2023/07/31 のログ
■ミシェル > 「血の旅団」によって占拠されたアスピダ。
元は王国のものであるにも関わらず、現在も王国軍はそこを奪還できず、
そのまま攻めあぐね、小競り合いが続いている。
そんなアスピダから少し離れた王国の陣地に、黒のローブに身を包んだ集団の姿があった。
「ゆっくり、ゆっくり下ろして……よーしそのまま」
作業を指揮するのは、緑髪が特徴的な女男爵。
つまり彼女ら彼らは宮廷魔術師とその助手の集団だ。
そして、魔術師達が設置していたのは、珍妙な機械装置。
大小様々な丸いレンズがアームに取り付けてあるような形の、魔導機械だ。
「ふぅ、設置完了。じゃあ準備が出来たら試験を開始しよう」
全ての装置の組み立てが終わり、ミシェルは他の魔術師達に目配せする。
アスピダ攻略の為に今、王城の地下で開発が続けられている新型魔導機械兵器の、これは試作品の一つ。
威力も規模も及ぶべくないものだが、はたしてこれがどれほどアスピダに通用するかをテストするのが、今回のミシェルの仕事だ。
「よし…照射、開始!」
ミシェルの掛け声と共に機械に魔力が流されると、レンズが妖しい光を放ちながら徐々に並んでいく。
そして、全てのレンズが一直線上に並んだ瞬間、魔力の光線がアスピダ目掛け放たれた。
■ミシェル > 「んー……イマイチ」
実戦テストが始まってしばらくして、ミシェルはため息をつく。
望遠鏡で覗いた先では、魔力の光線がアスピダの城壁に当たるも焦げ目すらつかない有様が繰り広げられている。
敵の兵士には効いているものの、城壁を穿つことはまったくできていない。
「失敗作…かぁ」
一番効いてほしいものに効かないこれは、そう呼ばざるを得ないだろう。
人なんてこんな大掛かりな装置が無くとももっと効率よく殺せるのだし。
ミシェルはテストの終了と機材の解体撤去を部下に命じ、一人腕組みして考え込む。
(しかし何だって僕が急に実戦テスト班に…もしかしてバレたかな?)
このアスピダ攻略戦を舞台に密かに繰り広げられる陰謀。
それを阻止せんとするさる王女への密かな協力。
まだそれがバレたとは思いたくはないが…。
(うーん、当分おとなしくするかもっと積極的に行くか…どうすべきかな)
魔術の事は分かっても謀略の事はあまり馴染みがない。
ミシェルは思い悩みつつも、自身も撤収準備に参加した。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からミシェルさんが去りました。