2023/11/20 のログ
タレイア > 日も暮れたのちの昏い山中を静かに歩む四つ足のシルエットが一つ。

一見それは赤錆色の体毛の、狼のように映る姿ではあるものの
よくよく見たならば全身は触手が蔦のように絡み合って形作られており
明らかに魔物、まともな生物ではないというのが見てとれるだろう。

腰近くからは三又に口を開く物や性器めいた形状見せて蠢く数対の触手たちが
首をもたげてくねっては、獲物を探すように辺りを伺う。
異様な姿と気配、魔力を滲ませる魔物はゆったりとした動きで山中を歩み
知覚に誰ぞの気配が引っ掛かれば、音もなく足を進め、這い寄っていくのだろう。

タレイア > そうして獣は何処とも知れぬ山の暗闇に。
今日のところは一匹のみで、触手と魔力だけ連れて消えていく。

ご案内:「山中の一角」からタレイアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に朧月さんが現れました。
朧月 > 月明かりの照らす山の中、フラリフラリと千鳥足。
片手に持った瓢箪に、口付け傾け酒を呷る。
そんな酔っ払いらしき人影だが、それをよく見れば年端もゆかぬ一人の少女。

「いやぁ、今宵も良い月だぁ。
ほんとほんと、酒が良く進むねぇ」

誰も居ない山中で、そんな言葉を紡ぎながら。
グイッと酒をまた呷れば、プハーッと酒気帯びた吐息を吐いて良い気分。
足元はふら付いているものの、不思議とそこかしこに生えた樹木にはぶつからない。

朧月 > 今の彼女の目的は、もっと月の良く見える高い場所を目指す事。
今日の月は満月でもないのだが、それでも月を眺めながらの酒は美味しく感じるものなのだ。

夜も深まるこの時間、危険な魔物の出現もありそうではあるものの。
幸か不幸か今のところ、何に出会う事もなく進めていた。
もっとも、こんな場所での危険なんてものは、決して魔物だけではないのだが。
彼女からすれば、果たして何が危険なのか。
むしろ、それは彼女を指す言葉ではないのかもしれない。

「おーい、今は山のどの辺りだい?
なかなか良い場所に辿り着けなくてねぇ、山頂じゃなくても良いから、月の眺められる良い場所を教えておくれよ」

そんな彼女が声を上げ、言葉を向けるのは草むらの影に隠れた小動物。
彼女の声に驚いたのか、強い酒気から逃れ様としているのか。
言葉を返せる訳もないのに、そんな質問をしてしまう酔っ払い。

朧月 > 当然の事だが、声を掛けられればガサガサと茂みの中を逃げて行く。

「あっはっはっ、いやぁ、逃げられた逃げられた。
これは困ったものだねぇ」

特にそれを追ったりはせず、何が可笑しかったのか、逃げた方向を指差しながら笑ってしまう。
そして困っているような素振りも雰囲気もさせぬまま、ペチリと自らの額を叩き、また酒を呷るのだ。

朧月 > 案内役も居ない、そもそも場所が分からない。
大雑把な目的だけ決めてやって来た結果ではあるも。
言葉とは違い、それを本当に困ったとは思っていない。

「うーん、どうしたもんか。
一度上から見れば分かる…かなぁ」

カクンカクンと右へ左へ頭を揺らし、その言葉の後に上を見上げる。
真紅の瞳が木々の隙間を探り、ピタリと一点で止まれば。

「どっこいせーっとぉ」

グッと体を屈めさせ、グンッと今度は伸ばし、その勢いのままに地面を踏み付ける。
ボゴンッ!と重く鈍い音と共に地面が大きな振動を起こし、彼女が踏み締めた地面が大きく凹む。
バネ仕掛けの様にその小さな身体は勢い良く上空へと跳ね上がり、彼女はそれを利用して視線を下に広がる森林へと向けた。

勢いは結構な上空迄到達しては止まり、後はそこから落下する。
その速度に捲くれ上がるスカートを申し訳程度に片手で抑え、ズドンッ!と再度揺れる地面、彼女は着地した。
結局のところ、抑えたところで誰かがこれを見ていれば下着の一つでも見られたのだろうが誰も居ない。
パラパラと衝撃で跳ねた小石が周囲に落ち、後には何事も無かった様に立っている少女。
そして彼女の足元に出来た小さなクレーター。

朧月 > 「よぉし、あっちだ」

上空に跳ねた時、森林を目視で探った時に見付けた場所。
目的である月を眺めるには丁度良い場所、それを目指してかフラフラと歩き始め、彼女はここを後にする。

残ったのは彼女が作った小さなクレーターのみ。
それが何を行った事で出来たのかなんて、誰も知る事はないのだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から朧月さんが去りました。