2025/05/06 のログ
ご案内:「無名遺跡」にティータさんが現れました。
ティータ > 「はぁ、やっぱり外出るとロクなことにならないよ……やだなぁ」

迷宮遺跡の中、単独でそろそろと歩いているシーフの少女。
数歩先を光の球がふわふわと浮いていて、それは松明代わりに出している精霊魔法のひとつ。松明だと片手が塞がるし、ランタンを腰に、だと灯りを狙って不意打ちされた時に危ない。なので、これは結構気に入ってよく使う。

「まだビギナーチームだから、そんなに深い所まで行ったりしない前提で……なんて言われたけど、これ、逆に熟練チームにお供した方が安全でした、って思っちゃうよね
 冒険のセオリーは私も自信ないけど……私が先頭、が正解だったんじゃないのかなぁ」

普段は街中でちょこっと何かくすねたり誤魔化したり。そうやって生活してて、本格的に冒険!なんてまずしないんだけど。
初心者冒険者チームが、シーフ技能者がたまたま出払ってて見つからないからって急遽、ギルド――シーフの方、から仲介で頼まれて同行してきたら。
血気盛んなリーダーの戦士の青年が、リーダーなんだから先に行くもんだ!ってずんずん進んでくものだから。床の仕掛けを踏んじゃって、みんな落とし穴へ直行したわけで。身軽な自分は落ちなかったけど、かと言って斜めに滑っていくようになってた穴の下に、わざわざ追いかけて飛び込むほど正義感はないの。

「どうなの? 罠とか気づきやすい人がまず先に歩くべきなんじゃないのかなぁ……それとも、一応固い人が先?」

ううん、と唸りながらそろそろてくてく。途中、やっぱりいろいろ罠はあるし、冒険慣れはしてないけど鍛えられてはいるからなんとか避けて来たけど。もう少し探しに行ってあげるべき?素直に戻るべき?
……って、どっちもどっちで色々困るなぁって悩んでる。

ティータ > 一応、階層ひとつぶんぐらいは見捨てないでおいてあげようか、と思う。階段ひとつ見つけたら、それは降りる。ふたつはもう私じゃ荷が重いと思うのね。ひとつぶんだけだって、単独行動が得意な生業だから行けると思うってだけで、それだって危ないのは危ないんだから。

「……うわぁ、また扉。これが街中の貴族のお屋敷です、とかなら軽い軽いってなるんだけどね〜」

行く手を、金属枠に分厚い感じの木製板を並べてはめ込んで作ってある、数人並んで通れるような大きめの扉が阻んでいて。
いつもなら、鍵とかあってもはいはい余裕余裕ってちょちょっと開けて通るんだけど。ダンジョンだものねぇ、って嫌そうな顔でじとっと見る。

一歩下がって扉の全体を見て、その周りの天井や床、壁を一通りじっくり観察。
すっと目を閉じて、頭の中でかちかちと時計の針を思い浮かべて。ウィスプを出してから、そろそろ丁度一時間になる。掛け直す頃だ、と言うことで更に扉からずっと離れて。

「この使い方ってちょっと気の毒な気がしちゃうんだけどね、ごめん、便利なんだもん」

浮いていた光の球を、しゅぱ、と扉に向けて発射――ばしん、と扉に直撃、弾けて消えていく。
すぐさま、近くにもうひとつ、新しい光球を喚び出して。じっと身構えているけれど、何も起きない。

「触ったり、わりと強めに振動とか与えても大丈夫、ね。そういう罠はひとまずナシ。
 ……じゃ、調べましょうか」

ティータ > よし、と腕まくり……をする仕草だけ。袖はあるけど革で覆ってて、それ取らないと腕まくりなんて出来ないし。
お師匠さまが、いつも作業前に腕まくりする癖があって、それを見て育ったから。ゲン担ぎみたいなものよね。ちょっと気合入れないとやばそうな時だと、自分でも真似ちゃうことがあるみたい。

扉に両手を添えて、それからコツン、コツン……と軽く叩いて。木板に耳を当てて、また何度か叩く。
取っ手の下に鍵穴、光球をその前へ持ってきて、取り出した小さな鏡越しにその中を覗く。直接鍵穴を覗き込む、なんて危ないことはもちろんしない。

「ん〜…… 鍵は、かかってる、けど。でもあんまり複雑ではなさそう?
 意外と、単純にただ施錠されてるだけ……かなぁ」

基本的なピックで行けそうね、と。
色んなところに隠し持っているツールの中から、よく使う鍵開け用のピック束を取り出して。これかな、と選んだ一本を、そっと鍵穴に差し込んで。あとは、指先の感覚がすべて。

「……二本要る、かな。でもまだ行ける範囲」

片方の手でもう一本、束から外したピックを最初の一本に添えるように差し込む。
――こうして、こう。 と、組み合わせたピックと指先、手首の角度をくるり動かせば、かたん、と小さく金属が動いた音がする。開いたね、と確信。

「で、やったーって慌てて開けると危ないのよねぇ」

扉の正面は避けて、斜め横から。反対側に意識を向けながら、ぐっと扉の片側を少しだけ押し開けた状態に持っていって。

ティータ > 「ほらぁ、これだから嫌なのよって、もう〜」

ほんの少しだけ開けた扉の隙間から確認すると、裏側に紐が走らせてある。
辿っていくと滑車を伝って、その先に重りが見える。無造作に扉を開け放つと、これを引っ張っちゃうか、もしくは紐が切れるかで、重りで何かあるよね、って。

反対側が見えてないから万全じゃないけど、ここからできる手はこうかな、って。
紐を指先で摘んで、重りの反対側は、思い切ってダガーの先で切る―― ……よし、何もなし。たぶん予想通りで、重りの反対側は扉に結んであるだけ。
であれば、ピンを出して、持ってる紐の方を結んであげて、これを反対側の扉の方に打ち付けちゃう。

「できあがり。これでこっちの片方はたぶん干渉しないよね」

両開きのうち、最初に少し開けた方は、何かあるんだろう重りと紐の仕掛けから独立したわけね。
更にもうひとつ何か、って可能性もあるんだけど、それは流石に厳重すぎない? ……って、思うけどまぁ一応警戒はしておく。
ゆっくり押し開けてみれば、通れるぐらいまで何事もなく開いて。それでやっと、反対側をそっと覗き込む。

「はぁ、扉一枚に苦労するもんね……割に合わないよぅ」

一攫千金、とかって概念はわからないでもないんだけど、それこそ数歩おきにずらーっと何十枚も扉とかあったらどうするんだろう、って思っちゃう。冒険のロマン!って言うのはやっぱり自分には向かないなぁって。

扉一枚抜けた先、通路がまっすぐ一本と、横に下り階段ひとつ。あ〜、これだけ降りて、落ちてった人たちが居るかどうかだけ、見に行くべきよねぇ……って。
やだなぁ、こういうのってひとつ降りると倍危険になるんだってば、とげっそりしながら。もうちょっと頑張りますかって、気合を入れ直して下の階へ。

ご案内:「無名遺跡」からティータさんが去りました。