2023/08/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”裏カジノ」にルキアさんが現れました。
■ルキア > 「うぅ……割のいいバイトがあるからって、言われて…ついてくるんじゃなかったかも…。」
裏カジノで客たちが賭博に興じる中、給仕係としてお盆を手に持ちながら短いスカートの裾を気にしてしきりに引っ張っていく。
レースが多く使われて、可愛らしいデザインと言えなくはないが、背中は大きく開いて、胸元も鎖骨が露出するような変わったデザインのメイド服。
短いスカートは、歩くだけで下着が見えそうで、足下はニーハイブーツにローファーといった格好。
もちろん頭にヘッドドレスを飾りながら、少し場違いのように野暮ったい少女がベルベットの絨毯の上にたって、今更ながら後悔を滲ませる。
最近素材集めなどに出かけられなかった事もあり、生活資金が乏しくなっていた。
そこに、声をかけてきた学院の男子生徒が『安全で、時給がすごくいい仕事がある』と、相談に乗るような形でこの仕事を斡旋してきたわけだ。
彼を、完全に信用したわけではなかったつもりだが、生活資金は余裕がないどころか下宿先の家賃も払えない経済状況では、美味しいその話に飛びつかざるを得なかった。
この衣装を渡された時点で、後悔したものの来てしまった以上引き返す事もできずに今に至る。
しかし、どう見ても違法賭博の会場でありポーカーなどの一般的な賭け事のほかに、魔獣?などとおぼしきもの同士を戦わせて賭け事をしているコーナーや、魔獣に奴隷を襲わせるショーを楽しんでいる様子もあった。
そこかしこから、淫猥な空気が漂って甘い声や悲鳴などが聞こえてくる。
今のところ、自分の受け持ちの場所はポーカーなどの一般的な賭け事の場所ではあるものの、ぴくっぴくっと悲鳴などがきこえる度に耳を震わせていく。
「は、はいっ!お酒のお代わりですね、すぐにお持ちします!」
とりあえずは、認識阻害の魔法はかけているしこんな野暮ったい女の子にちょっかいを掛けるより、周りには魅力的な大人の女性が沢山いるからと、思い直してお金の為と思って頑張ろうと思っていたら声を掛けられる。
開いてのところにいって、グラスを受け取るとぺこりと頭を下げて
「しばらくお待ちください。」
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”裏カジノ」にシァ・フゥさんが現れました。
■シァ・フゥ >
付いてくるんじゃなかった。何て思いがたっぷり詰まった重たい溜息は本日何度目か……
商業ギルドに属する北方の同胞であり商いが中々巧くいかない仲間でもある彼らが、
『湾岸都市の方で良い息抜きがある』というから付いてきたら飲む打つ買うときた。
表の界隈で楽しく遊ぶならいいのだが裏の界隈というなら溜息も出る。
あっちこっちで遊ぶ顔はカタギのそれでないしあっちこっちで上がる獣の声といい女の声といい、
表と言い張るには明らかに無理のある裏の界隈の現場には溜息も出る。
ドレスコードをすらりとした手足に仕立ての良いスーツはよく似合う。
それに、桃色の髪というド派手な色合いをした頭、それと、憂いをたっぷり載せて文句ありますと顔に書いてあって、どこのテーブルにも付かず適当に壁に寄っかかって酒の入ったグラスを揺らしている様は比較的目立つ。が、誰も関わらないのは、裏の人間たちも揉め事や厄介事は避けたいからだろう。
お酒をもう一杯だけ貰ってもう出よう。
と、決めたら、近くを通りがかった女の子に声を掛けて――
「ありが……」
ぺこりと頭を下げるその子の顔に見覚え、はないのだが、どうにもこう、
娼婦というには艶はなく身売りされてきたというには悲壮さもない表情。
はて? と、首を傾げて、
「ああ。ちょっと待った。あ、いや、用事……てわけじゃないん、だけ、ど……。
こう。何だ。ナンパみたいな台詞で悪いね? 気になってさ。何か似合わないなと思って」
つい、引き止めて声を掛けた。
こんな場所でこんなふうに声を掛けたら夜伽の誘いと殆ど同義だが、
いや違うんだけどとはグラスを右手に空いた左手をゆらりと揺らして。
■ルキア > 所在なさげに立っているよりも、仕事で動いている方がいい。
やるからには、ちゃんとやらないとと真面目さを見せながら声を掛けられた方へと近寄っていく。
化粧をばっちりして、魅惑の体を扇情的なコスチュームに身を包み、腰を振りながら給仕を行っている同一の衣装のほかのスタッフに比べれば、貧相な体に野暮ったいメガネに髪型の少女が青年の方へと近寄ってきただろう。
「……はい?」
頭を下げたあと、グラスをお盆に乗せて、踵を返してバーテンの元へと歩き出そうとしたところで不意に呼び止められた。
振り返った少女は、青年の言葉の続きをじっと待っているだろう。
「はぁ…。あ、制服が似合ってないというお話でしょうか?すみません、私は臨時で入ったアルバイトの身なので…。」
