2023/12/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」から違法カジノさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にルプランさんが現れました。
ルプラン >  
昼夜を問わず賑わう歓楽街、道楽者の集うカジノの片隅。
薄暗いバーカウンターの壁際、隅っこのスツールに腰を預けて、
両肘ついて頬杖をつく女の唇から、本日、何度目とも知れない溜め息が零れ落ちた。

目の前のカウンターには、びっしりと水滴に覆われたグラスがひとつ。
ここへ居座るために必要であるから、と注文した酒だが、ほとんど口もつけないまま、
そろそろ温くて不味くなっているのでは―――と思えば、ますます手を出す気になれない。
女の背後、少し離れた人だかりのただ中にあるカードテーブルでは、
本日の案内対象である貴族のドラ息子様が、そろそろストリップポーカーに移行させられそうな頃合い。
護衛は役割に含まれていないので、まあ、好きなだけカモられれば良いと思っている。
前金は貰っているのだし、いざとなったら他人の顔して逃げるだけだ。
彼が自力でカモられている事実に気づき、席を立って宿へ戻る気になったなら、
宿までの案内は、―――仕事のうちに入っている、と言えなくもないが。
女の本日の仕事は、王都のお貴族様である彼の、ハイブラゼール初体験の案内役であるからして。
見捨てて帰るべきか、博打の泥沼に足を踏み入れつつある彼の背に声を掛けてやるべきか、

「……どうしよっかなぁ……」

金払いは良い客だったので、縁が切れるのは惜しいような。
けれどもちょっと、セクハラ好きなところは頂けない、などと。
仕事の報酬とは別に、気前良く買い与えられたドレスの裾を揺らし、
真新しい靴を履いた足先を、所在無げに遊ばせて、思案中。

ルプラン >  
まずはその左手に、きらきらと輝く指輪から。
そこへブレスレットが加わり、マントを留めていたブローチが加わり、
温かそうで上等な上着がその上に投げ出され―――――溜め息。

「子爵様―――――…」

頬杖をといて振り返り、かつん、とヒールの靴音を響かせて。
一応は分け入ってみるけれど、さて、ドラ息子様はどう出るか。
おとなしく忠告を聞き入れてくれるなら良し、
もしもごねるようならば―――――数分ののちには、女は靴音高くカジノを後にすることになる。
そのあとはもう、女のあずかり知らぬこととして―――――。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からルプランさんが去りました。