2024/02/10 のログ
ご案内:「無名遺跡」にロシェルさんが現れました。
ロシェル > ギルドで依頼を受ける際に組んだ、その場限りのパーティー。
前衛から後衛まで揃っており、戦闘面のバランスは悪くなかった。
――ただ、経験が浅かった。
前衛の誰かが踏み抜いた転移罠にかかり、遺跡の何処ぞへと飛ばされて暫く、薄暗い通路を一人進んでいた。

「――皆さん、無事だと良いのですけど。」

広い通路に変化はなく、延々と似たような景色が続くばかり。
きっと、恐らく。他のメンバーも己のように、ただ飛ばされただけ――だと、信じたい。
ぎゅ、とメイスを握り締めながら、静かな通路へと足音を響かせ。

ご案内:「無名遺跡」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 九頭龍山脈の麓に点在する名もなき遺跡群の一つ。
古代文明の名残である無機質な建造物に、苔が生す通路を歩くのは中年の冒険者。
魔物が蔓延り、罠も多い場所ではあるが、その分、財宝や魔導機械が発掘されるこの場所は、
冒険者たちにしてみれば、格好の稼ぎ場の一つである。

「……ん? 同業者か? ――――おぉい。」

T字路を曲がった所、前方から響き渡る足音に足取りを止めると、
手にしたランタンを左右に揺らしながら音源の方角へと合図する。
互いに互いの正体が分からず、出会い頭の衝突事故を避けるため、
未だ、その姿が見えぬ内から自身の存在を明かしながら、通路の角を利用して警戒も忘れず。

ロシェル > 少しばかり遠巻きに、人の声が響く。
己以外の誰かがいる事への安堵と、はぐれたパーティーメンバーではない誰かの声に、安堵と警戒が入り混じる。
然し、視線の先に灯る明かりの動きで、それも幾らか和らぐのだろう。
自身の存在を知らしめるよな挙動は、知性の無い魔物にはない動きだ。
メイスの先に仄かな明かりを灯してやれば、相手の動きに応じるように揺らしながら徐々に距離を削り――

「ええと―――……冒険者の方、です……?」

やがて、互いの顔が見える距離まで近付けば、緩く小首を傾げながら、何処か不安そうな表情で紡いだ。

トーラス > 薄暗い通路の先で、揺らめく火とは異なる魔法の明かりが灯る。
この地に住まうような魔族の類は人間とは異なる身体能力を持ち、
大半が暗闇でも見通せるような暗視の持ち主である事が多い。
こちらの所作に応じるように明かりを灯した相手に敵意を拭えば同様に距離を詰めていき。

「……あぁ、王都のギルドに所属している冒険者のトーラスだ。
 アンタは、……見た所、聖職者のようだが、ソロなのか?」

白と黒を基調とした修道服に身を包んだ、何処か不安げな女性の姿に小首を傾げる。
聖職者と言っても、ピンからキリまでで中には前衛を担うような者も存在する。
だが、女性聖職者が遺跡に単独で潜行するのは珍しく、訝しむ様子で双眸を細め。

ロシェル > 相手の名乗りを受ければ、ほう、と安堵の吐息が零れる。
灯す明かりはその儘に、五指を揃えた左手を己の胸元へと添え、軽く膝を沈ませる挙動を見せ。

「いえ、如何やら転移罠を発動させてしまったようで――
 ああ、ご挨拶が遅れました。 私、教会に所属しております、ロシェルと申します。」

簡素ながらも、儀礼的な挨拶を行えば、眉尻を下げながら簡潔に事の顛末を語る。
多くは語らずとも、仲間の誰かが罠を発動させ、散り散りになってしまった事は想像に易いだろう。
それから、改めて己の名前と身分を口にして。

トーラス > 転移罠の一言で、あぁ、と大半の事情を察して相槌を打つ。
遺跡の中で一番厄介なのは強制的に別場所へと移動を強いられる罠の存在だ。
魔物の巣や壁の中など致命的なものから、そうでなくとも、
仲間と散り散りになってしまえば、生存率は極端に下がり、危険極まりない。

「そいつはご愁傷さまだ。アンタの仲間も無事だと良いな。
 ……ふむ。後衛が一人なのは大変だろ。よかったら、同道するか?」

仲間と逸れた同業者への申し出としては、特に不審でもない自然な流れ。
だが、男の双眸は清楚な修道服では隠し切れぬ豊満な肢体に邪な視線を注いでおり。

ロシェル > 彼の言葉に、自然と眉尻が下がる。
転移した時に故障してしまったのか、連絡用の魔道具も反応を見せずにいるのだから殊更。
然し、続けられた言葉に、ぱあ、と表情が華やいだ。

「よろしいのですか?」

己の手にある武器からも分かる通り、前衛職を担う事も出来る。
が、担う事が出来る、と言うだけで、それを主とはしていないのだ。
注がれる視線の色には気付かぬ儘、額面通りに言葉を受け取って。

トーラス > 「あぁ、勿論。困った時はお互い様だろう?
 こんな場所で出会ったのも何かの縁だ。持ちつ持たれつで行こうじゃないか」

聖職者であるからなのか、或いは、彼女自身の性格に所以するのか。
初対面の相手に対して警戒心も見せずに素直に信じる様子にほくそ笑む。
脳裏に此処まで、探索してきた遺跡の構造を思い浮かべれば、
回れ右して踵を返すように来た道へと彼女を伴って歩き始める。

目的とするのは、邪魔な魔物も入り込まない袋小路の小部屋。
転移の罠にて仲間とも逸れ、助ける者も居ない哀れな神の子羊を連れ込んでいこうとして――――。

ご案内:「無名遺跡」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からロシェルさんが去りました。