2024/11/26 のログ
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ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に破滅の魔女さんが現れました。
破滅の魔女 >  ▼
 広大な九頭竜山脈の山中にある山道を歩く一人の女。
 どう見ても山歩きをするような装備ではない女は、当然のごとく困っていた。
 岩の隙間に突き刺さったヒール。あれのせいで足を取られて挫いてしまって、往生しているのだ。
 手頃な大きな岩の上に座り、深いスリットから覗く長く白い足のつま先までを伸ばす。
 挫いた足首には氷を当てて患部を冷やしているし、自然に動けるようになるまでそう時間はかからない。
 この程度の些細な不幸はいつものこと。
 これがもっと酷ければ足がちぎれたりしていたかもしれないと思うと、女は端正な顔立ちを幼くして唇を尖らせる。

「あーあ、他の"私"と連絡が取れればいいんだけどなぁ。本当の【私】はそんな面倒なことをしないんだよね」

 魔族の国にも王国にも人形を沢山放っては、物量作戦で呪いを解くまでの破滅を避けようとしている本体。
 役割としては工房に籠ったまま動けない本体の代わりに、解呪の手段を世界中を旅して探すのが自分たち。
 その道中で記憶や素材を本体へ送っている。
 この山にも、きっと他の人形(ドール)がいるはずだけど、広大すぎて出会える気がしない。
 人形同士に共鳴(リンク)機能はないから猶更。

「まあ、会えなくても問題ないけどね」

 折角分散してる呪いが、集まることで強まってしまうのは宜しくない。
 木々の合間から晴れ渡る青空を見上げて、膝を立てて頬杖をつきながら時折あくびを零していた。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から破滅の魔女さんが去りました。