2023/08/16 のログ
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ご案内:「魔族の国」にラストさんが現れました。
ラスト > (――美しい制圧で在ったと
部下の一人は、そう周囲に零したと言う

魔族領の一角が、其の勢力図をまた、少なからず変化させた一日
かつては、敵地で在った其の街を、今は自らの軍が占領し
其の領主が変わった事を、自らの兵達が領民達へと触れ回るのを眺めながら
己は、その後の事を側近に任せ、一人歩く

長の単独行動は危険だ、と、通常ならば咎められる所であろうか
されど、誰一人として其れを咎める者は居ない
其れが、余りにも無意味な事だと良く理解して居るが故に
――この「個」を妥当し得る者が居たなら、其の時は
他の者がどれだけ居ようと、適う筈も無いのだ、と。)

「―――――……。」

(決して、貧しい訳では無い街並みだ。
民から財や人足を巻き上げ、苦を強いて居る街も在ろう
そう言う意味では、生活の活気と言う物を感じられる時点で
善政とまではいわずとも、政を行う気は在ったのだろう

繁華街、であろう街並みを眺めながら、自らの脚で確かめる光景
誰も、こんな場所に、この街を新たに征服した当の本人が
出歩いて居るとは思わぬのだろう。 或いは、頭が挿げ代わる事に慣れて居るのやも知れぬ
力在る者が支配する。 単純で、明快な事だ。
そして其れは、今に始まった事では無いのだから)。

ラスト > (制圧した兵士達が、市民には危害を加えないと判れば
街並みは喧騒から、次第に元の様相を取り戻して行く
或る意味で逞しい姿だ、逆に言えば領主への興味も薄いのだろう
例え誰で在ろうとも、自らの暮らしにさえ影響が出ないのならば

其の辺りの意識改革は――此れから、行えば良いだけの話。)

「――――……懐かしいな。」

(まだ、己が戦場にて、ただの若い一兵卒で在った頃
寝泊りも食うも、女を抱くも、全て、こうした歓楽街の隅であった
他と何ら変わらない。 ただ、かつての事、と言うだけだ
いつしか、他者を蹂躙し、統べる側となった己は
こういった場所へ足を運ぶ事も少なくなって行ったが

――悪くは無い空気だ。
所詮己は、高尚な類では無い。 貴族連中とは程遠い。
椅子の上で、引き籠って居る様な性質では無いのだ)。