2023/09/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 商売と遊興の為には王国中を駆け回る、ちんまいシルエット。
王都の街中でなら大分見慣れた節もある帝国風の装束と、人形めいて整った顔立ちと。
良くも悪くも目立つ人外は、今宵港湾都市に現れていた。
取引のある船便を待ち受けていたというのが半分。
港町ならではの、遠国の噂話を直接吟味するためというのが半分。

「堅苦しい話の後には、命の洗濯をせねばなるまいて。」

無駄に速やかな有言実行っぷりを示して、歓楽街の人ごみに紛れたのが日没直後のこと。
呑む、打つ、買うと三拍子そろった選択肢の内から、今日は打つことにしたらしい。
魔術が普及している世情、いかさま防止の為の魔術検知装置は有効に働いており。
妖仙としても呪術を行使するのは控えている。
王国の魔術と術の性質が異なるため、監視の目をかいくぐることはできない相談ではないが、遊びで必要以上に手間をかけても仕方あるまいと。
とはいっても、優れた動体視力に子供の見目にそぐわない思考力を乗せれば、大体の勝負は勝率五割以上。
そうして、両手持ちをする籠の中にチップの山が積み上がるまで、それなりの時間で済んでしまう。
夜はまだまだ続き、さりとてこれ以上チップを稼ぐだけで時間を潰すのも無聊である。
少し思案した結果、ちょこちょこと小股でフロアを横断し、景品交換所へ向かうことにしたらしい。

ホウセン > 王国の中でも遊興に特化したここに、倫理観を求めるのは難しい。
強いて言うなら、金銭こそが正義であり力ということぐらい。
だから、非力な子供がうろうろしていても咎めだてされることは少ない。
寧ろ、資産家のドラ息子などは良い鴨でもあるのだし。
但し、客として扱われるだけの金があるのならという一文が付随するけれど。
見た目の近しい少年としての膂力しか発揮させず、ふらふらよたよた。
チップが金属で鋳造されたものなら、引き換え所まで辿り着けなかっただろう。
幸いにして変造が難しそうな硬質ながらに軽量な素材のお陰で、どうにかフロア横断に成功し。
どーんっと――いう気分で、実際にはぽてんっと――引き換えカウンターにチップ満載の籠を載せ。

「まだ稼げそうな気がする内に、打ち止めにしておくのが手堅かろうよ。
儂自身の運に幻想を抱いておらぬが故にのぅ。
して、何ぞ薦められる引き換え品はあるじゃろうか?」

カウンター内の店員に問いかけると同時に、黒い瞳でレートの書かれた看板に目を走らせる。
当然に換金はあるとして…鉱物、香辛料、香料、薬剤、書画、奴隷辺りが並ぶのは、港湾都市らしい。
それ以外にも特設宿泊施設一泊というサービスの提供などもあり。
それらの役務への交換の下半分は、女店員を一晩…等という露骨なものまで。
嗚呼、否、男店員まで範疇に入っているのだから、すそ野は広い。
博打だけではなく娼館としての性質も有している、誠に欲望まっしぐらの遊興場。
さて、妖仙の問いに、店員は何を提示したものやら。
まかり間違って、”お勧めの店員”などと嘯いたら――

ホウセン > 「嗚呼、なるほどなるほど。
儂自身が振るうには、些か以上に荷が勝ちすぎるが…護衛に賞与として渡すのは良いかもしれぬ。」

お勧めされたのは、堅実にも武具。
こんなちんちくりんでは確かに扱えないけれども、それはそれでやりようもあるだろうと。
宿への配送のため少しばかり駄賃を弾ませて、ちんまい人外は再び人に紛れ――

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からホウセンさんが去りました。