王国北方、タナール丘陵地帯に築かれた、魔族の国と最も近い砦の一つ。
魔族の侵入を防ぐ国防の要の砦である。
何度も人間と魔族の間で奪い奪われを繰り返しており、ある時は人間の砦、ある時は魔族の砦という風に一進一退が続いている。
魔族に奪われた場合などは、中にいる女騎士や兵士などは彼らに囚われることとなるだろう。
人間に敗北した魔族も同様である。魔族とて無敵というわけではない。
人間が奪い返した時や、魔族に奪われた際などはその内装や罠の仕掛けなどが変わることが多い。
※魔族との戦いの主戦場になります。戦闘ロールなどをしたい場合はここでどうぞ。
奪い奪われ、という砦なので、入室者が現在、砦はどちらのものになっているのかその都度決めて構いません。
敗北して敵に捕らわれるなどの展開もご自由にどうぞ。
参加者(0):ROM(1)
Time:20:45:45 更新
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
■サロメ > その背を見送り、静寂の戻った部屋の机には二人分のグラスが残る
久々に使ったな…などと、小さく呟く
「あんな言葉も使えるのだな」
軽口を残し部屋を去った少年兵に、小さく唇の端を歪めて
その後も訪れる報告の兵とのやり取りを繰り返し、
後続の王国軍に後を任せれば、対魔族を掲げる師団は戦場を後にする──
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。
■ゼロ > 「―――あれだけ、魔族排斥を謳って置きながら。」
上層部は、魔族排斥を謳い、此処を戦場としている。
確かに、過去の失敗は有るのだろう、しかし、だ、ならば、なぜ戦争を辞めないという話になる。
護っているだけではだめなのは、それこそ、軍人でなくても判る通り。
唯、その準備をいま。目の前の師団長が行っている。
彼女は、前師団長の意思を受け継ぎ、それを行使する。
ならば、師団長の剣となり、矢となるのが、ゼロの役割。
「では。
許可を頂けるなら、王城にも、足を運びますが。」
以前は、魔族の国侵入役割を貰うでは、王城で魔族を探していた時もある。
砦の守りに使うもいいだろうし、王城に足を向けて探索するもよし。
やる事があるなら、やるべきことがあるなら、愚直なのが、この兵士だ。
ただ、今の話の流れでは、それを行うのは、師団長らしい。
「いいえ。
此方こそ、ご相伴に与りました。
一応男性なので、女性と酒を酌み交わすのは、楽しい時間でもありました。」
珍しく軽口。
それも直ぐに収まり、ゼロは兵士へと戻る。
仮面をかぶり、サロメへと敬礼を。
「それでは、師団長、御前を辞させて頂きます。
兵士ゼロ、任務に戻ります。」
そろそろ哨戒に出た仲間も戻るだろう。
その情報を聞きつつ、魔族の国の方面の門を、今しばらく警備し。
その時が来れば撤収する。
その為に、ゼロは退室をする――――。
■サロメ >
「──魔族の国への侵略には、上は及び腰だ」
己の戦力、生存能力を誇る少年兵にそう言葉をかける
彼の能力を筆頭に、かつての師団長がそうしたように、打って出る機会を伺ってはいる
しかし一度大敗を喫しているために、二度目の遠征は如何程にも敷居が高い
「君の力を最も活かせるのは此方が攻勢に出た時。
我らの敵の根城を崩すに至る時、ではあるが──」
「王城内に潜伏し暗躍している魔族をまず炙り出さないことには話も進まない。
この砦でやり合っているだけでは埒が明かないのも困ったものだ」
逆に言えば、魔族達がより狡猾な動きをしているとも言える
「第七師団も現状は盤石の態勢だ。
歩を進めるためにも、私はしばしそちらに注力しようかとも思っているが」
そうなれば、必然、王城での行動が多くなる
──眼の前の少年兵を含め、十分に魔族の軍を叩き潰すことは出来るだろうと信頼しているが
「───…時間をとらせたな。私にとっては有意義な話が聞けた」
■ゼロ > 「はい。」
静かに、一口酒精を口に運ぶ。
