2023/09/06 のログ
ご案内:「セレネルの海」にエルトシャンさんが現れました。
ご案内:「セレネルの海」からエルトシャンさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 白浜のビーチ」にラグナレビアさんが現れました。
■ラグナレビア > 「――――なん……、ですの、これは……? 人間がこれを食せば間違いなく腹を下すのではなくて……? こんな物を、しかもこれほど強気の値段設定で売りに出しているなんて……わたくし、全く理解が及びませんわ……」
(驚愕の滲む独り言を漏らしたのは、真夏の蒼穹から降り注ぐ陽光を白肌も眩しい水着姿に受けた美少女だった。腰を超える長さの白銀髪、化性めいた妖しさを醸す真紅の瞳、豊穣を司るかの如くたわわな胸元の実りは無様に垂れる事なく蠱惑的な曲線を維持し、長く優美な脚線美にはシミ一つ、ムダ毛の一本さえ見つける事は適わない。二の腕あたりで浮遊する魔銀製のプロテクターを除けば背筋や腰横の蝶結びも儚げな紐ビキニしか身に着けていないというのに、異性からの軽薄な声掛けを許さぬ只人とは隔絶した雰囲気を纏う美少女は、完全な異物となって周囲から浮いていた。それもそのはず、サンダル履きの白足が立つその場所は、無数の平民のひしめき合う海水浴場の隅、プレハブ建ての海の家なのだから。ラグナレビアと名乗るその娘が、エルフもかくやという美しい顔貌を歪め見るのは、寸胴鍋にてマグマの如く煮込まれ続ける肥溜めめいたどろどろ。品書きに記された《カレーライス》という料理名にこそ聞き覚えはある。 ―――が、まともな下処理すらせぬままザク切りにした生野菜と、腐敗の始まりかけた屑肉、海釣りの結果偶然釣れた魚や浅瀬で取れた貝・クラゲ・海藻、それらをどぼんと鍋に沈め、スパイスという名の雑多な草の織りなす青臭いハーブ臭で全て有耶無耶にしてしまおうというそれは、ラグナレビアの記憶に残る料理とはまるっきりの別物。20前と思しき瑞々しい肢体に反し、気が遠くなるほどの太古から存在するイモータルでさえ味の予想がつかぬ代物に、猫殺しの好奇心が疼く。ヒトの子は時に信じがたい物さえ口に入れ、元々は毒物であるはずの物すら創意工夫の果てに驚く程の美味へと昇華させる事がある。もしやコレもその類なのかと真剣に悩む。)
「――――試してみるべき……、なのかしら?」
(その呟きを耳にした誰もが『悪いことは言わないからやめておけ』という顔をするのだけれど、お忍びで現世に降り立った女神の如き美少女に忠告しようという勇者はいないのか、悲劇の訪れは刻一刻と迫りつつあった。)
■ラグナレビア > 「…………店主。これを一皿、いただける?」
(覚悟を決めて尚、恐々とした色の滲む声音が、汗だくで鉄板上の麺料理を掻き回していた山賊の頭領―――もとい、この店の主らしき中年男に向けられた。店主は『―――ほぅ……?』などと短く漏らし、ヒゲ面の口橋を不敵に持ち上げる。どう考えても火の通りの甘い麺料理にびゃーっと目分量でソースをぶっ掛け、はみ出す麺や垂れるソースも実に汚らしく皿に盛ってカウンターの客にどかっと提供した。そうしてのっしのっしと水着姿の美少女の前へと移動すれば、まずはばかりと蓋を開いた釜から山盛りの麦飯をべっちょり乗せる。水気が多く、だというのに蒸らしの足りていない芯の残ったそれに巨大なレードルで掬ったどろどろをでろりと掛けて『美味いからってぶっ倒れんなよ』なんて戯言と共に支払いを受けて《カレーライス》を純白の繊手に受け取らせる。むわぁ…っと湯気と共に立ち昇るその臭い。悪臭以外の何物でもない。美少女の長い睫毛が切なげに震えた。よくよく見ればむき出しの前腕あたりには鳥肌まで立っている。だというのに、せめて一口でも試してみようと考えているのだろう。長テーブルの橋の空席にリオカットの食い込む白尻をふにゅりと収め、半液状の排泄物にしか見えぬルゥの掛かった麦飯を木匙で掬う。ぬとぉ……っと糸引きながら滴るルゥ。ラグナの知るカレールゥは糸引いたりなんてしていなかったのだけれども……。寄せた眉根と震える唇に怯懦の色が滲む。)
「……………~~~~~~~ッん」
(―――しかし征く。切れ長の双眸をぎゅっとつむってスプーンに食みつくその姿は、普段の彼女を知る物ならば新鮮な驚きを覚えるだろう可愛らしく稚気に溢れた所作ではあったが)
「…………っ?、~~ッ!、~~~~~~ッッ!?」
(刊行した当人は早くも瀕死。品の良さを損なう事無く、けれども口内で荒れ狂う毒素の暴虐に僅かばかりの変化を繰り返し見せる銀髪の美貌。健康的な血色を有していたはずの白皙が今やすっかり青褪めていた。にゅるり……。可憐に艶光るピンク色の唇から泥濘の色彩を残した木匙が引き抜かれる。そこにねっとりと粘糸が引かれる様は、実に背徳的でいやらしい。店内の幾人もが変態趣味に目覚めてしまっただろう光景なのだけれど、当の美少女はそれどころではない。死ぬ。)
■ラグナレビア > (幾度か飲み込もうとはした。しかし、その度に胃の腑と食道が強烈な拒否反応を示し、柔らかくなまめかしい腹部から純白の白喉に何かをせり上げる。口内に収めたどろどろが唇端から溢れそうになるのを繊手でそっと抑え、睫毛の震える目尻には涙雫すら拵えつつ、がたり、席を立つ。唇は白手で抑えたまま。ヘソ孔の縦に切れ込む柔腹が絶頂中の子宮めいてびくっ、びくっと震え戦慄く。気丈な歩調が若干ふらつきながらもカウンターへと長駆を運び)
「て、てんひゅ……。おはにゃを、つ、つみたいのらけれど……は、はばかりは、どこかひら……?」
(口内に食物―――本当にこれは食物なのだろうか―――を詰めたままの発声はテーブルマナーに外れた物なれど、そんな物は席を立った時点で捨てている。未だ繊手で口元を隠しているのは、長年ヒトとして生活した中で培われた癖の様な物に過ぎない。青褪めた頬からつぅぅ…っと伝う汗が、青ビキニの乳棚に滴り落ちる。そんなギリギリの状況にある佳人に対し、山賊頭は見た目通りに察しが悪いのか、そもそも《はばかり》という言い回しさえ知らぬのか怪訝な表情を向けるばかり。)
「れ……ぉうっ、れすから……っう、ぷ。 お、おトイレッ! おトイレはどこですのッッ!!?」
(まるっきり要領を得ない店主に痺れを切らしたのか、はしたない事この上ない大声でトイレを連呼しその場所を問う。その迫力にぎょっと後退ったヒゲ面の巨漢が、剛毛の生えた太指で指し示すのは店の外。かなり離れた場所にぽつんと立つ掘っ建ての簡易トイレ。脱兎。口元を片手で抑え、もう一方の手指で痙攣を続ける下腹を押さえた美少女は、銀色の一つ結びを揺らしながら疾風の如き勢いで海の家から駆け去った。水着姿の美少女のクライシスは、恐らくまだ始まったばかり―――。)
ご案内:「セレネルの海 白浜のビーチ」からラグナレビアさんが去りました。