2025/04/13 のログ
ご案内:「無名遺跡 浅層」にシロナさんが現れました。
シロナ > 無名遺跡の浅層区域は、危険はあるとしても、比較的に危険は少ない場所だ。
 罠があるとしても、熟練の冒険者から見ればないに等しい程度のものばかり。
 潜んでいる魔獣や、魔物に関しても、大した存在ではない。

 気を付けていれば、安全に行って帰ってこれる場所で、冒険者なり立てのパーティが、夢を見て、現実を知るにちょうどいいレベル。
 そんな中に、一人の冒険者がやってきている、2mもの、大ぶりなハルバートを背負い、レザージャケットにレザーパンツというスタイル。
 重戦士と言うには、軽装が過ぎる、軽戦士と言うには武器が重すぎる。
 そんなちぐはぐな格好をしているからには、成程、新人で、イロハの判らぬ冒険者と言う雰囲気。
 特に、特に、だ。
 このような狭い遺跡などのダンジョンの中、長物は不利も良いところ、目端の利く冒険者は、もっと短い武器を持ってくるだろう。

 そんな、初心者冒険者に、良く在るミスをしているのは。
 白いウルフカットで挑発的な深紅の瞳を持つ、褐色の女の子。
 年も、12~3くらいであり、冒険者登録して出るというには、少しばかり若すぎる。
 一人で、ダンジョンに突撃している所からも、自信過剰も良いところと、思われて仕方ない。
 そんな少女は、きょと、きょと、と薄暗い遺跡の中を見回しながら、歩みを進めている。

「うー……ん……やっぱり、シーフ、とか居たほうが、良いかなぁ。」

 今さらに、今更過ぎる一言。
 ハルバートに関しては、背中に紐で通し背負っていて、すぐに使える状態ではなく。
 腕を組み、うんうん唸りながら、石畳を踏みしめ、歩く。
 冒険者ギルドで、同じ質問したら、きっと先輩冒険者はいくつかの反応をしてくれるだろう。
 一つは、大丈夫かこいつ常識だろ、と言う可哀そうな物を見るような雰囲気で見る。
 一つは、知らん、仲間でもない子娘一人の未来など気にする必要もないから見捨てる。
 一つは、初心者なんだ、心配だねぇ、教えてあげよう。
 一つは、初心者なんだ、しめしめ、だましていいように使おう(性的にもふくむ)

 という所か。
 学校でも、口を酸っぱくパーティを組めよ、と言っていたのを思い出す。

「先走っちゃったかな、てへぺろ☆」

 軽い声が、無名遺跡の中に広がり、暗闇の中に吸い込まれていく。

シロナ > 「さーてっ……と。」

 独り言ちていても、状況は変わらない。
 そして、今、現状ピンチかどうか、でいえば、そうでもない。それなら、このまま突き進んでしまえばいいじゃない、と言う考え。
 立ち尽くしていても、何かが見つかるわけでは無いし、事態が変わるわけでは無い。
 まあ、浅層だからこそ、余裕はある。

 そう考えて、シロナは、足を進めることにする。
 戦士ギルドでの訓練だけではなく、学校での授業だけでもなく。
 やはり、実地、実線は必要だ、そして、冒険者としての活動は、その実地実践には特に有用。
 だって、相手は遠慮なく殺しに来るし、そんな相手に対して、全力で向かう事ができるし。

 まあ、実家の師匠(せんせい)に……と言うのもあるが、それは化け物クラスだし。
 基本的には、叔母の家庭教師であり、シロナはそのおまけみたいなところ。
 今日は、叔母とともにどこかに行っているらしい。
 期待できないことを期待しても仕方がないから。

 薄暗く、じめじめした石畳の上を、シロナは歩くのだ。
 こういう所に罠があると聞くが、ほんとシロナには、見分けがつかない。
 見分けがつかないという事は、魔法的な罠がないという証拠でもあるので、まあ、一応安全かな、と思う所。
 物理的な罠は、たぶん大丈夫、と思うのだ。

 警戒をしつつもどこかのんきに、シロナは、奥に、奥に、歩く。

シロナ >  かちり、何かを踏みしめるような音がした。シロナの耳は、それと同時に何かが作動するような音も、聞こえた。

「ん。」

 ぎゅるん、と言うような勢いで、シロナは、音のした方に、視線と、体を向けた。
 それに少し遅れるような速度で、しかし、通常の人間から言うなら、刹那と言って良い時間だろう、壁の中からクロスボウが出ていた。
 鏃が、シロナに向かって飛んでくる。
 その鏃をシロナは、右手でつかみ取る。

「ラファルちゃんなら……たぶんもっとスマートなんだろうなぁ。」

 悪戯半分で起動するか、若しくはとっとと解除しているか。
 はたまた、クロスボウが起動する前に、入り口に石とか押し込めるかするのだろう。
 まあ、本職と比べてはいけない。
 反応できたのは、人外である、人竜だから。
 人と比べ物にならない五感に、身体能力があるから、後防御力も。
 手にした鏃を見れば、毒は塗られてなかった。
 浅層だから、なのだろう。
 もっと奥に行けば行くほど、罠も巧妙に、悪辣に、致死的な物になるのだと思う。
 それを自覚してから。

 シロナは足を進めて。

 どんどこ奥へと入ってくのだった。

 そして、スケルトンをジャーマンスープレックスで、5~6体ほど、地面に頭を砕いて突き刺して。
 遺跡から脱出するのだろう。

 地面にさかさまに突き刺さり、砕けているスケルトンが、誰かが発見するやもしれないのは、また別の話―――

ご案内:「無名遺跡 浅層」からシロナさんが去りました。