2023/11/19 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグァイ・シァさんが現れました。
■グァイ・シァ > 丘に強い風の吹き荒れた戦は、視界が曖昧になる逢魔ヶ刻には早々に終幕となった。
手練れでも放った矢が当てるのが難しく、放った火は思わぬところへ飛び火となって無用な混乱を招き、ヒトには御しがたい戦況は何れの陣営に利することもなく―――或いは手勢が少ない方としては僥倖となって―――それぞれの陣営に戻った兵士たちはひたすらに疲弊して、だが無事戻ったことを寿ぐように陽気な声がどこからも聞こえて来る。
夜になっても風はまだ強く吹いてテントを打ち、翻る傍の音も姦しいが、それに勝る人々の声もまたある。
ある意味活気づいている陣地の、テントの間を抜けていく朱い髪の女がひとり。
ヒトの集まる方、暖が取れる方とは反対に
外へ、外へと向かってやがて陣地を離れる。
そのまま風が吹き晒す丘を登り始める。
重要事項など知る由もない只の傭兵のひとりだ。見とがめるものは誰もいない。
■グァイ・シァ > 吐息が白くなることは無いが、吐く息のその傍から体温が奪われていく。丘の頂につく頃には唇から色が失せていた。
頂きから睥睨する陣営の灯りと、眼を凝らせばその更に向こうに都市の灯りも見える。
月が薄い今夜は猶更だ。
翠の瞳を光らせる女は暫く風に髪を嬲らせていたあと、再び今度は丘を下り始める。
魔物の勘がしらせるほうへ―――
ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。