2024/03/14 のログ
ご案内:「タナール砦」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 朝から始まった小競り合いは、昼前に始まった驟雨でお開きになった。
丘の上に砦があると言うことはすなわち、周囲の戦闘地域は坂ということだ。雨に濡れ泥をはね上げてぬかるみに足を取られての戦いは、ヒトであろうと魔族であろうと鬱陶しいことに変わりはない。魔族の中にはそう言った場合こそ得手とするものも居そうだが、兎に角今の戦線には加わっていなかったという事だろう。

暗い灰色の雲間から降り続く雨は、今は強い風にあおられて砦の壁と叩いている。砦から視野の届く範囲は下栄えに覆われているが、その下では水たまりか流れが出来ているのだろう。地面を打つ音は今水を跳ね上げる音になり変わっている。

「消化不良だな…」

その光景を物見の塔から眺め降ろしている女が居る。ガラス窓などといったしゃれたものの無い砦の窓は只の隙間と相違ない。吹き込む雨は既に室内の石畳の床を光るほどにぬらして、傾斜の付いた壁際で溝に流れを作っている。
女は小さく息を吐くと板で窓を塞いで、隣の窓へと移る。風向きから言って、こちらからならすくなくとも暫くは吹き込むことは無いだろう。

グァイ・シァ > ザァッ―――と地面を叩きつける音と葉擦れの音が響いて来る。
眺めている地面は曇り空からの薄陽で辛うじて確認できるが、それも時間の問題だろう。見張りを始めた頃と比べると大分闇に沈む部分が増えてきている。この音と視認性の悪さを利用して攻めてくることも出来るだろうが

(…おそらく、無いだろうな)

どうにも互いに本気で殲滅しようと思っている様に感じられない。今の先方の大将が『正々堂々と』が好きなのかもしれないが、戦場に於いてそれは味方を無駄に減らす悪手でしかない気がする。

それもこれも、女にはどうでも良いことだ。どちらにせよ糧を得られることに変わりはない。

女はいつまでも来ない交代を待つふりをして、物見の塔での時間つぶしを満喫するだろう。

ご案内:「タナール砦」からグァイ・シァさんが去りました。