2024/10/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にプリシアさんが現れました。
プリシア > 今回は遠出の旅行という事で訪れた港湾都市。
そんな場所に姿を現したのはパッと見だけは明らかに場違いな幼い少女。
だけど周りが関わらない様にしている様子が見られるのは、少女の姿を良く見れば解るだろう。
身体の所々から伺える、竜である事を主調する小さくもちゃんとした角、翼、そして尻尾。
チョコチョコと進む歩みに合わせユラユラと揺れる翼と尻尾が、作り物ではない事を理解させる。

此処にやって来た理由は一つ、自分が知っている以外の、自分と同じ種の感覚を感じたから。
抱く好奇心に誘われて、ちょっとだけ見てみようと来てしまったのだ。
勿論長居はしないつもり、遠くからでも良いから見る事が出来たら戻ろうとは考えていた。

「えっと…あっち…あそこ?」

目立たない様に、実際には結構目立ってしまっているのだけれども、建物の陰に隠れる様に。
其れを感じた場所へと顔を出して覗き込む。
見られている相手からすれば、周囲の反応や感じる視線がはっきりと感じられてしまう程の拙さ。
如何した行動をするのかは、見られている彼女次第だろうか。

フェブラリア >  
その姿をフェブラリアが視認したのは余興と資産落としの為の賭け事の最中。
丁度、ワンゲーム終了して賭けに負けた直後の所だった。

視線の先に揺れる翼、そして尻尾にその小さな角。
間違いなくその相手も、また竜であった。

「……へぇ?」

フェブラリアの食指が動く。それは期待した『商品』ではないが、興味を惹く対象。
そう多くは無い同族の気配と視線、それを悟れば次の賭けから降りて席を立つ。

此方を見つめる幼い同族に向けて一歩、また一歩と歩を詰める。
躊躇いは無く、あちらから覗いているのだから向こうも承知の上だろうと。
目の前の同族に比べれば人に近い竜令嬢の、青い長い尾がゆらりと揺れて。

「こんにちは、小さなお嬢さん。
 私になにか御用でしょうか?」

嫋やかな笑みを携え、柔らかな声色で挨拶代わりのカーテシーと共にそう問いかける。

プリシア > 相手がこちらに気付いた、最初の内は気付く事がなかった。
周囲の人混みもあったからか、向けられた視線に気付けなかったのもある。
もう一つは、居るのは感じているけど、相手がはっきりとわかってないのもあったのだ。

「えっと…えっと…あ」

だから、逆に此方の反応が遅れてしまう。
遠目に見て済ませるだけのつもりが、気付かれた上に近付かれてしまっている。
こうなってしまっては今更逃げる訳もいかなくて、其の侭彼女に距離を詰められた。
其の戸惑い様は彼女にははっきりと見て解るだろう、無意識に揺れる翼や尻尾が示しているのだから。

「あ、あの…えっとね…こんにちは、おねーちゃん」

声を掛けられてしまえばもう如何する事も無く、何時迄も何もしないのは逆に彼女に悪い。
そう思ったからか、声と共に向けられた挨拶にペコリと小さくお辞儀をして応える。

「その…プリシアと、同じだなって、感じたから…ちょっとだけ、見てみようって、思ったの。
えっと…ごめんなさい、なの」

そして続く様に伝えるのは、特に用事が無いとの彼女の質問に対する答え。
何かしているのは見えていたから、邪魔をした様に感じて不安そうに見上げ乍に。

フェブラリア >  
おねーちゃんと、そう呼ばれて気を良くしたのか少しニコリとはにかんで。
ぺこりとお辞儀する姿をおおよそ頭一つ分ほど上から見下ろす形に。

「どうやらそのようですね、小さな御同胞さん?
 お気持ちはわかりますとも。私も逆であれば様子を伺ったでしょうから」

フェブラリアは優し気な、一見友好的な笑顔でそう返す。
なにせ相手は自らよりも幼いであろう同胞なのだ。
竜令嬢の人生…もとい竜生においても、そうした機会は数えるほど。
指折り出来るのだからまだ恵まれているほうだろうと、自身でも思うくらいには貴重な相手なのだ。

