2025/04/19 のログ
ご案内:「タナール砦」にクレイさんが現れました。
■クレイ > 「あー、外れクジ引いたなホント」
牢屋で愚痴るのは1人の男。
一応は囚人。だが囚人らしい扱いは受けていない。拷問も今の所受けていないし、食事も普通に出ている。一応扱いだけ手錠を付けられているが。
しかし部屋にはちゃんとベッドまであり、トイレもある。
さて、なぜこんな経緯になったか。理由は単純。依頼としてここに来たが上があまりに無能だった。信じられない位無能だった。自分ひとりが逃れる為に部下を犠牲にしようとした所を取り押さえるくらいだった。
だから生き残る為に指揮権をその無能から強奪しなんとか指揮していたが……時すでに遅し。完全な負け戦であった。
結果として捕まったが獅子奮迅の大暴れと指揮能力を買われ特別待遇になったらしい。
ちなみに余談だが、戦争において無能な上官や嫌われ者の死因は不思議と背中からの1撃が多いらしい。本当に余談だが。
「まぁ、この後の展開は大体予想つくけど」
くあぁと欠伸をする。
この後の展開など寝返らせる為に色々と手を尽くされるだけだ。今回みたいに待遇かもしれないし、色仕掛けかもしれないし、報酬かもしれない。待遇で寝返らなかったのだから違う方法でくるだろう。殺されるとは考えていない。少なくとも利用価値があるほどの戦力は有していると自覚しているから。
なぜこんなに落ち着いているか。この男捕まるのは1度や2度ではない。そのせいでむしろ魔族側に知り合いもいる始末。
最悪、ピッキングで砦から逃げてしまえとまで考えている。その程度の技術はこの男にはある。とはいえ今は戦争の疲れがある。今の所殺される気配はない。体力を回復するまでは宿代わりだとベッドに寝ていた。
ご案内:「タナール砦」にジェイミ・アイニーさんが現れました。
■ジェイミ・アイニー > 「お?ここかー?相変わらず辛気臭いなぁー」
『あ、居ましたね…イキのいい人間が居るというのは本当だったようです』
愚痴る男の耳に、軽い足音が2人分、そして全く同じ声音の会話が聞こえてくるだろう
牢の前までやってきたのは、それぞれ…男子のような恰好の緑目と、ドレスを着た赤目の双子だ
二人とも、銀の長髪を揺らし、面白そうな玩具を見ているきらきらした目で男を見よう
ただし、無意識に垂れ流される魔力は見た目とそぐわない大きさである
現に、男を見張っていた魔族も冷や汗をかいている様子が見て取れる
居るだけでプレッシャーになる存在ということを示しながらも、双子の口調は軽やかだ
「なあなあ、入っていいだろ?別に殺したりとかしないからさー」
『ええ。人でありながら強い者には興味がありますから…
あ、でも…何があっても告げ口は無しでお願いしますね?』
牢番の魔族にそう言って、牢に備え付けられた鍵を魔力で外して入ってくる双子
「やーやー、牢屋で寝れるなんて大したやつだなー、おーい、起きてるかー?」
『んー…起きていないなら帰りますが…少し、お話を聞いてもよろしいですか…?』
貧民地区でも見るであろう、ぎゃーぎゃーと喧しい子供の様に無遠慮に寝ている男に声をかける
殺しに来たわけでも、誘惑しに来た、という様子でもないが…とりあえずは4つの目が男に向けられ、言葉をかけられる
言葉通り、寝ていたら帰るのだろうし…返答するかは男次第だ
ちなみに、元気が良い口調なのが男装の方、大人しい口調がひらひらのドレスを着た方である
■クレイ >
「……んー?」
声をかけられ目を開ける……そして入って来た姿を視認する。2人の少女。
本来なら子供かで済むような容姿。だが、その垂れ流される魔力。そしてピリピリとした雰囲気。それらが合わさり男には別の思考が過ぎる。明らかに危険だという思考。雑魚と違って返答をあやまればただではすまないだろう。
