2023/12/09 のログ
ご案内:「タナール砦」にイリーナさんが現れました。
イリーナ > 魔族と人間の間でとってとられて、とられてとってを繰り返すタナール砦。
前回訪れた時には運悪く魔族の襲撃にあい命からがらに逃げ出した銀の髪の冒険者。

「さすがに連続ってことはないわよね」

人間側も前回の失敗を繰り返さないために、防衛戦力は前回よりも多め。
砦前に、突進力のある魔族対策として防護柵を設置し、その補強のために兵士たちも汗を流していた。

夜襲を警戒してのかがり火も絶やさず、さらにはその外の警戒も。

「……こういう時に使われるのが、私らの辛いところ、と。」

砦の上では警戒にあたる兵士たち。
その視線を背中に受けてふりむき、ため息を一つ。

おそらく進撃ルートになるであろう小高い丘を目指して女冒険者の足取りは重く、ゆえに慎重に進められていた。

「さ、て――?」

中腰の姿勢、息を殺し、体臭が風に運ばれて鍵突かれないように風下から。
丘の頂上に変化がないか、軍歌の足音が聞こえてこないか、夜の闇に溶け込みながら目と耳を、研ぎ澄まし――。