瞬時にそれが分解されて、無毒化されているが、酒精の味を、匂いを楽しむことはできる。
本当にいい酒なのだ、と分かるから、少しずつ、味わい、口に運ぶことにする。
「それに。
―――同じ人間で殺し合うよりも、魔族を殺すほうが、マシですからね。
こんな自分でも、人の為に成ってるって、感じられます。」
これは、本当に個人的な感想だ。
兵士として作られて、人殺しをするよりもと。
人を殺せないという訳ではないし、必要なら、殺す。
それでも、魔族を殺したほうが、人の為になるのだと、自分の中で考えている。
戦う事しかできないなりに、心の平穏を持てているのだろう。
「はい、今後ともよろしくお願いします。」
椅子に身を持たれる師団長。
ふと、思い出したように。
「後、生き延びることは得意ですし、御存じだと思いますが。
年単位で、魔族の国へ侵入しておりましたので。
そう言う技術も役立てていただけると幸いです。」
年単位で、魔族の国の中で、地図を作り続けていた。
今ではもう、何処かに無くなっているけれども、ずっと、魔族の国の中で生き延びる技術がある。
殺すのも得意だが、生き延びるのも得意。
ゼロは、目を細めて口角をあげる。
命令一つで、何処までも狩りに行く猟犬の風貌。
■サロメ >
「……そうか」
腹の奥に酒精の熱が身体に染み渡る感覚と共に、
少年兵の語る言葉を、自身の記憶に刻みつけておく
「いや、君が今の在り方に疑問や葛藤がないのであれば良い。
前師団長が君とこの第七師団に擁した理由も、今知ることが出来た」
別の国で兵士として改造された───
これは、彼の根幹に在る情報だ
副官であった自分も、前師団長から聞いていなかった情報である
そうか、そういう事情が背景になったのだと、今漸く知ることが出来た
「──であれば、君を他の師団に渡すのは惜しいな」
ぎ、と背もたれに体重を預け、笑う
「戦うことしか出来ないのであれば、その才能は我らの敵を屠るに相応しい。
…今後も王国軍第七師団の名の下、魔族殺しに励むといい」
■ゼロ > 澄んだ、グラスの音は、部屋の中に静かに響き渡り、そして、消えていく。
その音の意味に思いを馳せて。
しかし、その意味を口にすることなく、ゼロも一口酒を嗜んだ。
喉に滑る、酒精の強さ、喉を灼く赤褐色は、荒々しさの中に上品さを感じさせる。
それは、第七師団を表わしているような、そういう思考になるのだ。
強く、強く、己がある、と言っているような、良い酒。
「はい。
自分も、サロメ師団長の事は、殆どお会いした事もありません。
今の第七師団に成ってさえ、数度程。」
知らなくても当然だとゼロは考えている。
ただでさえ、何百のレベルで兵士が居るのだ。
師団長としては、個人を知らなくても、師団運営が滞る事はない。
そう言ったことは、団の幹部や、部隊長とかそう言った所が行うべき所でもある。
それに、殆ど会わない相手を、さらに言えば、一兵卒を詳しく知るというのは、とても難しい物だと、ゼロは考えている。
「そこは、考え方、受け取り方、の違いでしかありません。
オーギュスト前師団長には、自分の仕様書―――別の国で兵士として改造されたそれを渡してあります。
師団長室のどこかに残っているかもしれませんし、残ってないかもしれませんが。
つまるところ、ゼロと言う個体は、兵士でしかあれないのです。
第七師団を抜けたとして。師団長に要らないと言われて、去るとして。
―――戦うしかできない個体は、それこそ野盗になるか、傭兵になるか、別の師団で戦いに明け暮れるかでしょう。
それ以外の道と言われても、思い浮かびません。考えることが苦手な自分は、指示を頂けるのが、とても喜ばしい。
この国ならでは、で言うなら、男娼とかあるのかもしれませんが。
この、仮面と鎧が無ければ、毒物をまき散らしながら崩壊するからだ、ですから。」
以前、師団長と出会った際には、師団が新しくなったばかりで、役割が判らないと懇願していた。
普通の生活にと言う言葉に関しては、この体がそれを邪魔するのだ。
確かに、言う通りに第七にこだわる理由は無いのかもしれないが。
