2024/04/21 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグァイ・シァさんが現れました。
■グァイ・シァ > 夜明けとともに始まった戦闘は、昼頃に振り始めた雨が酷い嵐になったことで中断となった。
続々と陣地に引き返してくる兵士たちは濡れそぼり、各々の汚れは血か泥かもわからない有様だ。負傷者を引き連れた一団が陣地に吸い込まれると、丸太作りの仮門が閉めらる。それで本日の戦闘は終了ということになりそうだった。
最後の集団で殿についていた女は、成り行きで手を貸すことになった負傷者(おそらくは王国の正規兵)を文字通り引きずるようにして救護班のいるテントへと向かう。
肩を貸した相手はぶつぶつとうわごとのような事を言っている。家族とか、恋人とか、何か執着する相手があるのだろう。しきりに謝っているように聞こえる。失われた彼の片手は粗っぽく止血している。命を失うことは無さそうだが、元通りの生活とはいかなさそうだ。
「… いや」
救護部隊のいるテントへ運ぶと当然のようにごった返している。誘導されるまま空いている担架のひとつに『連れ』を降ろすと、女はさっさと踵を返してその場を後にしようとした。呼び止められたように思って振り返ると、降ろした連れが失われていないほうの片手をあげていた。女は曖昧に声を漏らして手を振り返すと、改めて風雨に打たれる天幕を押し上げて嵐の中へと出ていく。
■グァイ・シァ > 大粒の雨を落とす空に雲の切れ目は見えず、陽の光が差し込む様子はない。
あまり長続きするような天候ではないと経験で知ってはいるが、しばらく戦場は泥に塗れることだろう。
只足を取られる厄介さを思って顔をしかめて、女は黒雲を見上げていた視線を下ろす。すでに一面水たまりができ始めたテントの合間を歩いて、傭兵用にしつらえられた一角へと向かって歩き始める。強風と雨で髪が乱れ身体が重くなっていく。この様子では、そもそもがあまり丈夫に設営されていない傭兵用のテントはいくつか潰されてしまっているかもしれない。
■グァイ・シァ > 不測の事態があるとき、案外と傭兵の方が手際が良いときがある。
今回はその類であったようで、思いのほか傭兵用の休息所は整っていた。近づくと、ありあわせのロープや杭などで補強した箇所があるのに気づく。
テント自体は快適とは言えないが、もぐりこむ場所に労することはなさそうだ。
ずぶ濡れの女は女は風雨に叩かれるテントの天幕の一つをくぐって、今宵はヒトに紛れて過ごすことになるのだろう。
ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。