「それよりも、はじめましてですね。プリシアさん…でよろしいのでしょうか?
 私はファブラリア=フェブルリア=フェブルアーリア。貴女と同じ竜で、令嬢でございます」

友好的な笑顔を崩さぬまま、フェブラリアはプリシアと名乗った竜に自己紹介を返す。
優し気な、しかしどこか圧を感じる笑顔は威圧感を与えかねないが、こればかりは半分職業病、染みついたものなのだ。

プリシア > 目の前ではにかんで見せる彼女に不思議そうな、何処かホッとした様な安堵の表情を浮かべる。
自分よりも低い相手とそう会わないのもあってか、相手から見下ろされる事に気にしたりはしていない。
寧ろ慣れた様に上目遣いに見上げてみせて。

「そう、なの?…えっとね、それなら、良かったの」

相手に悪く思われていない事に気付けばニコッと小さく微笑んでみせる。
不安そうに垂れていた小さな尻尾も、背中の翼も、今は嬉しそうにユラリと揺らす。
彼女がどんな思いを抱いて自分を見ているかは解らないけれども、笑顔を浮かべているのだから大丈夫と。
そして自己紹介をしたつもりはなかったのだが、自分の名前に対し自己紹介を返す彼女。
其れを聞けばちゃんと返さないとと考えて。

「あ、あの、プリシアは、プリシア・トゥルネソル、なの。
えっと…えっと…れいじょう…うん、わかったの、フェブラリアおねーちゃん」

改めてもう一度小さく頭を下げて彼女からすればもう一度の自己紹介。
令嬢、言葉は耳にした事はあったけれど、其の意味をちゃんとまだ理解はしていない様で。
後でちゃんと調べようとは思っているものの、今の時点ではそうである事は雰囲気で彼女に伝わるか。

フェブラリア >  
容姿と同じくらいの年齢なのだろうか。見下ろすプリシアの言葉遣いと反応は、やはり年相応、見た目相応と言った反応だ。
自らがそうであるように、竜の容姿と実年齢は宛にならないモノとも思っていたが、例外もやはりあるのだろうと納得する。

「貴族…ということですよ、プリシアさん。
 しかし、見たところまだ十にも満たぬ年頃のあなたが来るには、此処は少々場違いですね」

ともあれ、今は純粋に目の前の同胞に対する興味を満たしたいと、フェブラリアはそう考えて。
周囲を一瞥…やはりというか、目を惹く容姿の自分たちを見つめる視線は一つや二つではない。
それを悟れば、竜令嬢はこのままここで話をするのはよろしくは無いだろうと、そう判断。

「如何いたしましょう?あなたがよろしければ少し場所を移し、お話でもどうでしょう?」

場所を変えることを提案しつつ、周囲で彼女と会話をするのに最適な場所を模索する。
少し遠いがダイラスの外れにある持ち家に招くか、或いはこのハイブラゼール内にある"多目的な用途の個室"でも借りるべきか、と。
どちらにせよ、目の前の彼女の許可を取らねばならぬが故に、まずはその返答を待つことにした。

プリシア > 彼女の納得に矢張り不思議そうに小首を傾げてみせる。
そうした反応は時々見ているから、如何してそうなるんだろう?と思う処はあるのだろう。

「フェブラリアおねーちゃんは、貴族、わかったの。
あ、えっと…そうなの?」

彼女の云いたい事、其れを理解するのはちょっとばかり早かったのもあるだろう。
其れに初めての場所では視線が向けられる事を理解しているからか、其れを気にする事も無かったのだ。
小首を傾げた侭、彼女からの提案を聞けば少しだけ考える仕草をしてから。

「うん、プリシアは、大丈夫なの」

コクンと小さく頷いて、そう彼女へと答えた。
今は自由な時間だし、後は宿に戻って休むだけ、其の宿の場所もちゃんと覚えている。
後の予定は明日からだから問題は無いし、彼女に全てを任せようと。

