2024/10/05 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 「―――っふっ…ぅくっ……ふ、っ…ぁっ……!」
無名遺跡の区画に、まだ声変わりを迎えていない少女同然の甲高い、悩ましげな幼子の声が木霊する。
両手両足を壁から飛び出した触手に拘束された、裸身に桃色シャツ一枚の姿の幼子が、懸命に足掻く。
しかしその身体は未だ、触手に完全に拘束されきっておらず、身悶えして絡め取られきりもしていない。
『無名遺跡の触手トラップが分泌する粘液は、精製すれば良質の薬の素材となる』
その知識を手に入れるやいなや、実践せずにはいられなかった少年薬師は単身、無名遺跡に乗り込み、
目当ての触手の活動を停止させる麻痺薬をふりかけて活動を停止させ、粘液を頂戴しようと踏んでいたのだが……
「っこ、のぉっ……っぅ、 くッ……!」
結果は、相打ち。
予想以上に活発だった触手は、麻痺させる適量の薬を浴びきらずに幼子の身体に数本ロープのように巻き付き、
一方で幼子の麻痺薬は少量でも触手から「ただ巻き付く」それ以上のことをさせない活動力を奪うことに成功していた。
現在は一進一退。
幼子が触手を振りほどききることに成功するか、麻痺薬の効能が切れて触手が活発化するかの瀬戸際で、
どちらが逃げて、捕食するかの瀬戸際が、数分間続いていた。
■タン・フィール > 「――――んぅ~~~っ……!」
ぎりぎりと締め上げる力が増していく…否、幼子の抵抗する筋力と持久力に陰りがみえてきている。
細腕に力を込めて、触手がまさぐってくるシャツの襟元へ、巻き付かれながらも己の胸元へ手を伸ばす。
狙いはシャツの内ポケットに仕込んだ、クレヨンのように極細の薬瓶。
追加の薬で状態異常をおみまいしてやろうと必死にそれに手を伸ばし、
やっとの思いで薬瓶に指がかかり、掴み取る。
「っぁ……やっば……!」
そこで気がつく、
今のままの体勢では、手にした薬瓶の栓を抜くことも、
薬瓶を投げつけて割り、内容液を振りかけることもままならないことに。
もしそれらの動作を行おうとすれば、たちどころに触手に手繰り寄せられるか、
関節を極めるかのようにねじ上げられ締め上げられることを感じさせる触手の拘束と、
攻撃方法や判断力を含め、つくづく荒事に向いてないなと反省しながら、
再度、眼の前の危機に向き合う羽目に陥り、ジリ貧の戦況にため息をつく。
そのため息が、はぁ……はぁ……と、段々と息が荒く深いものに変わっていく。
拘束による体力の消耗が現れ始めてきていて。
ご案内:「無名遺跡」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にシアンさんが現れました。
■シアン > 無名遺跡上層。危険度D~E(低)と目される階層。
冒険者の卵達へ冒険者の先達が率いて魔物討伐、だとか、
そういった事も(ギルドにもよるが)行われる場所――
である筈だった。
金銀財宝も貴重な魔道具も、危険な魔物もない場所――
である筈だった。
「最優先処理指定対象、だなぁ」
そこは今おぞましい事になっている。床、壁、天井にいたるまで、動物の腹わたの内部であるかのように赤色の肉塊が張り巡らされて脈動している。調べ尽くされ記され尽くされた末に作成された地図は、経路が変わってしまっており使用不能、魔物共もなぜだかその肉塊に侵食されており異常な凶暴性と高い運動能力を持っていた。挙句。内部は、淫気が充満しており、常人なら数呼吸程度で手頃な雄や雌どころかそのへんの穴や突起にでも股を突っ込んで尻から腰から振りたくる羽目になる程の濃度と毒性ときた。
「何だ? 何がいる? 淫魔の女王様か触手トラップ系の親玉か?」
ぐちゃ。ぐちゃ。ぐちゃ。ぐちゃ……。
歩むたび足を下ろすたび嫌な音がする。
まともな呼吸は随分前からしていない。
噛めば酸素を排出するガムに似たアイテムと、他のエリアと繋がっているらしき場所から流れる空気を判別して偶に口に含むだけで、防毒ガスは入った瞬間フィルターが使い物にならなくなったのでこんな限られた呼吸法で賄っているが、長く居れば侵食されるおそれがある。おかしなエリアが出たというから見に来たもののこれは各ギルドへ報告して調査隊・討伐隊を編成してもらいたい案件だ。ここでもう少し調査を進めるにしても撤退するにしても、人手が欲しいところ。