2024/11/25 のログ
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ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にマリーネさんが現れました。
マリーネ > 水温が目に見えて低下し、海水浴のシーズンはとうに過ぎ去った頃。
王侯貴族たちの遊興には引く手あまたの水遊場を除けば、こんな季節に水遊びをしている者はもはや珍しい。

セレネルの海からも人の気配が薄らいで久しく、構う相手が見つからなくなった女は同じく海沿いでありながら、
かつ人気の多い場所に移って来た……が


「ここの人間さん達は働き者だねー。時々物騒な感じ?だけどさ」

セレネルの海と違い、どこか殺伐としたり危険な雰囲気であるのは単にここが和気あいあいとした観光地ではないから ではない。
非合法な取引や過酷な奴隷労働、闇市場などが醸し出す犯罪のオーラが知らず知らず人々の心に影を落としているのだ。

貨物船や小さな小舟が停泊する船着き場から少し離れた冷たい冷たい海上で、ぷかぷかと浮いている水着姿の女は
人間の営みを興味深そうに眺めている。

月明かりのある夜、防波堤から少し視線を向ければ海上に一人、生身の女がぷかぷかと肩を出してぽつんと見えるだろう。
酒場で酔っ払いが噂している「人魚」と思うのか、海魔の端くれとして身構えるのかは人それぞれ。

マリーネ > 深夜だというのに、港町からは酔っ払いの怒号が響いたり、作業員たちの掛け声が絶えず聞こえてくる。
船員たちはいつも朝は早い。海に出ずとも、魚市場の職人たちは寝静まった時間帯から仕込みを始めている者までいる。

そんな当たり前の光景は見慣れてしまった。もはや何も不思議に思わないが、女はただ一つ目を奪われたものがあった。

「あのギラギラしたとこ面白そう」

ダイラスの向こう、とある区画だけがやたら明るい。
この辺りにさほどゆかりのない者も名前は聞いた事がある、莫大な金が日夜目まぐるしく動く大歓楽街・ハイブラーゼルである。

人間の文化にはある程度理解を深めたつもりの女にとってもよく知らない場所だ。
噂ばかり耳にするも、実際に行く機会はない。

恐らく、パーティーでも開いているのだろう、羨ましいな 程度の認識しかなかった女はあの地で広がる生々しい実態を知らない。

マリーネ > 変わり映えのない風景に、退屈してきたのかふわぁ とあくびが出てきた。
また今度、あの景色について人間の誰かに聞いてみようと思う女は、その場で水しぶきをあげて海中へと潜り込む。

すいすいと泳ぎ進んでいく先は、月光の届かない冷たく暗い水底。
途中でばったり出くわしたダイバーはさぞ、仰天するに違いない。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からマリーネさんが去りました。