「こりゃまた随分大物が出て来たな。てっきり下級の淫魔か何かが来ると思ってたが。魔王クラスじゃねぇか」
その程度までは見抜く。
しかしお話と聞けば座ってから。
「勿論良いぜ、俺も退屈してた所でな。牢の番人だからか真面目でなあいつ。良い返事もらえなかったんだよ」
なんてケラケラと笑う。
■ジェイミ・アイニー > 「あっはは、そりゃそーだ~、あいつはお前を逃がさないために居るんだからなー」
『ええ。なれ合って逃げられました、では…牢番が罰せられてしまいます』
「あ、でもお前も告げ口はやめてやれなー。アタシたちがあいつの主ってわけじゃないからさ」
入ってきた双子は、ベッドに座る男の左右にぴょーん、と勢いを付けてそれぞれ座る
所作は子供そのものである
どんな理由にせよ主に断りなく牢を開いた時点で、牢番は処罰されそうなものだが…それは避けたいという様子も見せる
「おー、退屈してたんなら丁度良い!」
『そうですね…魔族側の英傑なら話を聞きやすいのですが…人間側となると簡単にはいきませんから』
「そそ。ま、簡単に言うとー、お前の強さの秘訣を聞きに来たんだー」
ベッドに座ったまま足をぱたぱたさせる男装の方
敵意は全くなく、それこそ冒険譚をせがみに来る子供の様だ
「ほら、人間てさあ、基本弱いくせにこの砦を何回も取り戻したり、つよーい魔族を打ち取ったり…変に強い奴がいる時もあるじゃん?お前も、もっと兵士が居れば砦を落とされることもなかったんじゃないかー?」
『そういう、私たちに無い強さの事を探っているのです。何か心当たりはありますか?もちろん、生来のものだというならそれはそれで面白いですが…』
まずは双子が聞きたい事を聞いてみる
彼女らも、街を護るという大前提の役割があるため強さには貪欲だ
そして、魔力の多寡だけでは推し量れないものを探っている様子である
もちろん、明確な答えを絶対に期待している風ではないが、わくわくきらきらの目を向けている
■クレイ > 「わかってる、というかホントは戦勝パーティしたいだろうにここに居てくれるわけだしな。ゆるしてやるさ」
牢番に関しては半分冗談めかしてそんな事をいう。まぁだが牢番としても面白くなかろう。本来なら今頃捕まえた女で好き勝手遊べたのに男の番をさせられているのだから。
その後の回答には少しだけ考える。
「強い奴。まぁそうだな、それがいれば楽ではあるが……たぶんそれだけじゃ無理だろうな。というかそれだけだったらたぶんとっくに魔族に負けてる。所謂英雄様は貪欲さが足りない事が多い。ひとつの事だけ出来たって結末は変わんねぇよ」
そりゃそれが理由で負けた戦争もあるだろう。だが男は断言するようにそう言い切る。
それから男は手首をクルクルと回す。
「俺のって話なら……弱い事だ。俺は見ての通り魔法使わなきゃ能力は普通の人間。武器が無ければちょっと強いだけ。たぶん丸腰でお前らに押し倒されたらなーんにも出来ないぜ俺」
なんて悪びれる様子もなくヘラヘラと。
しかし、クルクルと回していた手はスポッと手錠から外れる。手首がダランとしている。骨を外して無理やり引き抜いたのだ。しかしそれを反対の手ですぐにゴキッとやってはめ直す。
「だから何でもかんでも知識と技術を食うんだよ。今のだって剣士には絶対に必要の無い技能……盗賊の縄抜けの技能と医者の技だ。こうやって使えるかもって技術を無数に食う。気がついたら傭兵としてはトップランカーの1人よ」
別に特別な事はしてないさと。そう付け加える。
男の強さの根幹はまさにそれ。無数の知識、そしてそれを行えるようにする努力。それらだけで一般の男が英雄と渡り合う戦闘能力を手に入れているのだ。
「にしても、おっそろしいな。そりゃ魔族にだって勤勉な奴はいるが、人間に聞くレベルの奴はいくらなんでも初めてだぞ。おそろしい、お前らが総指揮じゃなくて助かったぜ」
