2024/06/06 のログ
タマモ > この世の中、いつ何が起こるのか分からない。
今居る無名遺跡のような場所であれば、なおさらの事だろう。

遺跡の奥深くにある、出口の無いとある空間。
設置されたテレポーターにより転移される、トラップの一つである場所だ。
そんな場所に、新たな犠牲者を招いた、床に浮かぶ魔法陣の輝きが発せられる。
眩い輝きは一瞬で、それがゆっくりと消え去った後…そこに佇むのは、一人の少女。

「ふむ…なるほどなるほど、こんな罠であったのか。
確かに、妾が反応出来なかったのは、頷けるのやもしれんのぅ」

本来であれば、この魔力が消失した空間では魔術が使えず、脱出が困難である。
しかし、そもそも行使する力を魔力に依存しない、そんな少女では、それはまったく意味がない。
ぽんっ、と手元に呼び出す狐火、それを確かめながらの呟きは。
ただの密閉空間に閉じ込められた、その程度の認識に気付いたそれだ。

狐火の輝きに照らされる空間内の光景は…まぁ、うん、出れずにいた誰かしらの亡骸が、ちらほらと。
それも、やっと形を留めてり程度の感じで、相当前のものだろう。
そうでなければ、来た途端、臭いに鼻がやられていたに違いない。

タマモ > 「まぁ、とは言え、試したい事が一つ出来た。
確か、こんな感じで、こうなって…」

とりあえず、適当に周囲の地面をぱっぱと払い、ある程度の場所を確保する。
そして、ぽんっ、と次は手元に唐傘を取り出せば、こつ、と地面に先を当て。
がりがりがりがり…と、何やら削るように、何かを描き始める。

少女が行っているのは、己をここに送ってくれた転移の陣、それの再現。
長く記憶し続けるのは苦手だが、瞬間記憶はそれなりに得意だ。
そうして、己をここに送ってくれた転移の魔法陣が、ほぼ正確に描かれた。
…なぜ、そんな事が出来るのかって?
転送される瞬間まで、避けられるものを、じっくりと眺めていたのだ。

「………さて、出来たは良いが…」

描いた陣を、こつこつと唐傘の先で叩きながら、ぽつりと零す呟き。
正確に描く事は出来るが、あくまでも、少女が出来るのはそれだけだ。
そこに魔力を込める事は出来ないし、起動したとして、実は転移先がここなので、意味がない。
一方通行の転移陣なんて、知る訳もないのだから、仕方の無い事なのだが…
それに、そもそも…先も示した通り、ここは魔力が消失した空間、魔術は使えない。
結局のところ、少女の試みは、無駄に終わるのだった。

ご案内:「無名遺跡」にシルヴァさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からシルヴァさんが去りました。
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