2024/12/24 のログ
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ご案内:「タナール砦」に銀華さんが現れました。
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 薄暗い
 濃い灰色の雲はまるで今にも雪が降りそうだ。
 昼の日が高いはずのその日を否定するような、そんな暗雲立ち込めた日だった。
 砦が聳える代表的な境界線領域。
 鎧は冷え、体は震え、こんな日は狼達だって狩りをしないのではないかとすら思ってしまう。

 そんな防衛する人間領域 鼻を啜る濁音はそこかしこから。
 砦内の少ない酒では全員が癒えることもなく、敵方で捕らえた女捕虜や見た目麗しい男
 それらがいたとしても、慰めにしかなりはしない。
 このうっそうと茂る森のような薄暗い領域の中
 始まりの声は砦内で聞こえた敵が近づくことを知らせる警鐘と怒号。
 そして冷えた吐息のような“白く霞む世界”だった。


   『――――っっっ!!!』


 攻め入る音
 一体どこから?

 人間達のこの霧のようにもやや見えにくい世界。
 向こうから現れた人間と同じように鎧に身を包んで襲ってくる斧と槍
 弩と剣 そして、それに続いて烏帽子兜を被る和鎧一色の姿が、長巻の刃をその身に正面から
 鎧を突き破るようにして脇から刃を振り上げ、片腕を飛ばすように叩き飛ばす。


   「門を目指せ。」


 その方向は食べ放題のようにはいかない。
 目的と意識を持った獣の動きというものは、厄介極まりない。
 太い腕の男が首を締めあげて殺すだけで悟られにくく、長巻を所持する烏帽子
 それが相手方の首を間合いの中で楽に飛ばす。

 砦内で烏帽子兜含めるとの一勢は目立つだろう。
 だが内側での門への対処などどうしろというのか。
 もはや敵は青くぶら下がるそれではない。  
 落ちる実と同じだ。


 
 
 

ご案内:「タナール砦」から銀華さんが去りました。