2023/11/19 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にシアンさんが現れました。
■シアン > 冬の到来に冷えた潮風が、海面を揺らし、寄港する船舶を叩き、行き交う人々を煽る。
水夫たちはそれでも額に汗水垂らして荷物を積み込みあるいは下ろしているが、
多くは身震いしながら温かいものを飲むか酒を煽るか何処ぞの店に逃げ込むか。
「さっっっっむ……おおぃはやくしろ、早く……寒ぃっての……!!」
あちらこちらが活気に満ちるその一角で多分に漏れず寒さに身を震わせる男が一人。
知り合いの行商人に付いて護衛依頼の帰り道、なのだが……
太客だか太いパイプだか知らないが件の行商人は誰かを見つけて盛り上がって中々その場を動いてくれない。
こちとらさっさと離れたいのに!!
と、まあ、文句は飛ばすが商談を邪魔するわけにもいかず手を擦り合わせたり身を縮こませたりしながら待ちだ。
近くの露店でホットワインを買っては口に運ぶものの一杯二杯じゃ焼け石に水。
「ここにゃちょっと品物見て回るだけっつったろーが……こんなことならもうちょい着込んできたわ……!」
もういっそのこと放っておいて宿に帰ろうか? どうせ王都に帰るの明日だし……ここらならまぁあぶねぇ事もそうねぇだろ……。
何て考えながらまた酒を一口。大柄な体躯を屈んで窄めて小さくしながらぶつくさ文句はずっと垂れている。
■シアン > 「よし」
彼奴はでっぷり太っている挙句にもっこもこの衣装だからまだ良いのだろうが。
自分は筋肉質でちょっと出かけるだけっていうから比較的薄着で大変宜しくない。
北方出身だろうが寒さに強かろうが寒いものは寒い。
ホットワインを一杯飲み干しても尚終わる気配のない歓談に目を向けると、立ち上がり、
「先に帰るからなー! 寒いの!!」
一声掛けて踵を返した。
宿に帰って酒をしこたま煽って毛布に包まろう、そうしよう。出来れば……女が同衾してくれると尚良いが……。
そんなことをぼんやりと考えながら、また寒風に煽られて首を竦めつつ、こつこつと硬い足音を元気なさげに鳴らして歩いて行った。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からシアンさんが去りました。