離れてどうなるか。多分この砦で、傭兵として、戦い続けているのだろう、死ぬまで。
普通の生活が難しい体、なのだ、と、それを知っているからこそ、オーギュスト前団長は、ゼロを使ってくれていたのだと思うと告げる。
■サロメ >
彼が杯を手にとれば、自身もその小さなグラスを手に、軽く合わせる
硬質な音が砦の一室に響く
その乾杯は誰のためのものか、きっとそれは各々だろう
小さなショットグラス、強い度数の酒を飲むためのものだ
くっと煽れば、喉を焼く強さ、鼻腔までを満たす芳醇な香り
自身はそれ程は好まないが、ヤツの好む酒の味だ
「私は…」
「君を直接迎え入れたオーギュストと違い、君のことを余り知らなかった」
グラスを置けば、女はそう話し始める
恩義を感じている、というのはお互いだ
前師団長が死に、半壊状態だった当時の第七師団を見限った者達も当然いた
眼の前の少年兵のように、この部隊そのものに忠誠を誓う者は珍しかった
「しかし今思えば、君に兵士としての道以外を与えなかったとも言える。
…オーギュスト亡き今、君がこの第七師団に拘り続ける必要はないのだぞ?」
他の道は彼には存在しないのか…それは女にはわからない
しかし年端もいかぬ少年のように見える彼…戦場以外での生き方は本当に有り得ないのか…
負い目、とまでは言うまい
それは彼の恩義を曇らせることになる
■ゼロ > 「それだけの恩を感じているというだけです。
自分は、兵士としての自分しか知りませんから。」
だからこそ、最初、此処に来た時は傭兵だった。
仮面をして、全身を白銀の鎧で身を包んだ得体のしれない自分を拾って。
その上で、王国の兵士にしてくれたオーギュスト前団長には、感謝しかないのだ。
生きる意味を、くれたと言って良い相手なのだ。ゼロにとって。
「酒は、はい。
酔う事は出来ませんが、嗜むことはできます。」
ゼロの体には様々な実験の後がある。
薬物強化、魔術的な強化、鎧を脱いでいると、体が崩壊しかねないほどのもの。
その中に、酒精を分解するものも有るので、飲んで味を理解する事が出来るけども。
分解されて、酔う事が無いと、伝える。無粋とは思うのだけども。
其処は、言っておいた方が良いとおもうのだ、生真面目とか言われそうな気もしたが。
「それでは、師団長。
ご相伴に与ります。」
美しい赤褐色。
其処に香る、豊潤な匂い。
高級な酒だという事は、ゼロでもわかる。
ショットグラスを受け取り、師団長を見やる。
■サロメ >
「貴殿が義理堅いのは重々に承知しているが…そうだな」
「少し、話さないか」
今はもう少なくなった、前師団長を知る者同士
近くの椅子に座る様、促して
「仕事中だが…まぁ、ヤツの時代からの習わしだ。文句を言う者もいないだろう」
過去は、副師団長であった自分がよく窘めたものだが
迷惑そうに眉を顰めるヤツの顔が今も脳裏に浮かぶ
指揮所の机から取り出されたものは、一本の酒とグラス二つ
なぜこんなものが、と言えば…前述の通り、前師団長からの習わしである
銘柄もヤツが飲んでいたものと同じ、当時は度数が強く、美味く飲むことは出来なかった
「酒はいける口か? …まぁ、一杯くらいは良いだろう」
返事も待たず、ショットグラスに赤褐色の酒精を注ぐ──
■ゼロ > 「はっ。」
手短なねぎらいの言葉。兵士であるゼロとしては、それで十分だ。
彼女の言葉に、頭を垂れて、お辞儀を一つ。
軍隊とは、師団とはかくあるべきと言わんばかりの、お手本のような所作だ。
が、今回は一つ、追加があった。
「は。
オーギュスト前師団長にスカウトされてから。
6年は経過しております。」
6年、言葉にしてみると、思った以上に長い物だと、ゼロは思った。
と言うよりも―――成長していない自分に驚きを感じている。
精神的には兎も角、肉体的には、成長して然るべきなのだが。
もしかすると、仮面や鎧―――過去に行われた、薬物、魔導実験の所為なのかもしれない。
ただ、そのお陰で、今も最前線で、変わらず戦える。
それを悦ぶべきなのだろう、ゼロは思った
