2024/05/17 のログ
ご案内:「帝都シェンヤン・黄龍大路」に緋天尊さんが現れました。
■緋天尊 >
帝都シェンヤンの天と地を分ける大通り、黄龍大路
天と地は呼んで字のごとく、高みに住まう者と地に這いずる者を分ける。
「此処の光景は相変わらずであるな」
右手を見れば、大きく立派な建物や店が並び立ち。
左手を見れば、見窄らしく簡素な建造物が疎らに軒を連ねる…。
「誰が定めたでもなかろうに。
上辺に立とうとする者も、であるが…自ら足元に傅く者もまた覇気が足りん」
どう思う?
と侍らう道士達に問う。
道士達は口々に、この帝都に根づいている問題や、身分の違いによる所謂棲み分けを言葉とする。
「──ふむ、それも違いない。しかし些か聞き飽きたな…吾がわらべの頃より何も変っていないということだ」
統治が悪かといえばそうでもない。
この街の貧富の差が変動を見せぬのは、それを打ち破ろうとする民がいないからだろう。
「差し向けられれば、その手をとるくらいのことはするのだがな」
貧しき者にも貧しき者の生きるべき矜持と誇りがあるのやもしれぬ。
そう思えば、それはそれで悪いことでもないように思えるが───。
■緋天尊 >
歩を進めれば、交易品を並べる露店が目に入る。
それらの中には、王国の品々と見られるものも高価ながら並べられている。
以前の国交以降、ちらほらとこういった品々を帝都でも見る機会が増えてきていた。
「──そうそう。南方の王国も大概であったらしいな?
吾の知る幾人かの后女もマグメールに赴いたということであったが、国の抱える問題は大差ないらしい」
どっちもどっちだ、と鼻で小さく笑う。
「最もあちらはあちらで、戦乱の絶えぬ状況であるらしい。
ふふ、ある意味では帝都よりも覇気と活気はあるのかもしれん」
どれ、と並ぶ品々へ身を屈め、物色をはじめる──。
■緋天尊 >
「うむ。やはり王国の品、特に芸術品は随分と趣が違う。
真贋は兎も角、見目麗しい華美な装飾は目を惹くに十分だな」
金の装飾が成された花瓶を一つ手にとれば、まじまじとそれを眺める。
縦に割れた瞳がじっと見つめるも、己の眼に品物の価値を見定める特殊能力は備わっていない。
その品物が真に王国からの品であるかどうかは少女には解らない。
「露天商。これは紛れもなくマグメール由来の品なのだな?
この通りで商いをする者としての誇りと矜持においてそう誓えるか?」
笑みを浮かべながらそ問いかけ、並べられた品々の奥に座る店主を見やる。
店主は小さく笑みを返し、ああ、と小気味よく肯定の言葉を返した。
「善き。
ではこの品々はもらってゆくぞ。──道士、提示通りの金額を支払え」
少女は店主の言葉を疑うこともなく、従者に支払いを命じる。
品々の真贋こそは見抜けぬ金眼。されどそれを売る人間を見定めるには十分たる瞳力。
姿勢を正せば満足げな表情を浮かべ、チップだと言わんばかりに己の懐から金貨を支払いに追加していた。
ご案内:「帝都シェンヤン・黄龍大路」から緋天尊さんが去りました。