2024/03/06 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にニュアさんが現れました。
■ニュア > ダイラス船着き場──停泊船。船内。
「満室だが、相部屋なら最後の一室が破格の安さで用意できる」と乗船切符を手配した男は言っていた。
確かに、めちゃくちゃ安かったのだ。金払いにシビアな己が飛びつき、承諾する程に。
男は呵々と笑い、自身を“男”で通している少年容貌に、こうも言ったものだ。
「なぁに、可愛いツラしてるがお前さん男なんだろ?なら野郎二人、安泰じゃねえか」
確かにそうなのだ。雑魚寝の団体船室に押し込まれるより未だ、見知らぬ男性客一名のほうがずっと快適だろう。
なんなら、自分の寝台に潜り込んでだんまりと、会話もしなければイイのだし。
そう思っていた。そう思って相部屋を承諾したのだが。
「─────────…… こッ、…れ、さぁ…。」
扉を開いた瞬間、固まった。フードの奥、ぬばたまの双眸が瞠目し、信じがたいものを見たように唖然とした。
数秒後。切符をまじまじと見返し、部屋を再度見、──頭を抱える。
これはどう見ても、──娼婦を配して営業させる、商売部屋だ。
窓ひとつ無く、寝台以外の家具のひとつも設置されていない極めて“機能的”な狭さだとか。
そんな手狭な部屋に堂々と配された、どう見てもサイズ感を間違ったダブルベッドだとか。
現在の用途が客室であるのかも怪しいところ。雇うべき娼婦が事情で乗船できなくなったなんてのが妥当な理由だろう。
故に、“格安”として客を入れたのだ。合理的転換といえばそれまでだが。
「ェ。 ちょ…… 無理なんですけど?????」
こんなの、これからやってくるであろう、相部屋の見知らぬ誰ぞも承服しかねるに違いない。
確かに見知らぬ男女で寝かせるよりは間違いが起きないだろうが、野郎二人もどう考えても可笑しいわけで。
加えて内情を述べれば、自分は厳密には“男”とは言い難い。
切符を手配した男に文句を言って降りてやろうと息巻いた時、───出発の汽笛が鳴るのである。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアキアスさんが現れました。
■アキアス > 汽笛と共に船体が揺れ、落ち着かない足元の様子に非日常を感じながら。
湾港都市で遊び金を浪費し、伝手の娼婦が捻じ込んでくれた、下手な陸路よりも安い船室。
助かると同時、快適さは保証しないとは言われても、二つ返事で頷いて。
そんな理由であてがわれた部屋だったから、後から『相部屋』と伝えられても、
巧く部屋を活用している手際に感心しながら了解を示したところ。
あんまりにも気に入らない相手なら面倒でもあるが、どうせ寝て多少飲み食いするだけだと。
値段と気分に折り合い付けて船室に戻れば、小柄な手合いが目に見えて憤慨しており。
「おう、今なら海に飛び込んでも港に戻れるかもなぁ」
気に入らないなら、船賃は別としてそういう手もあると。からかい気味に声をかけてはへらへら笑う。
もっと言いようもあるだろうが性格なのか、そのくらいの冗談が通じる相手か探る意図か。
大きな図体を船の揺れに合わせ揺らめかせ、
やや屈むようにして相部屋となるらしい小柄な相手の様子を窺うようにして。
■ニュア > 響く汽笛の直後、船体が揺れて足元がぐらつくのに、どうやら出港してしまったようだと少年容貌も悟った。
これでは降りるも間に合わない。───最悪だった。
さてこれから暫くの船旅をどうしてくれようか。いっそ相部屋相手が来なければいいなんて思っていた矢先。
扉の前で悶々としている己に声が掛かるのだ。振り返れば随分と図体のでかい、冒険者然とした男。
からかいの声を投げてきて立ち去るでもないあたり。コイツか、と思う。
「……この部屋?」
この部屋の利用者なのか。此処に入るのか、と迄訊いてやらない雑さが、今のやさぐれた気分の程をあらわしていると言えよう。
フードの奥、ちらと見遣るその容貌は、一見して少年とも少女ともつかぬ、繊細で小綺麗なもの。それが露骨な迄にイヤそうに顰められる様は、或る意味男の相好と見事に対称的ともいえ。
「…じゃあアンタが海に飛びこんでよ。そしたら俺、一人でこの部屋使えて快適だし。」
にべもなく述べて、嘆息。
兎も角にも扉の前にいても埒があかない。一先ず一歩、室内へ入ろうか。
■アキアス > 横柄な物言いでこの部屋を使うのかと問う相手には、にやけた顔のままに頷いて見せる。
フードを目深く被ったその相手の表情は不機嫌を隠す気も無く。
