2024/10/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」に八蛟さんが現れました。
■八蛟 >
港湾都市ダイラス 船着き場 夜
雲が千切れていくつかある中で輝く、丸餅が膨らみ始めたような月が見える。
そりゃあ、お世辞にだって好い月とは言えない。
しかし、秋月の下 船着き場で転がる複数のそれら。
海辺で浮かぶ背中がいくつか見え、木材の足場や地面では陥没した胸部や頬
海の男は屈強な者が揃う もやし野郎を乗せる馬鹿はいない。
亜人も人も、等しく海に抗える者だけがいる。
それらが、そうして転がる中で木箱の上
長い金髪の凹凸の体躯
毛皮羽織を身に着けたデカい女
片足を腿にどっかりと乗せて安定させ、腰に差し込んでいた大振りな銀色の手綱煙管を手に刻みを雑に詰め込んだ。
着火剤替わりの火口と火打ち金
金属の板が紐でつながった二枚 端に火口を重ね、鋭く、しかし頂点は丸くなった硬い音
ボウと燃えるのではなく、炭火のように控えめなそれが刻みに押し付けられると一度だけ吸い込み、火を強くする。
「―――フゥゥゥゥゥゥゥ。」
美味そうに吸う、数口しか据えない手間のかかる煙草。
手綱煙管の文様を添える手指で愛でながら、独特な香りの紫煙がデカ女
―――鬼のそれに纏うように揺らめいて。
「やっぱ、喧嘩の後の一服は旨ぇやァ……。」
機嫌よさげにじっくり、焦らず静かに吸い込み、再度一口。
見下ろす地べたで転がったままのそれらを見ながら、綻んだ顔。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」から八蛟さんが去りました。