フェブラリア >  
当然というべきか、やはりというべきか。
目の前の同胞はまだ社会経験や人間社会の知識には疎いのだろう。

「ええ、ここは大人の遊び場のようなものですからね」

故に、何故か?という話を端的にそう告げて。
了承の言葉が返ってくれば、ほんの僅かに姿勢を下げてその手を差し出す。

「ふむ。でしたらええ、私についてきてくださいな」

よからぬ輩が自分たちに声を掛けるよりも前にこの場を一旦、立ち去るために。

「ちなみにですが…私の別荘と、この近くの静かなお部屋…どちらがいいですか?」

ともあれ向かうならばどちらが良いか、それも確認はしておくべきか。
この年頃の(と思わしき)少女がまさか、親がいないとは思えない。
そして親がいるとすれば、自分のような例外を除けば少なくとも片方は竜、同族のはずだ。
一応はこれでも貴族で、相手は同胞なのだから、そこは気を使っておかねばなるまい。

プリシア > そう、彼女が考えている通り、まだ此の社会を勉強中の立場。
色んな事に疎いのは当然の事であれば、其の理解は有り難い。

「そう、なの?あの…うん、ごめんなさい、なの」

彼女の端的な説明であれど、子供が来るべき所では無かった。
其れを理解すれば素直に頭を小さく下げて謝ってみせる。
そうした後に視線に入る差し伸べられた彼女の手。
付いて来る様にとの彼女の言葉に頷いて応えてみせれば、キュッと其の手を小さな手が握り締める。

「プリシア、ここの事あんまり知らないから、フェブラリアおねーちゃんに、おまかせするの。
えっと…よろしくなの、フェブラリアおねーちゃん」

同族だからか、元々人懐っこいのか、或いは両方か。
手を取った侭に彼女の横に来れば、言葉と共に丁寧に頭を下げる。
最早何の疑いも抱いていない、信用し切った笑顔を浮かべ、嬉しそうに翼と尻尾を揺らし続けていた。

フェブラリア >  
「謝るようなことではありませんよ。
 知らずに来てしまったのですから、致し方のないことでしょう」

このままふらふらとこの場を歩いていたのならばまた違うが、今はこうして自分が居るのだ。
久方ぶりの幼い同胞を、どこぞの馬の骨に手を出させることを、竜令嬢が許すはずもない。

まぁ、少し此方を無条件で信用していることには危うさを感じはするが…今はそれを利用させてもらうとする。
妙な手を出すわけではない、ただ興味を満たすための話をするだけなのだから。

「ふむ…では折角です。
 私の別荘にご案内すると致しましょうか」

フェブラリアはくつくつと笑いながら、小さな手を握り返して、歩幅を合わせながら歩を進める。
向かうは己の、フェブルアーリアのダイラスにおける持ち家だ。
一度自身の住処の一つを明かしておけば、また話をする機会も作れるだろうという打算も込みでの判断だった。

プリシア > 「……えっと、ありがとう、なの」

謝る事ではない、そう云われれば少しだけ又考えて。
来てはいけない所に来たけれど、其れを教えてくれて、此処から連れ出してお話をしてくれる。
だから代わりに、ではないのだけれども、お礼の言葉を伝えておくのだった。

興味を持っているのは彼女だけではない、此方も同じ事だから。
彼女自身の別荘への案内を申し出られれば、別荘の言葉にパッと顔を輝かせる。
其の言葉から連想されるのは小難しい考えではなくて、安直に楽しそうな場所との認識を抱いているからで。

「うん、フェブラリアおねーちゃんの別荘、案内、お願いします、なの」

確りと彼女の手を握り締め、彼女の案内を受け歩みを始める。
此の港湾都市の中で又一つ、新しい発見を得る為と、彼女との楽しい一時を過ごす為に。

フェブラリア >  
はてさて、輝かしい瞳でこちらを見つめるその期待に、どこまで応えられるやらと。
ほんの僅かに竜令嬢は肩を竦めながら、手を繋いだままにカジノから、ハイブラゼールから離れ行く。

「ええ、逸れないように付いて来てくださいな。
 少しばかり、距離がございますから」

ともあれ奇妙な偶然で出会った二人の竜は、まるで少しばかり歳離れた姉妹のごとく、湾岸都市を進むのだろう。
それこそ恐らくは互いに上機嫌で、その後のひと時を楽しむことを楽しみにしていることは共通して。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からフェブラリアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からプリシアさんが去りました。