2023/12/18 のログ
シェティ > 口数が多く語り掛ける目の前の相手を不快に思う様子は無く、
その言葉には相槌を、時折投げ掛けられる問い掛けには言葉を選ぶ様に答えを返しながら、緩やかなペースでグラスを傾けてゆく。
そうした接待を得手とはせず、侍女風貌の女の受け答えはお世辞にも愛想というものに欠けてはいたものの、
主を褒める言葉に対しては悪い気がせずに、有難う御座います――と深く頭を垂れて賛辞を述べる。

「どの様な人、ですか……。率直に申し上げて、仕えている私からしても掴み処の無い方、と言いますか……。
 ですが、色々なものに興味を示す御方ですので……宝石にも興味を示されるかと。」

そうして前置きの上に投げ掛けられた新たな質問に対しては、矢張り言葉を選ぶ様な素振りを暫し見せた後、
先程よりも幾許か偽りや誤魔化しの薄らいだ率直な答えを返して見せるのは、知らず知らずの内に向けられた魅了の影響故か。
宝石商を名乗った男の言葉に、商談に持ち込むのが目的であろうかと判断すれば、それに応じようとする旨の言葉を付け足して。

侍女風貌の女自身にも気付かぬ程度に少しずつ、されど着実に、幾重にも重ねられた其れは効果の片鱗を見え隠れさせ。
その証拠に、初めの内に女が垣間見せていた警戒の色は次第に薄らぎ、加えて言葉に混じる吐息は仄かに熱と色香を纏い始めていた。

バランガ > 大部分は男が勝手に話しているだけだが、緩やかなペースで嗜むように傾けられるグラスとその合間に返しやすいタイミングでの問いかける。
受け答えはお世辞にも愛想は良くないが、丁寧ではあるし会話を拒絶するものではない。
魔術の効果は幾重にも積もり積もって、今では最初の警戒は見えない状態にまで。

「ほぉ…ワシから見るとシェティは優秀な侍女に見えとるが。そんなシェティですら図り知れんかい。
…お、そりゃ嬉しいねえ、新しい販路はいくらでも欲しいからな…ああ、こっちのお嬢さんにもう一杯」

シェティの主さんが普段身に着けている宝飾類や、好みの宝石の種類、話せる範囲で構わんで、と言いながらの話術。
商談が目的、と思わせることと、魔術の効果で十分警戒心が解けたのを確認できれば。
会話の合間で彼女の次の杯を注文し、1杯だけという話をなし崩しに。
魅了と発情、効果を強めることで、こちらを雄として意識させるようにし、仄かに薫る熱と色香を更に昂らせようとしていく。

シェティ > 相手の話を聞きながら、緩やかなペースで傾けていたグラスが時間を掛けて空になった頃、
そろそろお暇を――と告げて立ち上がろうとする女を制する様に、男の注文を受けて程無く差し出された追加のグラス。
蒼銀の瞳を困った様に揺らめかせながらも、普段の女であれば頑なに固辞していた筈の其れを手に取り、舐める様に口へと運ぶ。

「――――……ええ、そう……ですね。私が優秀な従者か如何かは別と致しましても。
 大層、気紛れな方でも御座います故。……その気紛れに振り回される事も多く有りますが。」

最後に混じった小さなぼやきめいた呟きは、男の齎した術と云うよりは純粋に酒精の所為であろう。
それから、男の問い掛けに記憶を辿りながら少しずつ答えを返してゆく。
普段から宝飾品の類を好んで身に付ける様な人物では無かったが、気紛れに着飾る事もあれば、
種類を問わず気に入ったものであれば蒐集品として手許に置こうとする様な事もあった気がする。

その傍ら、さして強い酒精にも拘らず女の雪白めいていた頬は既に朱に染まり、零れる吐息が孕む熱は増す一方で。
其処で漸く、侍女風貌の女自身も己の身に生じた異変に気が付くものの、
知らず知らずの内に緩められた警戒心の所為か、其れが目の前の男の仕業であるとは即座に思い至る事は出来ずに。

「………申し訳ありません。少々、飲み過ぎてしまったようで御座います。
 矢張り、今晩の処はこの辺りでお暇を―――。」

そう断って、飲みかけのグラスをテーブルへと置いてから立ち上がり、目の前の男へと深く頭を垂れて見せる。
目の前の相手を雄として意識し浅ましく誘う様な真似こそせぬものの、
身体の奥で燻る熱と乱れた吐息を精一杯押し留めようと抗う素振りを垣間見せながら。

バランガ > この席についた直後であればこの2杯目は間違いなく断られていたはず。
それが、多少の不満はあろうが舐めるように口に運ぶのは明確に感情に変化を及ぼしている証明で。

「カッカカ、過ぎた謙遜は嫌味になるさかい、ええ主にはええ従者がつきもんじゃて。
 しかし気まぐれとなると大変じゃなァ、目通り願う時は持ち込む物を厳選はするが種類は多めにした方がええか」

彼女の語る主が所有したもの、身に着けたもの、これらは彼女への性的欲求とは別に商人としての脳で受け取る。
それはそれとして、白皙に浮かぶ朱色は雄にとっては得も言われぬ色香。
十分効果が満たしたか、と判断したタイミングで女が立ち上がるなら。

「おっと、すまんね深酒させてもうたか。…ワシもこのくらいにしとくとするか。
 悪いのう、兄ちゃん」

注がれた杯を空にしなかったことをバーテンダーに謝罪しがてら釣りはええで、と支払いを瞬時に済ませてしまう。

「酔わせてしもうたみたいやし、そこまでやけど見送ったるわ」

そう言って立ち上がると、当たり前のように腰に手を回して自身に寄りかからせるように抱き寄せる。
密着すれば否応にも雄の臭いと体温を女に伝え、懸命に押し留めようとする燻ぶる熱に文字通り燃料を投下して。
腰にまわした手で軽く女の身体を撫でるように動かしながら、行く先を自分の狙いの道へと誘導しようとしていく。

シェティ > 【後日継続】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からシェティさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からバランガさんが去りました。