そうだったらもっと被害がやばかったなと。相手の貪欲な姿勢を褒めていた。
■ジェイミ・アイニー > 牢番には悪いことをしているが、それはそれ
双子の興味は、彼女らにとって優先事項である
きらきらしている目を向けている双子は、ふんふん、と男の返答と…自分たちにとっては必要のない"技術"を目にして輝きを強める
昂ったからか、垂れ流される魔力量が多くなり…牢に棲んでいた小さな鼠たちが慌てて牢の隙間から抜け出ていった
「おおー、手がぐるんぐるんしたのにすぐ元に戻ってる。魔法でも無いのにー」
『なるほど。私たちなら錠を引きちぎって終わりですが…そういった…ああ、工夫と研鑽こそ、人間の強みでもあるのですね…』
確かに目の前の相手を好きにしようと思えばいくらでも手段が浮かぶ
手錠も、言った通りにこの二人は力任せに引きちぎれる
ただ、それとは違うものがあるのだと、目の前で教えて貰えばはしゃいでいる様子
「いろんなことを知ってて、それをずーっとやろうとしてる…。
だからいい動きしてたんだなー…。ん?あはは、そんなことは起こらないから、安心しろ―」
『はい。私たちは、人間に対して積極的に戦いたいとは…思っていませんからね…もちろん、仕掛けられれば別ですが…』
「そそ。あ、でもこっちには、たまーに牛が来てたりするのかな。どうだったっけ」
お前たちが総指揮なら、という言葉にけらけら笑う双子
男にはわからないであろう名詞を出しつつ首を傾げるがすぐに男に向きなおって
「だって勿体ないじゃん。
人間は面白い事たーくさん知ってるし、時にはアタシたちだって乗り越えようとしてくる」
『そんな相手をただただ殺すなんて、ええ、勿体ない…。
その知識を、娯楽を、力を全部見せて…しおしおの老人になってから死んでもらいたいところです…』
羽根をばたつかせて悪魔的に笑う双子
暴力的というわけではないが、味方というわけでもない。そんな様子だ
「やっぱり面白いなー、お前。あ、お前の名前はー?アタシはジェイミ」
『私は、アイニーです。他にも何か、面白いことを知っているのですか?あなたは…?』
言葉通り、男の事を気に入ったのか自己紹介をする双子
その直後、これもまた子供の様に話をせがむ
このままでは質問攻めにあうだろうが、途中で遮ったり、逆に双子の事を聞いてもいいだろう
■クレイ >
「そう、そこが人間の強みだ。この技術を応用すれば……ここで俺はお前らの手を取る振りして骨を外して無力化も出来るって事だ。考えてもみろ、簡単に殺せる弱者が命乞いとして伸ばして来た手。戯れで取った途端にゴキッ……だ。完全に不意打ち喰らうだろ強者としては。まぁお前らはそんなの決めさせてくれる奴じゃねぇけど」
引きちぎれる強者は技で骨を外すという弱者の行動が思考から外れる。故にそこが不意になりそれを突けるから弱者である自分が強者である魔族に勝てるのだと。
とはいえ、眼前の少女達はたぶん利口だから決めさせてはくれないだろうが。
牛って単語に肩を竦めて。
「牛、牛ねぇ……まぁ触れないでおく」
たぶんの予想はつくが、深く聞く事は止めておこう。
その後の返答には思わず笑った。老人になってからという事を聞けば自分がそうなるのではと思って。
「勘弁してくれ、体力回復したら帰るつもりなんだから」
牢番もえっという顔で見るだろうが目の前で簡単に手錠を外して見せたのだからそれを出来てしまうと伝わっただろう。
名前は隠す必要も無い。あっさりと答えてしまう。
「クレイだ。傭兵やってる酒場に話を通せば俺に伝わるからいつでもご依頼を……つっても、魔族じゃ依頼を出すのは難しいわな。それに人間殺せって言われても……相手によっては依頼受理してやる」
