2024/09/21 のログ
ご案内:「タナール砦」にファロウズさんが現れました。
ファロウズ > 取っては取られ取られては取り返し。
一進一退の攻防の様相を呈していたタナール砦も今はようやく落ち着きを見せていた。
制したのは人間側。魔族の大物が出張ってこずに、王国側の方が主力を一気に投入した結果、らしい。
少なくとも主力と言う物とは無縁の自分は、なんのことはない、ちょっと良い女を見かけてあいさつ代わりに尻に触れたら騎士団の人間がいて、運悪く捕縛。
罪を許す代わりにタナールの下働きと言うか露払い。つぶれてもかまわない肉壁として放り込まれた。

「あぶねぇぇえ……大物居なくてよかった。」

ぼふ、と三日月帽を目深に被る。
ストックしていた魔道具の数々も随分使ったが、命あるのは喜ばしい。傭兵やら王国騎士やら、魔族でもいい女がいれば労苦も薄れ、お楽しみ、といきたいが。探すだけの余力はなかった。

「魔法のストック切れてるし。
なんなら魔力も尽きてタダ働きとはついてねぇなぁ。」

元はと言えば痴漢をやる方が悪い。
王国側が勝ったので無罪放免を勝ち取ったわけだが。ずるずると石壁に背中を預けつつため息。
出血は肩と上腕部。ついでに下腹部付近に僅かに血がにじんでいるのは王国側の魔法に巻き込まれたため。
途中から防御魔法を連発していたのは大体王国軍のせいである。コンチクショウ。

ファロウズ > ローブの裏側に藁人形。
ストックが5個あったものは全部消し炭になっている。
三日月帽子にも身代わりの魔法道具を仕込んでいたけれど、残すは僅かに1個。
切り札だけは手を付けていないので無事。
総額損失は万を超えるゴルド。頭痛い。

「にしても、修行しなおしてこれだもんなぁ。」

はぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁと言う重苦しいため息とずるずると言う音が交互に。
攻撃魔法は地水火風・重雷木と一通り身に着けたけれど、威力が上限に到達している。
大規模魔法も使えなければ火力特化の魔法も使えない。
魔力量だけはあるので魔法道具の補助を借りてどうにか、と言うところ。
一般的な戦闘には向いていても、大規模戦闘や強さの天井知らずといった人外相手に正面切っては戦えない。

とはいってもそれは表向き。いや、裏側も戦闘向きとは言いにくいが。
掌を城壁に這わせ、黒い魔力をゆっくり練って壁全体。そして床全体を自分の視界に使う、盗撮魔のような魔法などは得意の範疇。

捕まっている魔族や、力を失っている今なら手を出せそうな相手を探す様に視界だけが砦内を駆け巡っていた。

ファロウズ > 「あー、こっちこっち。負傷兵いちー。
ついでにメシと寝るトコくれー。」

魔力切れは速かった。
そのまま無罪放免された男はなんのかんの言ってもタナール砦から追い出され、荷物を運ぶ馬車の上に放り投げられて王都へと運ばれるのだった。

ご案内:「タナール砦」からファロウズさんが去りました。