2024/03/27 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 「くぁ~~~~… ふっ」
大あくびで漏れた吐息が白くけぶって風にさらわれていく。
黒い夜空を背景に辛うじて視認できたそれは、眼下の煌々と明るい街明りからのがれるように消え去っていった。
ハイブラゼールのカジノのなかでもひと際大きな施設の屋上で、柵にもたれて街を見下ろしながら、夜風に三つ編みを嬲られている女がいる。
つめたい風に対してシャツに襟巻だけは聊か心もとないが、カジノの中ですこし火照ったように思う身体にはちょうど良いらしかった。
公主のお供で来て、いつものように公主自身は女に理解できない類の『お楽しみ』に耽っている。もう今宵更にどこかに移動することは無いだろう。
「アタシのほーにもお楽しみが降ってくればよかったンだケドねー…」
残念ながら難癖をつけられるような相手も難癖をつけたくなるような相手も見つからず、酒が空気に沁み込んだような室内をうろうろしていたせいか頭だけがぼうっとしてくる始末。
ここで文字通り頭を冷やしたら、晩ご飯の当てでも探しに出ようか。
見下ろす通りを行きかう老若男女多種多様な人々は、照らす明りのせいかみんな楽しそうだ。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にモーリッツさんが現れました。
■モーリッツ > ハイブラゼールのカジノが並ぶ通り、人々が行き交う通りを人に時々にぶつかりながら歩く。
賭け事に興味ということはほぼなく、カジノに縁などないのだが、この日は偶々雇われた先がカジノ近く。
そしてその雇われ期間を終え、儲けた金で何処かの酒場にでも行くかと考えて歩いた先がカジノの並ぶ一角であり。
「そういや、あいつらもカジノに顔を出すとか言ってたな。
よくやるもんだ」
同じように雇われ、そして期間が過ぎ分かれたその時の仲間たち。
それらがカジノに行くと言っていたのを思い出して足を止め。
何が面白いかわからんという顔で近くのカジノの建物に目を向けては、見える店内の騒動を眺め。
酒や戦い以上に楽しめるとも思えないがと思っては建物を眺め上げるように視線を上にあげていき。
そして夜空が見えそうなほどに視線が上がった時、眺めていたカジノの屋上だろうか、そこに船着き場で殴り合いをした相手を見た気がし、
まさかと思いつつ目を凝らして見上げて。
■ホアジャオ > 女はぼ――――っと下を眺めている。眠いわけではないが、酒に酔ったように考えるのが億劫だ。当てがはずれてガッカリしていたこともあって、見下ろす先に喧嘩を売るのにうってつけの相手を探すほどに視線を凝らしていない。この女だって、たまにはそういうこともある。
三つ編みと白い襟巻を風になびかせてお上りさんよろしく人の流れを眺めていると、そんな中に足を止めてこちらを見上げてくる人影がある。
カジノの街明りは方々から放たれていて視界は良好なはずだが、あり過ぎるとすべてが光ってしまってよく見えない。
ともかく誰だかわからないが、観光客に愛想を振りまく乗り物の車掌の真似のつもりか、柵に頬杖をついた女はその人影にひらひらと手を振って見せた。
■モーリッツ > この街では案外知り合いに会うことも多いのだが、カジノのあたりでは案外なく。
気のせいかもしれないと思いはしたが、気になれば確認をしようとする。
周囲は明るいは上を見れば明かりは星などが主となり、案外周囲よりも見やすいもの。
そして魔族ゆえか目の良さで見えた人影、それが手を振っているのがわかればあの時の女だろうと半ばの確信。
その姿に軽く手を挙げればカジノの中にと入っていく。
そしてその姿ゆえにカジノの店員に怪しげに見られたり、そちらは立ち入り禁止などと言われる声を振り切るようにして階段を駆け上がり。
「よう、あの時以来だな。意外な場所にいるんだな」
そうして施設の屋上まで上がれば周囲を見回し、
柵に身を預けるようにしてる姿を見つければ、軽い様子で声をかけていく。
■ホアジャオ > 「ン?」
気のせいか、手を振った人影が応えた気がする。女が細い目をぱちくりと瞬いている間に、その相手は今いる建物に吸い込まれていった。
カジノの最上階はVIP向けのレストランと『お休みどころ』になっていて、今いる屋上自体は客に解放されていない。ここまでくる階段はほぼ物置になっているような場所もあって、普段から立ち入る人はいないことは明白だ。
だから階段方向から気配が迫ってきたとき、あーまた怒られるのかなと半ば面倒くさそうにそちらに身体を向けていたのだが…
「―――アレ?