今いる国じゃなければ別に良い。むしろよくやってる。何も問題ない。魔族の強さを知れるチャンスと言える。
面白い話と言われれば考えて。
「どういう話が聞きたいかで変わってくるかだが。交代だ、今度は俺が聞く番。アイニーも手錠引きちぎるとかいってたけど。魔族って人によっては身体能力すげぇじゃん? けど、普通に物とか持てるじゃん? あれすげぇ不思議なんだよ。俺とか魔術で強化して物持つと結構ぶっ壊しちまってさ。あれどんな感じで握ってんの実際」
こっちもこっちで魔族に対する疑問を投げかけた。
ついでにこれは自分の力にもなる質問でもあるのだが。
■ジェイミ・アイニー > 「へぇー、それされたら怒るやつは怒るだろーなー」
『私たちの場合は、折れる人の方が少ないでしょうが…』
魔族は人と似通った姿を取る者も多いが、双子もれっきとした悪魔だ
そうそう折れはしないが、確かに不意は突かれるなあ、と感心しきり
「あはは、本当に面白いなあ、お前。アタシたちが逃がさなーいって言っちゃおうかなぁー?」
『悪魔に気に入られると大変ですよ…?ふふ…』
悪魔の羽をぱたぱたして、くすくす笑う双子
別に逃げようというなら、砦の主でも戦争の主でもないから止めはしないがからかっている
「おー…クレイかぁ、おっけー、人間攫って来てっていうのなら、依頼するかもしれないなぁ」
『ええ、先ほども言った通り、私たちは人間に興味があるのです。知るために攫ってもらうことはあるかもしれませんね』
と言ってから、問いにはうーん?と首を傾げて考える
あまりに自然に行っていたから、いざどうやってるのと聞かれると困る部分ではあるが…
「えー…まあいいけど。アイニー任せた!」
『…はいはい。…ううん。もちろん、魔族によって違う部分ではあるでしょうが…
そもそもが、魔族が持つもの触れるものは魔力で強化されている場合が多いですね
それ以外のものを持つときは……私たちについては、加減している、というのが正しいでしょうか
人と触れ合うために、覚えた加減です』
「加減を知らなかったり、そもそも力が強すぎるやつは知らないけどなー。
前は結構ひしゃげさせたりしちゃったけど、今は握手しても平気だぞー?」
そもそもが、人間でいうところの強化されている状態
住むところや持つものもそれに合わさっているのだと言って。触れ合う際には、加減をしているのだと教えよう
…そのために、何かが犠牲になっているのだが
「そういう人間こそ、なんだっけ、お薬作って使ったりして一時的に強化したりするんだろー?そういうのもすごいよなー」
『ええ。私たちは大体…自分たちの力を頼りにしていますからね』
例外はどこにでもあるが、そんな話を聞いたことがあると感心した返事
■クレイ >
「こんなかわいい悪魔なら歓迎だな。飯と色は多めに頼むぜ」
冗談めかして言うのならこっちも冗談っぽく笑いながら答えよう。
まぁ攫われるとしても変な悪魔よりは目の前の2人の方が余程マシなのは間違いなく事実ではあるが。
攫って来いと依頼と言われると思わず笑いながら止めろ止めろと答える。流石にそれは難しいようだった。
しかしその後の言葉にはしっかりと聞いて。肩を竦めた。
「まぁ、やっぱり手加減だよなぁ。それしかないよなぁ。てか握手しても平気なのか。ちょっとしてみてくれよ」
へいと双方に手を出して。
だがそれからあっと声を出した。
「大丈夫、ゴキッとはいかないから。というかここで今お前ら敵に回すメリット0だから」
さっきの例の通りだったので思わず笑いながら付け加えた事だろう。
もし握るのなら剣士というだけあって。そしてそれだけの研鑽と努力を示すように男らしくゴツゴツとした堅い手の平だろう。
薬と効くと苦い顔。