なるほど、魅惑的なスタッフが多い中で野暮ったい格好の自分が彼女たちと同じ格好でいるのは確かに浮いていたかもしれない。
けれど、バイトの身。なんとしてもお給料は貰わなければならない身としては、似合わないと言われても受け流すしかないのだ。
それが、お仕事というものなのだから…。
と、内心でちょっと汗をかいて思考を巡らせると、ちょっとぎこちなく笑みを浮かべながらそう返していくだろう。
■シァ・フゥ >
「あ。いや。ごめんね? 言葉を端折り過ぎた。慣れない場所でどうにも言葉も覚束なくなってるか……。
制服が似合ってないんじゃなくて君の雰囲気がどうにも場馴れしてないというか。ああ。臨時アルバイト?」
格好が似合っていないだなんて失礼だがそう受け取られるしかない言葉であった。
謝罪の言葉と一緒に胸元に手を立てて礼をしながら、話を聞いてみれば、
傾いだ首は戻したが今度は訝しげに眉根が寄っては一度視線が逸れ、戻り。
見れば見るほどに娼婦には見えないし身売りされたばかりの子が無理やり現場に引っ張り出された感と言おうか……。
瓶底眼鏡に三つ編みという髪型も加えていよいよそういった風情のある顔だ、
瓶底の奥にある目の形といい鼻の形といい唇の形といい良く良く見てみると結構な綺麗所にも見えるが。
「こんなとこで。いや。こんなとこに出入りしている俺が言うのも何だけど。
余計なお節介焼いちゃってごめんね。結構危ない場所なもんだから、どうも気になってさ。
もし危ない目に遭いそうだったら……あー。コールガール扱いで一緒に出る? 俺もこれから此処出るとこで」
胸を弄られるだの尻を撫でられるので済めば良いのだが其れぐらいじゃ済まないような場所だ。
仕事を放り出せ、何て気楽な物言いは出来ないが、娼婦として客と一緒に出る、なら、
仕事の範囲内だしお給金だって出るだろうからと。
本当に余計なお節介なので言い淀んだし言うまでに悩ましげに目線が右往左往とはしたが、
結局言い切っては、どう? なんてグラスを揺らして目線を外に向けての誘いを掛けて。
■ルキア > 「あー…えーと…確かに、こういった所に来るのは初めてなので、慣れていなくてすみません。はい、友人…?から、紹介されて少しの間こちらでアルバイトをする事になっています。」
やはり、野暮ったい瓶底メガネと髪型は浮いてしまっていたか…このような所に来る人が求めるのは、やはり美人な魅惑的な女性ということだろうと勝手に納得していく。
それでも、素顔を晒すのは怖いし何より、求められる容姿と違うということはこちらに興味を抱かれる可能性も少ないということだ。
…と、学院と同じように認識阻害の魔法を使っていて正解だったと、青年の言葉からずれた理解をしていくだろう。
けれど、青年は謝罪をしてくれつつも、ちょっとまだ納得していない様子。
「いえ、お気にかけていただいて、ありがとうございます。
へ??……えーっと…申し訳ありません、お客様…。私はこちらのフロアの給仕のお仕事として雇っていただいているので、その…お仕事を放って外にでるというのはできないですし…その…コールガール、とかではないので……。」
こちらに気遣いながら謝られるのには、首を振って厚意として受け取っていく。
お礼を言う時には、ぺこりと頭を下げて素直さを見せていくが、続いた言葉にはちょっとだけ警戒気味になりつつも、ぎこちない笑顔を浮かべていくだろう。
あくまで雇用契約としては、このフロアの担当給仕であり、給仕の仕事を放り出せば契約違反になって給金は出ないだろうし、どう?と誘いかけられるのに困ったような笑みになりながら、コールガールではないと否定していく。
言葉をそのまま取るなら、言葉通り危ないから連れ出そうとしてくれているのだろうけれど、言葉巧みに連れ出して…という可能性もないわけではない。
素直さの中に、人間不信な部分をにじませながら…そして何より、危険でも今はお金が必要なのだ。
なんとかやり遂げて、お給金をもらう事だけが目標なのだから。
■シァ・フゥ > 「へぇ。友人から……」
何がどうして此処で働く事になったのかを聞いてみれば、彼女の交友関係が大分危うそうな発言に、
流石にそこまで口出しする事までは憚られて出掛かった言葉を飲み込みながらに相槌と首肯をして。
ぱっと見は野暮ったい風情ではあるが良く見ると、な、顔付きだが、どうにも野暮ったいという印象ばっかり率先して突きつけられてくるような感覚が有る。術式の類だろうか? 何て見当付けてつい目を細めるが、初対面の人をあんまりじろじろ見るのも失礼だった。適当なところで目を逸らして。
「いーえぇ。野暮な事言っちまったよ。うん、大丈夫、口実。実際に娼婦として見てるとかそんなんじゃないから。
然し若い身空で大変だねぇ……」
お礼に下げられる頭に掌を見せて、頭上げて? 何てジェスチャーしながら。
仕事を放り出すわけにはいかないとの言は尤もで、警戒が浮かぶのもやはりご尤も、
