2023/09/04 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 月のない夜

夜の帳が下りてなお戦闘が続くことは稀だ。
今宵も例にもれず、星々だけが輝く夜空の下で、あたり一帯焼き払われたような戦場跡はしんと静まり返っている。

今は燻る煙以外遮るもののないその丘に、人影がひとつある。
なぜ『人影』かとわかったかというと、それの回りに青白く燃えるようなものがふわふわと纏わりつき、あぶりだしていたからだ。

「…―――――」

照らし出されている女は、周囲を舞う焔を横目に忌々し気に顔をゆがめ、ち、と小さく舌打ちを零す。
だがそれだけだ。身にまとうのはシェンヤンの胴着一枚という、戦場にしては恐ろしいほどの軽装備のまま、灼けた地面を踏み出して、移動を開始する。足取りは重い。

(――――ここでは、回復には足りなすぎる)

ヒトならぬ女は方向をどう嗅ぎ取っているのか、向かう先は迷いなく、しかしゆっくりと足をすすめる。

青白い焔は、あるいは迷ったようにそこに居残り、或いはふわりと女の後を追う様についていく。

グァイ・シァ > 余程火力の強い魔法か仕掛けか何かが使われたのだろう。
辺りは死体はおろかそれらが纏っていたはずの武器や防具さえも見当たらず、奇麗に遮るものが無くなって、地面が抉れていないのが不思議なほどだ。

(…歩くには楽だが)

女は足を止めず、暇つぶしのように思考を巡らせる。

(次に潜り込む先がまた敵対側であれば、面倒だな)

そうそう戦闘のたびに後手を取るわけではないが、これをした相手が無暗に焼き払うのが趣味のような奴であれば、場所として相性が悪すぎる。

――――であれば、そのような相手と思しき相手を見つけたら
(…早々に片づけてしまうのがよさそうだな)

女はそこまで考えると、青白い光に照らされる元でくつくつと笑い声を零す。


―――――翌朝になって
いつのまにか手駒が増えているのは、果たして何れの陣営なのか――――

ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。