2023/12/21 のログ
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ご案内:「セレネルの海」に這い寄る粘水さんが現れました。
這い寄る粘水 > 冬の寒波も迫り、荒れる海へ目的も無しに軽率に挑む者はそう多くはない。

だが、だからといって陸である海辺が安全かと言えば決してそんなこともないのだ。

砂浜から陸続きに進めば岩場の陰に隠れてぽっかりと口を開けて待ち受けている洞窟の中は外の寒気とはまた違う冷気が満ちていて、ぴちゃん、と水滴が天井から落ちる音すら厭にくっきり聞こえる程に静寂に包まれていて。

そんな洞窟の環境を好んで生息する生物も少なからず存在し、その一種である所謂一般的にはスライムという名称が最も浸透しているであろう粘体生物は洞窟の外の光が届かなくなる境界よりほんの少し先の天井にて粘り気のある体を付着させて吊り下がって獲物をじっと身動き一つせずただただ自動的に眼下を通過せんとする生物を感知し襲い掛かるべく待ち構えて。

這い寄る粘水 > やがて、何も知らずに洞窟を訪れた生物へ向けて粘性生物は緩りと下へ体を伸ばし、そして気づかれる直前に頭から覆い被さり――悲鳴は外へ届かず、獲物にありついた粘性生物は増大した質量を重そうに引きずり奥へ取り込んだ獲物ごと連れ去って。
ご案内:「セレネルの海」から這い寄る粘水さんが去りました。