2025/04/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 魔族が支配する砦。
大規模な戦闘で奪ったばかりの砦はあちこちが修繕箇所だ
折れた槍を並べて壁のようにしてるところすらある
物資も人手も足りない。慌ただしく物資を運び修繕する魔族の中に

「はい、荷物!」

どすんっ!
と床が揺れる音、叩きつけたり投げつけたわけでもなくそこに大きな荷物箱をおろしただけでそんな音がする

ふんす!と荷物を運んで胸を張ってるのはまだ小さな子供だ。
少年というにもまだ幼い体躯で手足もちっちゃくぷにぷにしてそうな子供は白いローブを被って、背中の小さな羽根をぴこぴこぴこぴこしている。

――なんだ、ありゃ?
――さあ……有翼種の奴隷?
――え、あの荷物って全部武器じゃん、なんで箱ごと全部はこんで、えっ?

少年は王国にも魔族の国にも存在しない天使だ。
当然天使といってもこの大陸にいない種族なので、子供がごっこ遊びをしてるようにしか思われない。
どっちみち魔族からしたら敵対種でもあるのだが、その少年はふらふらと砦にやってきて堂々と『お手伝い』をしている

・なんかいっぱいお仕事してる
・ぼくはちからもち
・一杯ものを運んであげたらきっと喜ぶ
・きっと褒めてくれるし撫でてくれる

ぐらいの感覚だ。 言われるまま物資の詰まった箱を持ち上げ元気よく運んでいく。
不審がる魔族と目が合うとニコニコと手をふったり少年から話しかける。お手伝いしようか?と言ってくる。
あまりに堂々とフレンドリー、故に魔族たちも誰かの奴隷かなんかでしょ? とか着てる服も上等だし将校様のお手つきかも、などと勝手に思い込んで、少年を放置してるのだ。

――おうボウズ、すっげえ力持ちだなあ

と巨漢の魔族に頭をわしゃわしゃされるだけで満足そうだ

シャルティア > 言われた通りものを運んで
ときには高いところに、荷物を持ったままパタパタと上昇してもっていく。
――いっやあめちゃくちゃ助かるな
――で、結局あのガキだれよ?
――さあ? でもいいんじゃね? どうみても悪意とかないし

少年はどの魔族よりよく働く。 疲れた様子もなく元気いっぱいに遊んでるといったノリだ。

「おじちゃん、それ重い? じゃあ貸して」

重い箱を抱えた魔族の箱を下から両手で持ち上げる。
鋼鉄製の釘と鉄材の詰まった箱を両手でカラの紙箱を運ぶようにもっていってしまう。
最初は重いものをもつ少年を危なっかしく見てた魔族たちも、いつしか少年を頼りになる力持ちとして荷物を任せて

――おう、ボウズちょっとこっちでメシくおうぜ
――ごめんなあ、こんなカンパンしか甘いものなくてな
――じゃあおっさんの肉団子も食え食え

素直で元気が良く人懐っこい
警戒を解かれればすぐに力仕事の魔族たちも少年と友好的に話

シャルティア > しかし、その時は突然やってくる。

荷物を置いた少年はぴたりと止まる。
うーんとなにか考えて

「かえる!ばいばい!」

元気よくそこにいた魔族に挨拶をして手をブンブンと元気よく振って、そして窓からぱたたっと飛び去っていく

――かえっちまった
――なんだったんだろうなあ
――まあいいじゃないか、殆どあの子が運んでくれたんだ
――じゃーなーぼうずー

飽きたらしい。少年はちっちゃな羽根をぱたぱたさせて王国に向かう

ご案内:「タナール砦」からシャルティアさんが去りました。