2024/07/17 のログ
ご案内:「無名遺跡」に魔淫装具さんが現れました。
魔淫装具 > 無名遺跡
様々な宝があり、未踏破の遺跡もある…
冒険者にとって冒険を味わうにはうってつけの場所だ

そんな場所の宝箱…ではなく、道端に…奇妙な黒い球体が落ちている
今は一切魔的な雰囲気は発しておらず、ただただ、誰かが拾ってくれるのを待ち望んでいる…

ご案内:「無名遺跡」にアイリースさんが現れました。
アイリース > 「あら? これは何かしら……?」

 いずれ自分の店を持つことを夢見るアイリースはその資金稼ぎとして無名遺跡に一人で来ていた。
 考えればここに来るのはアイリースの実力では力不足だが、アイリースの過去の経験でパーティを組む事をどうしても躊躇してしまい、一人で来ていた。
 運よく強敵に合うことなく、しかし同時に何も成果を得られずに歩いていたアイリースは道の端で転がる黒い球体を見つけて首を傾げる。

 そのまま、アイリースはここが何が起こるかわからない遺跡であるという事を忘れて黒い球体を手に取ってしまう。

魔淫装具 > 『は~…やっと喋れる…。お嬢さん、手に取ってくれてありがとう』

黒い球体を手に取った瞬間、少女の脳内に直接…ノイズ交じりの低い男の声が聞こえるだろう

『おっと。落ち着いてくれ、投げ捨てないでくださいね
私は単体では何もできないが…人を手助けするために生まれた魔具なんだ…
せっかく拾ってくれたから、お嬢ちゃんの助けになりたい』

口調は丁寧だが、言葉選びは乱雑で怖気を走らせるような声をしている
ただ、内容自体は簡潔である
拾ってくれた相手に恩返しがしたいという目的だと伝えよう

アイリース > 「きゃっ?!」

 突然聞こえてきたノイズ交じりの低い男の声。
 思わず小さな悲鳴を上げて辺りを見回すが、人影どころか生き物の気配すら感じられない。
 そうして戸惑っているうちに声からの説明に掌の上にある球体を凝視する。

「ま、魔具が喋るだなんて……」

 そんなものもあるのかとあっさりと鵜呑みにしてしまう。
 声の質が恐ろしいが、魔具だからだろうと疑いもしない。
 どんなことができるのかはわからないが、それでもまだまだ弱い自分の助けになってくれるのだったらありがたい。
 対価が必要だとは一切思わず、アイリースは了承する。

「助けになってくれるなら嬉しいです。えっと、魔具さんは一体どういう効果があるんですか?」

魔淫装具 > 『どうやら、私を作ったナニモノかは強い力を持っていたらしいね
だから喋れるのだろう』


乱雑な言葉は人間を中途半端に学習した結果
作られたのではなく、この球体に閉じ込められただけである
ただ、そんな様子は微塵も見せずに説明を続けていく

『了承してくれたか
ああ、ただまだ契約を結ぶわけにはいかないねぇ

私は君が望むならなんにでもなれるし
変化した後に…俺が思う、君の助けになる能力も得る

変化するのは…武器、アクセサリ、ペン…、そう、何でもだ。
ただ、一度変身すると契約を破棄するまで姿は変えられないし
世界を滅ぼす…なんてのは今の状態では無理ではあるが大抵のことはこの身に宿せる
だがもちろん…強力な力を使うのだから、ちょっとした対価もいただこう

それでいいなら、聴こう
君は 何を 望む?』


契約は内容を知らせなければ契約たり得ない
武力か、知力か、あるいは財力か
少女が内容を聞いても望むなら、少女が思い浮かべたものに黒い球体は変化し、その手に、あるいはその体に収まるだろう

アイリース > 「そんなすごい魔具なんて……」

 聞いたこともなければ本で見たこともない。
 もしかするとこれは遺跡に眠っているお宝の一つではと考える。

 そうして魔具の説明を聞いて、なるほど、契約を結び何らかの対価を渡すことで契約者の望みを魔具が助力して叶えるという物なのかと納得する。
 そして望みを聞かれ、アイリースは首を傾げて考える。