アンタじゃん! ひさしぶりィー」
現れた相手を再度目を凝らしてみる。今度は明るい所から目を転じたから、ほんのすこし慣れるのに時間がかかった。
ともあれ姿を認識すると、細い目がさらに細くなって楽しかった思い出が蘇った表情そのものの笑顔を向ける。
「何してンの? 喧嘩相手さがしてンの?
あ、アタシは仕事終わって喧嘩相手探してみつからなかったトコ」
女はそう言うと柵に背中を預けて、風で冷たくなった手先を温めるようにポケットに手を突っ込んだ。
■モーリッツ > 上に上がれば警備員が増えるが、その実力差で巻いて軽くかわして階段を上がる。
途中、物置のようになっている場所で追手とかした警備員を撒けば、すきをついて屋上まで駆け上がる。
警備員の「屋上は立ち入り禁止」という言葉から、上がってしまえばあとはという考えもあり。
「よう、俺だ。
久しぶりだな」
気が付かれていると思っていたが、その言葉に気が付いていなかったのかとあきれはしたが顔には出さす。
笑顔を見せる女に、俺だと言っては笑みを返して近づいていく。
「何ってな、お前に気が付いたから上がってきたんだよ。
喧嘩相手か…それを探すのもありだったな…。
なら俺とまたやるか?」
依頼が終わり暇を持て余していた訳だが、その手があったかと今更に気が付き。
そして女が相手を探していたと聞けば、またやるか?と誘いをかけて好戦的な笑みを見せる。
■ホアジャオ > そういえば名乗ったんだか名乗ってなかったのだかちょっと覚えていないが、覚えていないのなら自分も相手も名乗っていなかった、はずだ。
女は暫し思い出そうとするように眉をしかめたがほんの一瞬で、相手の返答にはふうんと頷いて肩をすくめる。
「アタシはホアジャオってェの。
べつに殺気だしてたわけでもないのによく気づいたねー。 あとアタシ、この前のお返しでおごれるほどお金もないかンね」
気が付いた、という言葉に細い目を見開いて、口をとがらせてへぇーとふぅーんの間の音を鼻からこぼす。こぼれた白い靄はびゅぅーと風が攫って行って、女の三つ編みと襟巻を靡かせる。
「ヘェ、いいの?
アンタがいいってェなら、遠慮なく相手ンなってもらうケド
勝っても負けても、おごるお金はないかンね」
仕事先に所持金を持って歩く趣味はない、というか持ち歩く所持金もほぼない。
それを示そうとでもいう様に、ポケットに突っ込んでいた手で底を引っ張り出して見せる。
ぽろぽろっと屋上の床に落ちたのは、マキビシ紛いの小石だ。どこかに投げるつもりだったのか、ひまつぶしに拾ったのかは本人にも不明である。
「ンで、素手でいいの?」
■モーリッツ > 「……そういや名乗ってなかった気がするな。
俺はモーリッツだ、よろしく頼んどくぜ、ホアジャオ。
見上げたら誰かいるなって気が付いてな、目を凝らしたら居たって訳だ、これでも目はいいんだよ。
金は俺が持ってるから奢るぐらいはできるぞ」
女の名乗りを聞き、そういえばあの時は名乗りあっていなかったかと思い出し。
もしかしたら名乗りあったかもしれないが、思った以上に楽しめた戦いに忘れてしまったのだろうと自己完結し。
殺気と聞けばそんな事をする時があるのかと気にはなるが問いはせず、気が付いたのは偶然だと返して。
「別に構わないぞ。
退屈な雇われ護衛で鈍りそうだったんだ、逆に助かる。
ホアジャオが勝ったら奢ってやるよ、俺が勝ったら人版付き合うでいい」
持ち金に関しては受け取ったばかりの報酬があるので問題はなく。
お金がないという女にそう告げては、ゴルドの詰まった財布の入る懐を軽く叩き。
引っ張っりだされたポケットの中身、小石が落ちるだけの光景に無一文かと呆れ。
「武器を使うなら使っていいぞ。
俺は殴り合い、喧嘩は素手でするもんだと思ってるからな」
女の言葉にはそう返し、拳を握って見せて。
■ホアジャオ > 「モーリッツね、わかった。
……『モー』か『リッツ』かどっちかでよんでいい?それか、呼んでほしいもうちょっと短い名前があればそれで呼ぶけど。ンーと、3文字くらいで。
アタシの名前を短縮するなら『ファ』か『ジャオ』がおすすめだよ」
相手の名前を聞くと頷いて見せるが、口中で暫く反芻してから愛称は無いのかとか強請ってくる。 気が付いたのは偶然だ、と言われると女はツイてる、とばかりにまた笑顔をみせる。
「ふゥん? じゃーどっちにしろアタシがごはんおごってもらえるってことでいいんだ?
