2024/05/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシアンさんが現れました。
■シアン >
「さて……?」
真っ赤な絨毯。大理石の床。銀の燭台でゆらり揺れる、赤い炎。金の窓枠の向こうには、夜の草原。
大貴族の邸宅か王城の内装かといった設えをされた廊下。
無名遺跡の中層~上層の合間といった位置にあるそこは、
地下であるのに草原が伺えるというのも奇特であるが……
「化かされている気分だな」
どれだけ歩いても歩いても果てがない。どこまで行こうが只管に豪奢な廊下が延々に続いている。
「おおよそ、一時間か、うん、成る程。フツーに歩いて出られる類ではないと」
下層はもちろん中層でも上層でも新しい区画が出るだなんて話は日常茶飯事。
此度もまた未知の場所が出てきたなんていうから調査に来たら、これだ。
■シアン >
ぐしゃり、と、蒸れる髪を掻いて解して手団扇で仰いで換気する。
廊下は適温でなんなら遺跡外はもちろん今迄歩いてきたどこよりも快適だが、
小一時間も歩いていればさすがに汗ばむし毛量のある頭なんかとくに蒸れる。
「いやこれ俺のトレードマークだからさ……」
切れば? 何て、誰かが居たら突っ込まれそうな台詞を想定しての一人ツッコミ。
……誰かが聞いてたら赤っ恥だが今のところ誰も居ないからと気楽に独りごちて、
「術者が居んのか、内部構造そのものが術式を孕んでいるかだが……」
今のところそれらしい気配もなければ構造物の材質や配置もそれっぽくはない。
幾人か先行調査しているらしいが誰も帰ってきていないのも、なるほどだ。
「ん~~~」
立ち止まり、休憩。うん、と背筋を伸ばして腕も持ち上げる。
みちり、みちり、汗で張り付いたシャツに、膨張した筋肉が余計浮き立ち生地がやや悲鳴を上げた。
「きゅーけー」
帰還の魔導書なんかも反応しないし、そも、自分には使えないから今のところ手詰まりだが、焦っても仕方なし。
窓もあかないし扉もあかないので適当な壁に背を預けてから座り込めば、懐から煙草を取り出す。
一本咥えてマッチを一擦りして起こした火を煙草に移せば、吸い込み、吐き出す。
もく、と紫煙をふかして一服しはじめた。
■シアン >
因みにその後。帰還を果たした折の報告は、こうだ。
『詳しいことは報告書にあるがまぁようはぶっ壊しまくれ、出られはする』
ご案内:「無名遺跡」からシアンさんが去りました。