 祖母のような店を持ちたいという夢はあるが、それに至るまでの実力を手に入れるのは流石に自力でかなえたい。
 でも、自分一人で開店までの資金稼ぎはかなり骨を折る労働が必要だろう。
 一獲千金の夢を見てこの遺跡まで来た。
 そこまで考えて、アイリースはズルをしている気持ちになりながらも黒い球体に願う。

「その、この遺跡でお宝を手に入れる力が欲しい、です」

 アイリースは完全な後衛型の魔法使いだ。
 自衛のためにとナイフは一応持っているが、心もとない。
 魔法も特別優れているわけではないので、叶うならば優れた防具か魔法を強化してくれるアクセサリーなどになれないだろうかと聞いてみる。

魔淫装具 > 既に八割方契約を結んでいる状態
その状態で、願いを言えば…黒い球体が震え始める

『もちろん、なれるとも
お前が、君が望むならば、俺は力を尽くそう
その魔の力、私が底上げする』

単純に力と受け取った魔具は形を変えていく
球体から、冒険者の手首に収まる金属のブレスレットへ
黒を基調とし、赤い宝石が中央に嵌った装飾品である
形が変わっても…声は変わらず、冒険者の脳内に響いてくる

『契約は成った
私は君の魔を助けるモノ
3階梯以上の魔法詠唱一部省略、2階梯以下の魔法無詠唱化、威力増強、精神力消費の一部肩代わり、精神力の消費軽減、休息時の精神力回復速度上昇を基本性能とする
この遺跡の魔物の種類を考えれば、十分な性能と判断した』

自分を定義していく言葉
少女の魔法技術を強烈に、そして無理矢理に底上げしていく性能
強力な魔族などにはまだ敵わないだろうが、遺跡踏破に非常に役立つだろう

『また、特殊効果として魔法のストックを可能とした
君の魔法を私の内に溜め、お前と同時に発動、あるいはタイミングをずらして発動可能。その際に疲労は発生しない
また、私の判断で勝手に手助けを行う場合も存在する』

相変わらず言葉はばらばらだが、説明を終える

『宝を得るのだろう。前から魔物である』

試運転としては丁度良い相手。大鼠が遺跡の通路を前から進んできている…

アイリース > 「わぁ……!」

 説明されていてもこうして変化を目の当たりにすれば感動を受ける。
 脳内に響く説明にまさかそこまでの効果があるのかと驚き、その力で何としてもお宝の一つは持って帰りたいと決意していればまさかの魔物の報告までされる。
 そこまでの機能があるのかと驚いて前を向けば大鼠を視認でき、とっさに火球をぶつける魔法を唱えようとするが、発動を意識した瞬間に火球が大鼠に直撃する。
 それに驚きながらも先ほどの説明を思い出し、これがこの魔具の力なのかと驚愕していれば目の前の大鼠があっという間に火に飲まれ倒れ伏す。

 アイリースの実力ではあと数発ぶつけなければ倒せなかっただろうに、これが威力増強の効果なのかと思いながらだんだんと湧いてくる希望。
 魔具があれば目的をたやすく達成できるのでは? そう考え先ほどまでとは比べ物にならないほどの軽い足取りで歩き始める。

「魔具さん、私頑張りますので、お手伝いお願いします!」

 対価が一体何なのか、それを聞くことを忘れてアイリースは笑顔で話しかけて遺跡の奥へと進む。

魔淫装具 > ネズミを倒せば、また低い声が脳内へ響く

『お前が望みを果たすのが私の望みである』

魔具はその後もノイズ交じりの声で手助けを続ける
吹き矢の罠に対して火球を勝手に放って迎撃したり、魔物感知も続けその道程が止まらないように
ただし、魔法を使うたびにブレスレットの赤い宝石が赤みを増し、深い紅となっていくことに気づくか

『遺跡守護者発見
火炎嵐の呪文を推奨』

そうして進んでいけば、巨大な植物型の魔物が大広間に立ちふさがる
その先には、明らかに宝物がありそうな扉がある

普段ならその蔦による物理攻撃が脅威であろうが…腕輪の見立てであれば普段中々扱えないであろう魔法すら使えるようになっているため、単独打倒も可能であろう