… じゃ、次回はアタシがどっちにしろなンかおごってあげるよ。おごられっぱなしはなンかむずむずするし。 お金は今持っていないだけで無いわけじゃ無いンだってば」
武器を使うなら使っていい、という相手に曖昧に頷きを返しながら、柵から背中を外して相手を回り込むように距離を取る。
ひっくり返したポケットを改めて詰め込みなおし、そのままポケットに手を突っ込んだ姿勢で改めて対面するように身体を向けて仁王立ちになった。
「ンじゃ、やろっか!」
言うまでもなく満面の笑みで、女は相手に言葉を放つ。
相手がそこで待ちの姿勢に入るなら、女も様子見するように少し腰を落とすだろう。
■モーリッツ > 「随分と省略するな……それなら『リッツ』でいい。
俺はそうだな……ジャオと呼ばせて貰うか」
傭兵仲間は愛称で呼んでくる奴は居ないなと今更に思い。
それならリッツで良いと返し、自分は女が告げたお勧めにすると決め。
「別にそれでいいぞ。ただ俺が勝ったらその後も付き合ってもらうぞ?
次な、気長に待って楽しみにさせてもらうか。そんな事、気にしなくてもいいぞ。どうせ直ぐに稼げるんだ」
ツイてると嬉しそうに笑う女を見れば、戦えること込みで悪い気はせず。
次回はという言葉に、何時になるかはわからないが楽しみにしておくと笑みと共に返し。
見たところ無手ではあるが、何か持っている可能性もあり、回り込むように動く女に注意深く視線を向けて。
ポケットに手を入れたまま仁王立ちの姿、その構えといっていいか悩む姿に何か持っているのではという疑惑は強くなり。
「そんじゃ、楽しくやるか」
満面の笑みの女にそう返して出方を伺うが、お互いに待ちの姿勢。
このままでいれば何れかはどちらかが動くが、そんなものは待てず。
右腕を引き、左腕を盾のように構えては一歩ずつ、間合いを図るように近づいていく。
■ホアジャオ > 「そォ? 仲間内でもあンま省略することって無いンだ?
その後も付き合うって、どーせごはんでしょ。お腹減るだろうし。
そーじゃなくッて、貧乏だって思われるのも癪なンだってば」
金銭を貯める趣味はないが、服飾でも飲食でも浪費する趣味もない。故郷のように子分が居ない今では出ていくとすれば交通費や旅費がいちばん大きいのではないだろうか。なので貯まってもいないが無いこともない。
ぶつくさと言い訳のように言葉を返し、すぐに稼げるという相手の言葉にはちらっと上目に見る。そんな美味しいバイトがあるなら紹介してもらいたい気もするが、ちょっと今は見得を張りたい気分なので女は口をつぐんだ。
「そだね、楽しく!」
と、相手の言葉ににこやかに頷いて返答したのは良いが、しばらく続くにらみ合い。
女にしては珍しく出方を待ってみたが、慣れないことにおしりがムズムズする。
それをごまかす様に腰を落としていったところで相手の方が動きはじめてくれるが…
(慎重だなァー…)
ちぇっ、と内心舌打ちをして、女がじり、と踏ん張った足の下で砂利が音を立てる。
一歩一歩歩みを進める相手の、構えた腕の届く範囲ぎりぎり入らないところで。
「―――ん ょっ!」
ポケットに突っ込んでいた片手から、未だ中に残っていたのか、鋭角を持つ小石を相手の目をめがけて弾き飛ばす。
同時に床を蹴って、相手の引かれた右手側の脇腹めがけて身体を低くして飛び込んだ。
咄嗟のことで動きは単純になるだろう。右手の一発を搔い潜ることが出来たら
脇を通り抜けざま肘をアバラに叩き込むつもりだ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からモーリッツさんが去りました。