2023/08/06 のログ
ご案内:「無名遺跡」にコラルさんが現れました。
コラル > そこは、遺跡のそう深くない階層。歩いているのは一人のエルフ族と思しき見た目の少女である。
その恰好はセレネルの海が似合いそうな、遺跡には不似合いと言える代物ではあるが、
少女の能力的に普通の服だとちょっと力を使うだけでぐしょ濡れになってしまうのだ。
それに、生まれた場所ではこういった服がポピュラーで安心する。

「もう、みんな子供扱いして……!」

こんな所を一人で歩いている理由となった出来事を思い出し、一人頬を膨らませる。
見た目よりは冒険者として経験を積んでいるというのに、仲間たちはいつまで経っても子供扱いをしてくる。
この前、ついにそれでひと悶着起きてしまった。少女は頭に血がのぼり、
自分一人でだって冒険として成果をあげられる、と大見えを切ってしまった──
と、そんな訳である。

こうして少女は歩いている。遺跡に来るのは当然初めてではないが、
ここいらの界隈にまで足を運ぶのは初めてだ。
今までに行った事のある場所を一人で探索してきた、では自分を認めさせるには物足りない。
ここはやはり、仲間と行った事の無い場所で何らかの成果をあげねば……
そんな志を持って探検中だが、魔法使いが一人で探検することのリスクは心得ている。
かなりの頻度でキョロキョロ周囲を確認しているあたり、おっかなびっくりなのが分かる。

コラル > そうして歩いて行くと、地下を流れる川が行く手を阻んだ。
向こう岸まで4、5メートルはあるだろうか? 少なくとも少女の身体能力では、飛び渡るのは無理な距離……

「ふん、こんなの──」

少女はむしろ、小走りになって勢いを付ける。
そして、そのままぴょんと跳んで……
水の上に立った。
水の流れが、あたかも少女を迎え入れるかのように停滞していた。

「全然、大した事ないんだから」

誰が聞いている訳でもないのに、少女は小さく鼻を鳴らして自己主張する。
そのまま薄い胸を反らすようにして、水の上を歩いて行く。
もう一度ぴょんと跳んで対岸に降り立つと、そのまま遺跡の奥へ──

ご案内:「無名遺跡」からコラルさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にコラルさんが現れました。
コラル > 遺跡の奥を目指した少女は、それからしばらくして、足を止める。
その場で腕を組んで、首を捻って考え込む…

子供扱いする仲間達を見返してやりたい、とは言え、
奥へと単独で進み過ぎてはいまいか?
と、自分の行動を省みる冷静さはきちんと残っている。
自称・パーティのブレインとしては、決断すべき時を誤る訳にはいかない。

単独のダンジョン探索においては、無理をしないことが肝心だ。
何せ、フォローしてくれる仲間がそばに居ないのだから。
とは言え、手ぶらで帰るのはちょっと…と躊躇ってしまうのも人情か。