「あー、そういう薬もあるけど。ああいうのって副作用エグいの多いんだよな。俺はあんまり使わないかも。知り合いに1人廃人になった奴いるし」
たしかにあるはあるが、基本は使わない。
まぁ準備は一応してある。使わないと死ぬ時には使うつもりではある。
■ジェイミ・アイニー > 「飯も色もあるぞー。えー、でもクレイってぇ、アタシたちに欲情するようなせーへきなのかぁ?」
『きゃー…どうしましょう…。狭い牢屋で襲われてしまいます…』
両手をあげて、わざとらしく…くね、くね、と体をくねらせて笑う
お世辞にも、女性らしい体ではない
「ん?大丈夫だぞー。折られても別にどうってことないしな!」
『いいですよー…はい』
そもそもが人間とは違うのだから、と笑って
片手ずつ握手しよう
手の感触は人間そのもの。見た目通り、少女の柔らかさをしており、握力もそれ相応に感じられるだろう
悪魔の羽が生えている以外は、人間と言われても差し支えは無い擬態
「ほら、うまいもんだろー?ふふん。えっちだって人間ともできるしなー」
『最初の頃は大変でしたが…ふふ…。クレイの手も、すごーく硬いですね。これが人間の戦士の手ですか…』
自慢げに握手する双子
ジェイミは誇らしげに、アイニーは…自分のもう片方の手も使って、男の片手をにぎにぎ、と感触を確かめている
「人間は脆くて大変だなあ…。魔族になればお薬使いたいホーダイだぞー」
『その代わり、効力も薄まってしまいますけれど…』
頷いて手を離してから
うずうずと、体を揺らす
こんな牢の中では、時間が足りないといいたげだ
「ふふ。なーなー、クレイー。脱出なんてリスクだろー?アタシたちの街に案内してやろーかー?」
『たまーに人間も来ますから、それに紛れて帰ることもできますよ…?』
どうだどうだ、と…本当に男を攫うつもりの提案
牢番はもう無心で前を向いている。何も聞いていないアピールのようだ
■クレイ >
「十分できるな。ここじゃなければお相手してほしいくらいだ」
なんてクネクネとする様子に笑って。
とはいえ無理やり襲うとかはしない。そもそも今の状態では難しいというのもあるが、元々悪意に満ちた相手でないと無理やりするという方向にスイッチが入らないのもあった。
それから手を握られればほうほうとうなずいて。
「人間としてるのと変わらねぇな。生徒とたまに握手するが、同じだ」
同じように子供相手をしているが、それと遜色がない。
紛れ込んでてもわからないなこれと内心真面目に考えてしまう。
「ああ、これが戦士の手だ。捕まってない時には素振りは欠かさないしな。滅茶苦茶堅いだろ」
なんて笑って返事をするだろう。こっちからも何度かニギニギと握り返す。
別に悪意がないのならこの男からして魔族だからどうとかは無いのだ。1人の相手として2人に接していた。
提案には少し思案する。たしかにリスクではある。成功の算段は十分あるとはいえ何かあれば確実に処刑だ。
対して2人の提案はどうだ。リスクは当然ある。まず脱出という意味では間違いなく難しくはなる。しかし少なくとも殺される事はないはずだ。
「悪くない提案だな。それに2人相手に戦いになったらやりにくいし、周りの人とか見とくの必要かもしれねぇ」
それに、2人が相手の依頼は是が非でも断らなければならない。貪欲な魔族など自分からすれば天敵も良いところ。
しかも見た所武器の類は所持していない。つまり魔法使い。猶更最悪だ。
それはそれとして2人に興味があるというのも勿論あるわけだが。
とにもかくにも男の中での算段として付いていくのは有りと結論が出る。まさかの同意の上での魔族国への連れ去られである。
■ジェイミ・アイニー > 「やーん♡へんたいさんだー」
『ふふ。それは…楽しみですね』
もちろん、色ごとの誘いは冗談だ
いくら戦勝で緩んでいるとはいえ、邪魔が入らないとも限らない