性別の分かりづらい、中性的な顔。身綺麗にしたその風貌をついじっと眺めていれば、
返ってくる言葉にますます楽しそうに喉を揺らして笑う。
「くはは。まぁ仲良くやろうぜ、兄弟」
それなりの時間がかかる船旅で、このくらいの手合いの方が道中退屈はしないだろうと。
相手が船室に入るのに合わせ、男もその後ろから、ほぼ寝台だけが占めている部屋にと入り込む。
その寝台自体は、元々の用途からか広さはあるから、二人で寝ても多少窮屈な程度では済むだろうとも算段しながら。
その最中、自身の中に憑いている淫魔が、目の前の相手の何かを探る様に騒いでいるが。
なにか魔に属するモノには気になるような手合いなのかと、目の前の小さな相手の背を眺め。
後ろ手に船室の扉を閉め、部屋の隅に少ない荷物を放る。
■ニュア > 一歩入って室内を一瞥する。何処からどう見ても、現役バリバリの紛うことなきヤリ部屋である。
次いで、男の容貌を仰いで観察する。
此方の反応を楽しんですらいるようなニヤけ顔に、言いようもない徒労感がのし掛かる心地。
はぁぁ。また、これ見よがしに溜息。気安い呼び掛けに、思わずぴしゃりと返すのは、
「ヤメテ。 同室だけど、仲良く語らいとかそぅゆうの、俺求めて無いから。」
容赦の無い拒絶を向けながらの入室と相成った。
自分だけならまだいい。背後より長躯の男がのしのしと入ってくれば、閉塞感も半端ない。
男女が睦むに十分の広さのベッドはあるとはいえ、扉を閉めれば何とも言えない密室感があり。
「やっすいワケだよね…。狭いし息詰まるし、椅子もないとか有り得なくない?? ───…アッ、今の独り言なんで。」
自分で語らい拒否しておきながらに、なんだかんだ八つ当たりの捌け口みたく男に話し掛けてしまっているあたり、少年容貌も駄目であり。
相手同様に寝台に荷を降ろし、ブーツのサイドバックルを外し、小さく華奢な爪先を抜く。
そうしながら、一人頷き宣うは…
「ウン。最初にお互いの領土を決めよう。」
そんなことであり。
■アキアス > 狭く汚らしい場所には馴染みがある。
むしろ、船室であることには変わらず、ある程度の清潔さを保っているだけマシ。
寝台まであるのなら、一時の宿としては上等な部類と、男の方は料金からすれば良い部屋と判断しながら。
あとは相部屋と相成った相手だが、馴れ合いはしないふうな態度のわり、なんだかんだと声は大きい。
案外話し好きなんではなかろうかとも思いながらに相手に倣うではないが、寝台の反対側にとまわり、ブーツを脱いで。
「ぁ? 領土? ……つってもおまえ――……こうだぞ」
こう、と言いながらベッドに横たわる。
大柄な男の身体は意図的に四肢を伸ばすわけでなくても、寝台の大半を占めてしまう。
小柄な相手は男が多少身体を折り縮めても、十二分に身体を伸ばせるか怪しい所。
二人が身体を当てないように寝るには無理がある。
腕を伸ばして見せれば、それこそ娼婦ならその腕を枕にすれば収まるだろうかというような風景。
その上で〝領土〟はどう決める積りかと、横たわったまま色濃い碧眼をフード奥の相手の瞳に向けて。
■ニュア > 多分、この相手は外れ籤ではない。あからさまに危険な輩では無いし、同室の相手としては無難な方なのかも。
問題があるとすれば、明らかに人嫌いを醸す、此方の方であろう。
こちとら、どうにかこの狭小空間でパーソナルスペースを得ようと必死なのだから。
最初にきっちりとその辺を定めておかねばならぬとばかり、男の言葉に意気揚々頷いて
「そっ、領土。ベッドもきっかり半分ずつでー…… って、ちょっと!!何勝手に寝てんの!?!??」
言うが早いか横たわる男に目敏く双眸丸め、少年風貌がキャンキャンと啼き吼えた。
男はデカかった。そして幅すらも取り過ぎていた。
安直に半分ずつと定めるつもりだった“領土”ではあったが、これでは定める前から領域侵犯である。
「てゆうか、お前デカすぎない!??もっと縮めよ…っ! こんなの、俺が寝る場所まったくないじゃんか!」
この状況、憤慨である。邪魔だとばかりに片手が雑に巨躯を押し遣ろうとしつつ。
男の腕枕で娼婦よろしく眠るなんて間違っても御免であると言いたげに。
■アキアス > 物言いなども合わせ、他人を拒む態度を、全身でからかうような様。
相手が例えば露骨に色香の見える女性であったなら、もっと違うからかい方をしたのだろうけれど。
今のところはそういう気配は見せないまま。
想像以上に良い反応を見せる相手にけらけら笑いながら、身体を押し遣る細い指にも大柄な身体はびくともしない。
「だはは、半分にしたら俺が落ちっちまうだろぅ?
