2024/03/23 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 空が鈍色の雲に覆われている日。
船着き場は旅立つものとそれを迎えるもの、船で働くものに積み荷を管理するもの、またそれらの人を相手に商う屋台もあって、その屋台を目当てにまた街からもヒトが流れてきていてにぎわう。

冬は明けたと言っていいといっても、日差しがなければ風は冷たく感じる。行きかう人々は多いものの、その多くは上着の襟を立てて速足だ。
その行きかう中に朱色のカンフーシャツ姿で三つ編みを揺らす女が一人。暖かそうな湯気を立てる屋台を見止めては足を止めて覗き込んで、しばししてから首をかしげて立ち去ることを繰り返している。

「ンー… どれもおもしろそうっちゃそうなンだケド…」

たまには中華まん以外のものを食べてみようと思って屋台を見回ると、その種類の多い事。あまり見かけないものばかりでどれでもいいといえばどれでも良くて、そのぶんどれという決め手にも欠ける。

(そンなまだお腹減ってないし、端までみてから決めよ)

そう思うと鼻歌交じり、人込みを器用にかいくぐって屋台を覗き込みながら、船着き場を倉庫街へ伸びている屋台の列を辿っていく。

女の細い眼は、そのうち喧嘩に付き合ってくれそうなやつでもいればいいケド、と人の物色も怠っていない。

ホアジャオ > 端に行くにつれ、当然のように人が少なくなる。行きつく先には雑多に木箱やら誰かが置いた簡易ベンチやらがあって、屋台を後にしたひとが思い思い座って食べている光景がある。

女はその光景を見ると急に腹が減ってきたようで、平らなお腹を撫でると口をとがらせて眉尻を下げた。なかなか上手い運は巡ってこないものだ。

ホアジャオ > (…どれか、っていったら、ちょっと変わった香りの串焼き屋かなァ?)

おそらく女があまり食べたことがない種類の動物の肉なのだろう。少々クセのある香りがだったが、吊るされた肉の塊を削いでいる光景やら、おそらく後ろで炙られている肉の香りやら下ごしらえに使われている香辛料やらは食欲と興味をそそるには十分だった。それに多くなくとも客も並んでいた気がする。

「どっこらへんだったかなァ」

女は三つ編みをひるがえしてくるりと踵をかえすと、また速足の人混みのなかにまぎれていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。