からデイロスさんが去りました。