「オーギュスト前師団長への恩義もありますが。
第七師団が、失われていないのであれば、自分は、兵士としてあるだけです。
それに、サロメ師団長、第七は、魔族殲滅の師団と言うのが変わらないのであれば。
オーギュスト前師団長の言葉と意志は生きてます。
なれば、魔族殲滅を行うのは、兵士として……
いいえ、自分の様に、戦う事しか知らぬなら、戦う事は当然です。」
ゼロにとって、これが全て。
兵士として、壊すものとして、戦う事しか知らない存在だから。
師団長が、戦う事を辞めないのであれば、ゼロは、戦い続けるだけなのだ。
それが存在意義であり、それが、作成された理由なのだ。
そのなかに、前師団長への恩義、現師団長への、恩義が確かにある。
だから、ゼロは、此処にいる。
■サロメ >
「報告ご苦労」
少年兵…ゼロの報告と一通り聞けば、そう言葉を返す
かつての女ならば労いの言葉の一つもかけただろうが、今は淡々とその程度のもの
───しかし、女の金眼は少年兵を真っ直ぐと見据え、珍しく続きの言葉を紡いだ
「──貴殿も所属して長いな」
前師団長を知る者も随分と減ってしまった
かつて彼が戦死した時に大半が、そしてその後も…魔族との戦いは激戦続き故に
変わらず顔を見せる存在が在る、同じく前師団長を知る者が
顔を合わせることこそ少なくとも、彼は前師団長が迎えた、今となっては数少ない存在である
「オーギュストが戦死して尚、この師団に尽くしてくれていることに感謝する」
──この少年は、それについて何か思うことはあるだろうか
従おうと決めた師団の長がいなくなり、師団の形も少なからず変わった
立て直しの基盤を盤石にするまでは、耐え忍び王族貴族の言いなりになった期間すらもある
今でこそかつての姿を取り戻し、前師団長の意思を高らかに叫ぶことが叶うようにはなったが…
■ゼロ > 入室の許可が、でた。
それは、報告を受け取る事が出来る状況だという事を示唆している。
「失礼します。」
少年兵は、声を放ち、扉を開ける。
普段から突けている仮面を外し、顔を晒す。
流石に、師団長の前で―――前の師団長は気にはしていなかったし、それで良いとの指示があったから仮面をつけていた。
今の師団長は、その話をしていないから、礼儀として仮面は外す。
この国ではない、黒髪黒目の黄色人種の顔が其処に有った。
「第七師団タナール方面軍第一強襲部隊所属、ゼロ。
報告をお持ちしました。
今回侵入してきた下級魔族、その配下の、妖魔、妖獣、鏖殺完了しました。
今現在、砦の破損個所の報告を砦付きの工兵に。
魔族等のアンデッド化防止作業を砦付きの神官に引継ぎを完了しました。
現在、陽動の可能性を考慮し、ツーマンセルの索敵を行っております。
報告は、二刻後になります。」
彼女は変わったと他の師団員は言う。
しかし、残念ながら、少年に変化はない。
それもそのはず、そもそも、彼女が副師団長のころから、少年は数えるほどしか彼女を見た事がない。
前師団長が居た際には、魔族の国にずっと偵察で潜り込んでいて、此処にすらいなかった。
そして、彼女が師団長を引き継いでからも、だ。
彼女を評するほど、彼女を知っているわけではない。
それでも、師団の師団長で、実力者だ。そして、前師団長を知る人だ。
それだけで、少年は付き従うのだ。
その風格すらも、師団長故に、この師団最強の存在だからと認める判断材料なのだ。
少年にとっては。
■サロメ >
部屋の扉がノックされる
懐から出した懐中時計を確認する…報告が入る頃合いだ
「入れ」
掛けられるのは、たった一言
この女が副師団長であった頃は、今より多少は愛嬌もあったものだが
前師団長が命を落とし、師団長の座と継いだ時から──少しずつ、様子は変わっていった
少年兵が部屋へと入れば、椅子にかけた女…現師団長の姿がそこにある
灰色の髪に、獅子の毛並みの様な黄金色の瞳
黒い甲冑に身を包んだ、どこか冷たさを感じさせる肌質の女
整った顔立ちにも関わらず、何事にも眉一つ動かさないだろうと感じ取らせる威容
その身に、そんな"風格"を身に纏って