まぁ、多少の窮屈は我慢しろよ、それなりの金しかお互い払ってねぇんだしよ」
そういうが早いか、二人で寝台に横たわってみようというように身体を押す腕を引いては相手の身体を引き寄せる。
貧民街にもよくいるはねっかえりを相手にするような気分で。
けれど自身に憑りつく淫魔は男ともまた違う思惑があったようで。
目の前の相手は魔に属するモノにとっては〝そういう〟扱いをして良い手合いなのだと。
正しく気紛れ、じゃれ合いの延長の悪戯心で、
男が少年風貌に触れるや否や、その淫らな魔力を流し込もうと試みる。
■ニュア > 憎らしい程に押せどびくともしない巨躯に、少年容貌があからさまに渋面を浮かべる。
一言揶揄えば倍の辛辣が返ってくるその反応は、寛容な手合いにとっては絶交の退屈凌ぎではあるだろう。
「は?コッチもそれなりの金払ってるのに、なんでお前が広く場所取ってんのか、全然納得いかないんだけど??」
不服をつらりと唇にのせて、さっさと起き上がれと言わんばかりに男の寝姿を、ばちんと叩く。
「窮屈どころのハナシじゃなさすぎでしょ??
あのオッサン、このベッドに二人押し込むとかさぁ…ホンット莫迦じゃないの??
だいたい、何が嬉しくて男同士で───……ッ」
文句だけは小さな唇から流暢に零れ出た。
もう一度粗雑に促すように男の身を押さんとしたところ、意趣返しめいて男が突如として腕を引く。
「ちょ、 わ…… ッ!?」
そうすれば華奢で軽い痩身は、容易くベッドに──もとい、男の懐に飛びこむような案配になるだろう。
密着の刹那、男の中にいるだろう淫魔が嗅ぎ取るやもしれぬ。
まるで極上の餌が降ってきたような、蜜酒のように甘い芳香。
そして少年容貌は上体を跳ね起こしたがり、腹立たしく怒鳴りかけて
「なにするのさ!??イイ加減に、し───…… ッ!?!?」
ぞわ、と感覚器官が総毛立つ。
男と接触した箇所より体内に捩じ込まれる魔力に勘付き双眸見開いて。
それは本能的な危機回避行動にも近しいもの。半ば強引に身を引き剥がさんと。
■アキアス > 顔を歪めながら、身体を押しやってくる相手。
その相手を、撫でるのを嫌がる猫で遊ぶかの如くにして。
押す動きに僅かに身動ぎし、それでも身体をずらすことはなく。
相手の唇から途切れなく洩れる文句の言葉を楽しそうに聞き、さらに遊んでやろうと。
捕まえてしまい、フードでも取ってしまってその顔を良く眺めてやろうかと思っていれば、
自分も意図しない、憑りついている淫魔の所業。
自身に不利益なことは、この淫魔にも不利益だから、そうすることが男の〝益〟にもなるのだろう。
その点では、それなりに長く共生してきた魔を信用してもいて。
「っと、ぉ、なんだ、ぁ? ……わりぃな、兄弟。ちょーっと、大人しくしてろよ……?」
面白い、面白い、と。楽しそうな淫魔の意志が伝わってくる。
何が面白いのかと言えば、今しがた胸元にと引き寄せた、この少年のような容貌の相手のことだろう。
相部屋になる相手への配慮より、興味が勝れば、無理矢理逃れようというようにする相手を抑え込み、
その身体を背後からがっしりと捕まえてしまおうとしていく。
首尾よく掴まえ、逃れられることがないのなら。
より密着の増した状態で、淫靡な魔力が染みわたる様に流し込まれていくだろうか。
■アキアス > 【場所を移動いたします】
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアキアスさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からニュアさんが去りました。