誰とも知らないような男がいきなりこんな事を言いだしたら何されるか解らない。
本当に余計なお節介であるのは重々承知であるので断られてもまた謝罪に手を立てて。
「ぁ。申し遅れましてぇ。シァ・フゥ。呼びにくかったらシアでもフーでも。
普段は王都の大通りのでほうで……えー。売れない薬売りをやってるので、もしよければ立ち寄ってね。
俺も普段はこんなとこ居ないんだけど連れがどうにも此処に来たがってて。どうもこういうとこは肌に合わん」
だから、というわけでもないが、店の宣伝もかねての自己紹介。
売れない云々は言いたくなかったのだが嘘を述べる訳にもいかないし……
肩を一つ竦めては、長い付き合いになるかもとりあえずは置いておき、宜しく、と左手を握手に差し出す。
■ルキア > 「はぁ…安全で実入りのいいバイトがあるから、と…。どうしても人が足りないからとお願いもされて…ちょうど私もお金が入用だったので…。」
来てみればこんな格好をしなければならず、場所も裏カジノという危ない場所…半ば騙された形ではあるので、ちょっとバツが悪そうにメガネの奥の瞳を逸らして。
でも、嘘でなかった部分もあり契約した給金の面では、思った以上の時給な上に魔法を掛けた契約書を交わした上の雇用。
きちんと仕事が終われば、確実に給金が渡されるという保証はしっかりしていたのだ。
「本当に、ご心配くださってありがとうございます。…お金がなければ生きていけませんから…。」
頭をあげてとジェスチャーされるのに、もう一度真摯なお礼の言葉を言いながら頭を下げてから上げていく。
老いも若いも、生きていくにはどうしても金銭は必要になってくる。
やりたいと思えたことを続ける為にも、生活の基盤は必要だった。
「シアフーさんですか?えぇと、ではシアさんと呼ばせていただきますね。お薬やさんですか、はい是非。
王都の大通りのどのへんにお店を持たれているんですか?
お連れ様のお付き合いですか…大変ですね。あ、私はルキアと言います。」
青年から教えてもらった名前を繰り返すが、どうにも発音が彼のものと違っているのに自分で気づいて、お言葉に甘えさせてもらった。
そして、自分も相手に名乗っていく。
差し出された手には、お盆を右手に持ち直して握手に答えて手を握っていくだろう。
『ルキアさーん、休憩先はいっちゃってくださーい』
そうこうしていたら、後ろから声がかけられて少女は振り返っていく。
「あ、はい。ありがとうございますっ。あの、という事なので休憩を頂いてきます。お代わりはすぐお持ちしますので!」
青年の方を振り返ると、もう一度ぺこりと頭を下げて少女を呼んだスタッフのほうへ小走りで駆けていくだろう。
その間も、短いスカートの裾からは、ちらちらと白い下着が見えていた、かもしれず。
何やらほかのスタッフと二、三言葉を交わすとそのスタッフに青年から受け取ったグラスごと渡して、もう一度青年のほうへとぺこりとお辞儀とすると、少女はスタッフルームへと引っ込んでいくだろう。
その後、魅惑的な肢体の女性が青年へとおかわりを運んでくるはずで。
■シァ・フゥ > 「実入りがいいのはまぁ……確かに。うん。ああ、いや、いいって、余計なことして悪かった。お金がないとそら困る」
彼女にも彼女なりの理由があったところに余計な口出しをしてしまった。
謝るべきはこちらの方なので何度も頭を下げられるといよいよ両手を見せて、
降参。とでもいった姿勢になったが、何とか頭の位置が戻ってきてくれたのには安堵の吐息を漏らして肩も手も落ちる。
「うん。こちらの人にはどうにも呼び難い名前だから大丈夫。
お店は、俺もお金がないもので店舗はまだ持てなくて露天で商いさ。水色の屋台引いてるからそれ目印にでもして貰って。
もし縁があったら末永くご愛顧を、ルキアさん」
自分も此方の言葉を覚えるのにそれなりの苦労をしたもので彼女が異国の名前を発音しづらいのも無理はない。
シア、と呼ばれるのに一つ頷いて、彼女の名前を口に出して確認しながら握手を交わした後――
「ああ。はい。お疲れ様?」
休憩との事でこれ以上引き止める理由もないため手を緩く振っては見送った。
短い丈からちらちら覗き下着、に、視線がついそちらに行って、白かぁ……等というぼやきはきっと周りの騒音が掻き消してくれたはずだが思わず漏れた呟きには慌てて咳払い。最後の最後まで律儀に頭を下げてくれる彼女にもう一度手を揺らして、代わりに次の酒を持ってきてくれた女性にお礼も一つ。グラスを一気に傾けては飲み干して喉もそれなりに潤したところで己も店外へと向かって歩き出した。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”裏カジノ」からルキアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”裏カジノ」からシァ・フゥさんが去りました。