お互いの手を確かめ合って、お互いに興味ありげに語り合う奇妙な時間だ
双子の手は柔らかいものの魔力に満ち満ちている点が大きく違う点か
そうして戦士の手を堪能しつつ、提案をしてみると
少し考え込んだ後の返答に、ぱあ、と目を輝かせる双子
「ふふ~ん。やっぱりアタシたちの溢れ出る魅力に魅了されちゃったかぁ~」
『戦いだなんて、そんな理由をつけなくてもいいですよ…?』
明らかに調子に乗って背を逸らして胸を張る双子
こういうところも、調子乗りの子供の様だ
「じゃ、アタシたちが居る国に案内するかー。そうと決まれば…」
『牢番さん。…ええと、そうですね…』
ううん、とアイニーが考えて
『この"捕虜"は私たちのところでお預かりします。対価はひとまずこれで
どうせ脱走しようとして、面倒を起こしていたでしょう?…これで足りないなら、後程追加で届けましょう』
牢番に話しかけて、何かを渡して買収
牢番としても、男に勝手に脱走されるよりはこの悪魔に売った方がいいという判断だろう
「じゃ、行こ行こー。ナグアルって、知ってるかー?」
『愉快で安全で、皆楽しく生きている…欲望の街ですよ』
くすくす笑う悪魔双子
牢は既に牢ではなく、双子について行けば…魔族の国の奥
十二の序列持ちが治める街へと、案内されることだろう
■クレイ > 「バレたか。戦いも理由のひとつではあるが。折角だから2人ともう少し色々と話したりしたくなったのが本音だ」
なんて看破されれば素直に笑って答える。
まぁ実際問題、ここまで脱走がどうのこうのと話していれば牢番から話が言って警備を増やされる事だろう。そうなるとかなり脱出も面倒だ。つまりある意味調子に乗った2人相手に話した時点で脱走計画は失敗していたのかもしれない。
そしてナグアルの名を聞けば。少し思い出すようなしぐさ。
「あー、ガキの時に1回行った事あるな。まだ弱かった時に中級淫魔に攫われてな。遊びで連れ出された事あるわ」
たしかあの街の名前がそんなのだったようななんてボンヤリと名前を思い浮かべながら。
とはいえたぶん当時よりかなり様変わりしているだろうが。
「じゃ、そう言う事で。色々と世話になったな牢番さん」
と挨拶して去って行く。もう目も見てくれないかもしれないが。
というかこんな風に魔族の国に行く人間そうはいないだろう。大抵は絶望に沈んだ面持ちで向かうはずだから。
「移動手段は馬か? それなら前に乗っけてやるぞ。魔法なら逆に運んでもらうけど」
流石に魔法で空は飛べないのでそんな風に言いながら牢を後にした。
■ジェイミ・アイニー > 「闘技場とかもあるし、街のルールを破らない範囲なら好きにすればいいと思うぞー」
『ふふ、嬉しいですね…。まあ、私たちが居ない間も好きに街を回ってくれて大丈夫ですから』
知っているなら話は早い
街に入る許可なら自分たちが後見人として出せばいいし、問題ないだろうと考えて
「ん?魔法だぞー。馬持っていきたいなら連れてってやるけど」
『たくさんは無理ですけどね』
戦勝に浮かれる砦を抜けて外へ
馬留めまでやってくれば、連れていくのかどうか聞いてみよう
「じゃ、準備できたら行ってくれ。飛ぶから」
『気を失わないように気を付けてくださいね』
ごぉ、と魔力が渦巻く
猛る魔力は風を為し、男と双子、そして馬が要るなら馬も包み込む
男が頷けば、凄まじい速度で宙に飛び上がり
魔力で保護されているため、潰れることはないが…外を見れば酔いそうなほどの速度で山脈を超え、魔族の国へ入っていくだろう
しばらくたてば、賑やかな…時計を模した街へとたどり着く
ご案内:「タナール砦」からクレイさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からジェイミ・アイニーさんが去りました。