2024/05/28 のログ
ご案内:「タナール砦」にソワナ・エディソンさんが現れました。
■ソワナ・エディソン >
タナール砦 魔族側サイド
雨音が激しい 風はない 静かな本降り だが雨量、その濃さが少しいつもよりある。
雨粒は普通の大きさ しかし粒が多くあり、きっと今の上空にある雲は赤色か橙色で引かれたものなのだろう。
今のタナール砦は、赤い血が流れきった後。
目の前には息切れしながら片膝をつけたまま、私の顔を見て現実を見た元同輩
いや、単に同時期に交流のあった騎士や剣士といった者が現実を目の当たりにしていた。
飛び交う一方的な声は、互いにずぶ濡れの中でも確かに聞こえている。
洗脳や騙されているなどを疑う声 今から戻ってくるように
まだ間に合うと言うような、怖気が奔る正義感や自分は真っ当で、綺麗だと言わんばかりの
そんな満ち溢れた声でこちらに熱く弁を垂れている姿。
それを、私は私特有の常笑瞳で見つめながら、瞳の色すら見せずに唇は変化ない
短い一文字のままで、頬の震えも、鼻の奥でツンとくるあれもなかった
全くの無感情 目の前の相手に対し、怒りすら沸かずに杖を向ける。
「ᛗᚪᚵᛁᚳ ᛒᛁᚾᛞ」
静止の声も、逃げようする声もまるで耳には通らなかった。
魔導言語が刻まれた魔法円から応用された魔力の帯
それが地面から走るようにして対象者を縛法している。
自身が、もうどうにもならないと知ってもなおこちらに声を出す瞳の色が
その声色が 自分が正しいと信じて疑わないその在り方が
全部、全部、私は大嫌い。
「ᛗᚪᚾᚪ ᚥᚪᚡᛖ」
杖の竜口から迸る、何も染めていないシンプルな魔力で放たれた一撃
砲や矢という意味よりも、浴びせかけて灼けつかせたといっていい。
目の前に残るのは、ソワナ特有の魔力光に満ちたそれで呑みこまれて灼けつき
絶命してみせた焼け焦げ、伏せる姿の元同輩。
後ろから、近づいてきた同じく寝返った団員の一人が、雨に打たれたまま目の前の骸を見下ろした。
記憶にある限りでは、悪い奴じゃなかったな、と口ずさむそれを聞きながら
ソワナはそれを否定しなかった。
ご案内:「タナール砦」からソワナ・エディソンさんが去りました。