2025/02/12 のログ
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ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ >   
ハイブラゼールの安ホテルで昼を過ぎた時分に目を覚ました男は、髪を手櫛で整えて身なりだけ取り繕った
暮らすには物騒に過ぎるが、滞在するだけならばこの街の空気は肌に合う。
何より遊びと刺激に事欠かないのがいい。
今日も今日とて、女に誑かされたのか、カジノで散財したのか分からないが、地面にへたり込んで嘆いている男を横目に通り過ぎ。
ホテルに隣接する酒場を訪れた。
夜間と勘違いしそうなほど薄暗い店内で、カウンターに腰掛けて酒を注文する。

「名残惜しいが、あと1、2日したら帰るとするかねェ……」

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にノア = セシルさんが現れました。
ノア = セシル > 「 わかる…… 帰りたくない、 」

2つ左隣のスツールに、脚を組んで座る女。面識もない誰かの呟きが聞こえると、丁度今同じ事を考えていたとばかりに気だるげな声色で勝手に返答を。どんな人物なのだろう と、ちらり琥珀色で覗き込めば。貴方の容姿を下から上へ視線動かし、次いで

「 ……………イイ男。 」

なんて、小さく零したり。視線を前方に戻せば、美しい澄んだ桃色のカクテルを こく…とひと口。グラスの中の小さな気泡を見つめたまま、組んだ脚先を僅かに揺らして

「 勝てば一生居たくなっちゃう。 」

女がカジノで遊びに来た客だとわかる一言を付け足した。たまたま近くに座った貴方へ、気儘に声を掛けながら 少しずつ飲み進めて。

ラッツィオ >   
目の覚めるような髪の色をした女だった。
声を聞くまでその存在に気づかなかったのは、彼女の静かな所作のせいか、あるいは酒に集中していたせいか。
店内は薄暗いというのに、仄かに光を帯びているようにも見える長い髪に目を奪われてから、顔に視線を戻す。

「勝ってるうちに退散するのが、一番儲けられるンだろうけどよ。
そうもいかねェのが難しいところだよな」

視線がかちあい、彼女の声が独り言のぼやきではないと分かると、同意を示して頷き返した。
2つほど席は離れているが、声が届かないほどまだ店内は騒々しくない。

「嬉しいねェ。
だが初対面の美人サンにそう言われて手放しで喜べないのは、俺も年を食ったってことなのかもな。
若い頃なら有頂天になってただろうが」

表情は綻ばせるものの、ここは大歓楽街ハイブラゼール。
世辞のひとつで舞い上がっていては、一晩と持たずに身ぐるみ剥がれて裸一貫の末路が見える街だ。
口元で笑いながら、彼女の外見を注意深く値踏みするように眺め。

「――知り合いじゃあねェんだが、アンタのような目立つ姿格好に聞き覚えがあってな。
白い……なんだったか」

ノア = セシル > 視線はカウンターの正面に向けたまま、ちらりと見えた何かの尾について のんびり思考を巡らせる。爬虫類、だろうか… 其れが何にしても、獣の耳や尻尾の付いたミレー族や、其の他様々な種族が存在することは珍しくもない。こんな所に平然と訪れているのだから と、然程気にする事も警戒する事もなく。其れどころか頭の中、自身の刺青を思い浮かべ (仲間みたいなものかしら) なんて、くすり僅かに口角上げて

「 若さなんて誰でも順番に、平等に手に入るモノでしょう ? “+‪α” の魅力にこそ、女は惹かれるの。 」

他愛もない他者との会話を愉しみながら、次は何で勝ち分を増やそうか 等と考えていた女は… 聞き捨てならない貴方の一言に、揺らしていた爪先も ぴたりと動作を止める。琥珀色が貴方へと視線戻し、知り合いだったろうか と再び其の容姿を確認する。やはり其れでも見覚えがない と、判断すれば

「 随分 “情報通” なのね。こんなイイ男に知ってもらえているなんて光栄…… と。 けど… 人違い。 」

席を一つ、貴方の真隣に詰める。グラスも移動させ脚を組み直すと 首を傾げ貴方の双眼を覗き込み、白い人差し指を唇に添え。激しく否定するでもなく、ふんわりとシラを切った。

ラッツィオ >   
「若いうえに美人なアンタの口から聞くと、どうもむず痒くなっていけねェ。
出会う場所が悪かったかもしれねえな。
これがもし――そうだな、海辺で偶然出会ったとかだったら――その一言で、コロっと落ちてたかもしれん」

美女に褒められて気分が悪くなるはずもなく、その証拠に先ほどから口元は緩みっぱなし。
だが、だからといって完全に警戒を解くわけにもいかないと、眉だけは引き締めている表情で。
不意に彼女が立ち上がると、グラスを握っていた指に少し力が入ったが。
隣に座り直した彼女の、唇に指を当てる仕草にふっと息を零して笑い。

「……ああ、人違いか、そりゃ悪かった。
なら失礼なことを聞いたのは詫びて、改めて挨拶させてもらうか。
俺はラッツィオ。
美人サンとの出会いに乾杯とさせてくれ」

間近に距離を詰められると、彼女のしなやかでありながら女性らしい曲線に富む身体がよく分かる。
身につけているドレスもかなり上等そうなものだ。
無論、それ以上の詮索は避けることにしたので言及はしない。
真っ当な、そして彼女にとっては慣れているのかもしれない、単純にシタゴコロを潜ませた視線を投げかけながら、グラスを持ち上げ。

「帰りたくないが、帰らなきゃならない。
だったら有意義に過ごす方法を考えるほうが楽しいってもんだな」

ノア = セシル > 「 残念、海辺で声をかけるべきだったのね。 」

軽快にそう返す言葉は、本心か戯れか。少なくともあなたに対して好意的であるのは間違いなく、其の証拠に自ら歩み寄り貴方の左隣に腰を下ろした。席に着いた後も身体を強ばらせる事なく リラックスした様子で脚を組み替えて、避けられなければ、互いの膝が触れ合う程に身体ごと斜め右に向けて座ろうと。

貴方の名前を心の中で復唱しつつ、女もグラスを摘み上げながら名乗った。グラス同士を重ねれば、軽やかな音を鳴らし

「 ノア。 素敵な出逢いに ── 」

こく と一口喉を潤せば、グラスを置いて貴方を見遣る。大人な振る舞いの裏に見え隠れする下心には、気付きながらも気付かないフリ。無知を装うような、其れでいて何かを期待しているようにも見える、そんな視線を貴方の金色の双眼に注いで。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からラッツィオさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からノア = セシルさんが去りました。