2023/11/20 のログ
レヴェリィ > 「あら、失礼なことなんて何もなかったと思うけれど。礼儀正しい子」

所作は童女のようだが、その口調や笑顔は大人びた妖艶さを宿している。
多くの魔族がそうであるように、目の前の少女も容姿通りの年齢ではないのであろう。

そうして地図を差し出されれば、興味津々といった様子で覗き込んで。

「ふむふむ……ああ、なるほどね。辿り着けないはずだわ。
ここに書いてある道のほとんど崩れたり改造されたりで、原型残ってないもの」

この遺跡に潜むとされる魔族の数は10や20では足りない。
彼らが好き勝手に魔改造を施し、それを破壊する冒険者もいる以上、地図が役に立たないのは当然で。

「それにしても、古い地図ねぇ……よく残っていたものだわ。
ここまで変わっちゃってると、修正するより案内した方が早そうだわ」

深く青い瞳であなたをじっと見つめ、どうしましょうか? と首をかしげて問い掛ける。

シェティ > 外見だけの年齢で言うのであれば、目の前の相手は侍女風貌の女よりも幾許か年下に見えよう。
されど人間同士であればいざ知らず、魔族の間で外見の年齢が何の基準にもならない事は女の中でも常識に近しい考えで。
事実、童女の如き外見とは裏腹に酷く大人びた物言いや仕草は、目の前の少女が己よりも齢と経験を重ねた存在である事を感じさせた。

「………矢張り、そうで御座いましたか。はぁ………。
 せめて、大まかな方向だけでも構いませんので―――お願い出来ますと、助かります………。」

薄々感じていた予感を改めて指摘されれば、思わず零れ落ちた嘆息はこの地図を手渡した相手に対するもの。
此方をじっと見つめながら問い掛ける深青色の瞳には、未だ僅かに逡巡の色を示す様に蒼銀色の瞳を泳がせるものの、
今度はそう長い間は要さずに、恥を忍ぶ様に頭を垂れながら侍女風貌の女は目の前の相手へと道案内を乞うのだった。

レヴェリィ > 「ふふ、災難だったわね。その格好からして誰かの従者といったところかしら」

侍女風の装束を眺め、溜息をつくあなたに苦笑を漏らす。
きっと誰かの命令を受けてここまでやって来て、探し物をしているのだろう。

しかし、すぐに案内を始めるのではなく、相変わらずあなたの表情を覗き込む。
魔族とは全般的に我欲の強い生き物だが、どうにもあなたは控え目で遠慮がちな性格のよう。
しばらく考えた後、ぴょこんと瓦礫から降り立って。

「入り組んだ迷路だもの、ちゃんと目的地まで案内してあげる。
……とはいっても、ただ施しを受けるのは居心地が悪そうね。

ね、こういうのはどうかしら。道案内の分、私もあなたから対価を貰うというのは」

それならばお互い対等な契約。
あなたが申し訳なく思うことも、恥ずかしく思う必要もないはずだ、と。

シェティ > 「―――名乗りが遅れました。私の事はどうぞシェティ、とお呼びくださいませ。
 ご推察の通り、此度は主の命にて此方に在る品を持ち帰るよう仰せつかったのですが………。」

零れ落ちた嘆息に対して漏れた相手の苦笑に、ほんの少しだけばつの悪そうな素振りを見せてから、
侍女服のスカートの裾を軽く摘まみ上げると深く腰を折って一礼すると共に遅れながらの名乗りを告げる。
それから、腰掛けていた瓦礫から降り立った少女の姿を視線で追って、不意に投げ掛けられた提案には蒼銀の瞳を瞬かせ―――。

「………対価。えぇ―――どちらにせよ、道案内の御礼はさせていただくつもりで御座いましたし、
 私に払える対価であれば、此方としても願う所で御座いますが………。」

一方的に借りを作った侭で居るつもりが無いのは、女なりの矜持か良識か、或いは純粋に後々の面倒を避ける為の考えか。
何れにしても互いに対等な立場の『契約』という形式であれば、侍女風貌の女としても異存は無く、彼女の提案には頷きを返そうか。

レヴェリィ > 「ふふ、健気で忠誠心ある良い従者ね。よろしく、シェティ。
私のことは『レヴェリィ』と呼んでちょうだい?」

改まった挨拶に対し、こちらは茶目っ気たっぷりにウィンクして見せる。
殊更に褒めて見せる辺り、嘆息は見て見ぬフリをすることにした、という無言の意思表示だろう。

「心配ないわ。私に会えた時点で、あなたは私に払える対価を持っているもの」

地図をあなたへ返すと、少女は話しながら歩き出す。
小部屋からは四方に通路が伸びていたが、考える素振りもなくそのうちの1つへ。

「私はね、シェティ。感情を食べる夢魔なの。
ああ、食べると言っても、食べられた感情がなくなったりはしないから安心してね?
だから……道案内の対価に、あなたの感情を少しばかり味わわせて欲しいのよ」

あなたを振り返り、小さくぺろりと舌を出す。
それは美味しそうなお菓子を見つけた無邪気な子供のようであった。

シェティ > 「………かしこまりました。どうぞ宜しくお願い致します、レヴェリィ様。」

愛らしい仕草でウィンクをして見せる相手の様子とは対照的に、抑揚の淡い声音で首を垂れる侍女風貌の女。
殊更な賛辞にはほんの少しばかり居心地の悪そうな素振りを見せながらも、その裏の意思表示を汲み取ればそれ以上の追求はせず。
返された地図を受け取り、分かれ道の先へと足を進め始める少女の姿に付き従う様に、女もまた暗闇の通路へと身を投じてゆく。
その道中、投げ掛けられた矢張り何処か謎掛けめいた言の葉には、蒼銀の瞳を瞬かせながら小首を傾げるものの―――。

「―――成程。レヴェリィ様は夢魔で御座いましたか。
 何分、見ての通り感情が薄いとよく言われる私などで、御口に合うか如何かは判りませんが………。」

其れでも宜しければ――と少女の要求に対して、矢張り抑揚の淡い声音で答えながらも首を縦に振って見せたのは取引成立の証。
それから、幾つかの言葉のやり取りを交わすと同時、先導する少女の後ろ姿を追いながら二人遺跡の中を進んで行くのだろう―――。

ご案内:「無名遺跡」からシェティさんが去りました。
レヴェリィ > 【後日継続】
ご案内:「無名遺跡」からレヴェリィさんが去りました。