2023/08/09 のログ
ご案内:「魔族の国・山中」に天ツ鬼さんが現れました。
■天ツ鬼 >
霧烟る山中に響くは地響き、続いて巨大なる魔獣の咆哮
闇を照らす猛炎を吐き散らす竜にも似た強大な獣
対峙するは、大鉈を隻腕に担ぎ上げた一匹の雌鬼
魔獣も、鬼も
共に無数の怪我をその身に負いながら正面から衝突し続けていた
相応の痛手を負おうが、まるで臆す事なぞ無く
隻眼を血走らせ、白髪を棚引かせながら鬼もまた咆哮に呼応するように叫び
全身に漲らせた力をその腕に込め、一刀、力を開放する
再びの地響きと、咆哮
但しそれは、巨大な魔獣の断末魔の轟きとなるか
■天ツ鬼 >
「───くはー…っ。我の手に余りかねぬとは、なんたる野生…」
静けさを取り戻した山中、岩肌にたたらに背なを打つように預け、呼気荒く鬼が漏らす
いやはや大物であったと
こいつを仕留めればしばらく酒にも飯にも困るまいと喜び勇んだは良いものの…
蓋を開ければどこぞのヌシかと思わんばかりの戦闘力
さすがの戦狂いも生唾を飲み込むこと数回、気を入れねば耐えられぬ攻撃も多かった
それでいてヌシでもなさそうな威容であったというのがまた、この魔族の国という領域の凄まじさを感じさせる…
横たわる巨獣の向かいに、また鬼も横たわり魔族の国の空を仰いでいた
■天ツ鬼 >
打撲、擦傷、全身にダメージを負い精も根も尽き果てたが途方も無い充足
嗚呼堪らぬと高揚する精神が苦痛すらも凌いで満足感を鬼に与えている
──とはいえ、狩りは狩り
苦痛を意に介さず半身を起こし、さてどう運んだものかと思案する
このままというわけにもいかぬであろうし、己の倍以上はあろうかという巨体を眺めて
ここで解体して…というにも手荷物が嵩張る
「───うむ。面倒じゃ」
一秒だけ考えて、鬼は考えるのをやめた
幸い魔獣には大きな一本角がある
それを手繰り引き摺って往くかと
戦った手応えからして、地面に引き摺った程度で痛む程度の皮の強度ではなかったし
小休止、その荒らげた呼気が落ち着いた頃、よっこいせと立ち上がり
鬼は魔獣をずるずると引き摺りながら、山を降りるべく歩きはじめた
ご案内:「魔族の国・山中」から天ツ鬼さんが去りました。